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思ったとおり綺麗な人だった

つくしが肩越しに振り返ったのは手が離せないからだ。

「似てるなんてのは、染色体Pretty renew 旺角の幸運な組み合わせだろ?」
「もう・・。もう少しロマンチックな言い方が出来ないの?」
「なんだよそのロマンチックてのは?」
「だ、だから愛の結晶だとか、奇跡の組み合わせだとか・・」
「やめてくれ。あのオヤジとお袋が愛だの奇跡だの言ってる姿は想像が出来ねぇ」

母親の楓以外には会ったことはないが、多忙を極める父親はいい年をPretty renew 旺角した息子が女ひとりに責任を持てないようでは一人前とは言えないと、二人の結婚話は至って平穏に事が運んでいた。
司の父親は道明寺家の当主として、そして道明寺グループの総帥として多忙な日々を送っている。母親の楓が実務的な役割だとすれば、父親は論理的な役割をこなしていた。

30代の男女は何事も一度決めると早かった。まるでこれからの時間を無駄にしたくない。
そして今までの無駄な時間を取り戻そうとするかのようにPretty renew 雅蘭一緒に暮らすことを決めていた。
そう。あのマンションのペントハウスで。
そして今。二人はこうして運ばれてきた荷物を片づけているところだ。

同棲という言葉は使いたくない。そしてもちろんお試しという言葉も。
それならこの二人の生活をなんと呼ぶのだろうか?
つくしの家族は娘の恋人が裕福な男性だと知っても、特段な気遣いはしなかった。
平凡な会社員の父親も専業主婦の母親も、娘の選んだ人生は自分で責任を持てばいいとばかりだ。
ただ弟の進だけは、こんなにカッコいい兄貴が出来るなんてと驚いていた。
ねぇちゃんは雑草なのに道明寺さんは何を間違って摘んだんだろう。珍しい草だとでも思ったんじゃないか?と、そんなことを呟いていた。

道明寺司ほどハンサムな男性には、まずお目にかかることはない。
それは世間の誰もが認めることではあるが、つくしは別にその外見に惹かれたわけではなかった。世間は司のことを洗練された男のように扱うが、それはあくまでも世間に対して見せる顔であって、つくしの前では平気で裸になるし、洗練された部分以外も見せる。

そしてこの男はつくしに対しては心配症で、少し嫉妬深いという性格の持ち主だ。
過剰な愛というものは、ときにつくしを窒息させそうになるが、それは愛しているからだ。
と、そのひと言で片づけられてしまう。

女性はだれでもそうだが、「愛してる」と言われれば嬉しいものだ。
例えそれが過剰な愛だとしても。

司は高校時代の自分が生き急いでいたことは告げていなかった。
あの頃の彼はまさか自分がこんな生き方をしているとは思わなかったはずだ。
女嫌いだったあの道明寺司が、女の隣に立ってキッチンでコーヒーカップを片づけていた。

「それにしてもおまえお袋と渡り合ったのか?」
「わ、渡り合ったというか、話をしただけで別に言い合いをしたわけでもないし・・」

司は次に手にしていたグラスをキッチンカウンターの上に置くと、感心したようにつくしを見た。
「けど、おまえよく一人で乗り込んだよな?」

司の海外出張中に呼ばれただけで乗り込んだわけではなく、お招きを頂いたということを理解してもらいたい。
それに話しをしてみれば、道明寺楓も普通の母親で、なかなか結婚しない息子にヤキモキしていた頃だと聞かされた。
それなのに、そんなことは関係ねぇとばかりの男は、つくしの顔を訝しげに見ている。

「な、なによ・・あたしに向かって偉そうに眉を上げるのはやめて!」
「どっちの眉だよ?」
「ど、どっちって・・右?うんん、左?・・と、とにかくどっちでもいいでしょ?」

司は偉そうにと言われた眉を、右眉をわざと高く上げて見せると笑った。

「あ、右なのね?」
「そんなもん、どっちでもいいだろ?」
「うん。でもね、道明寺のお母さんも同じように右だったわ」

親子で癖が同じだったかと、司がふっとほほ笑んだ。瞬間、つくしの中で緊張が高まった。
それは性的緊張。そしてその顔はつくしだけが見ることが出来るほほ笑み。
結婚によって全人生が変わるというわけではないはずだが、つくしはまるで甘美な波にさらわれたかのように感じていた。

些細なことが甘く感じられるのは、司がつくしの話をきちんと聞いてくれるからだ。
そして新たに知ったのは、驚くほど聞き上手だということだ。人の話を聞いて、的確な意見を述べることが出来る。要するに頭の回転が速いということだ。それは勿論そうだろう。そうでなければ大規模な事業展開など出来るはずがない。

カテゴリー: 未分類 | 投稿者bacteria15 11:26 | コメントをどうぞ

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カテゴリー: 未分類 | 投稿者bacteria15 02:23 | 1件のコメント