それっきり会話が続かず、早雪は出直すことにした。
やはり子連れで移住するのは無理があるだろうか。
仕事を辞めて村へ移住しても、きっと子ども香港權證たちが気になる。
やりがいのある仕事を捨てても、生まれ育った東京を離れることになっても、我が子さえ取り戻し、一緒に暮らせれば、早雪の心の重荷はほとんど取れるのだ。
だが、現実味がなさすぎると言った京介の言葉にも納得している自分が居た。
現実的には子どもたちの幸せを一人で築くビジョンが明確に見えて来なかったのだ。
愛情だけでは育てられない。
何かあったとき、東雨宮を憎む者から子ど護膚品もたちを守る術もない。
もし自分が病気になったら?
思春期を女親一人でどうやって乗り切る?
二人を大学まで進学させられるか、金銭的にも不安だった。
せめて息子だけでも大学は出してあげたい。
そんな事をグルグルと考えていた。
(やっぱり無理なのかな)
今後のビジョンが見えないまま、早雪は年の瀬特有のせわしないムードの街をひたすら歩いた。
行くあてもなく歩いて、歩き疲れて見上げた空は灰色で、早雪の心を移すように暗く濁って見える。
歩きながら早雪はチラッと腕時計を確認してから電話をかけた。
鮎川村診療所です』
声を聞き、トゲトゲしていた気持ちが少し丸くなる。
早雪です。…今大丈夫?」
時間は14時。休憩中のはずだ。
ああ。待ってたよ電話。工事業者に混ざって昼食べてそそくさと戻って来ちゃったよ』
ごめんね…」
いや、単に俺が声が聞きたかっただけ。…どうだった?」
交渉決裂…」
そうか…。』
まぁ、今回は打診だけだったし、一筋縄でいくとは思ってないから仕方ないわ」
うん。長い目で見るといいよ。で、会社の重啟人生
方は?』
退職の旨、伝えたわ」
そうか。良かった。じゃあ、春から戻って来れるんだな!』
栄太の嬉しそうな声を聞いて微笑む早雪。
…戻っても、いいかしら?」
当たり前だろ!』
…美桜里さんたちは?」
美桜里さんも、美波ちゃんも帰って来るのを首を長くして待ってるよ。キミに謝ってくれっていわれた。…それと、美桜里さんは、ザンからカエルム計画事件』の関係者だってこと、少し聞いていたみたいだね…。あのあとしばらく落ち込んでたぞ?』
そう、だったのね…。知らなかった…」
だから、帰って来てたくさん話すと良い。彼女たちなら分かってくれるよ』
…うん、私も早く皆に会いたい。伝えてくれる?必ず帰るって」
分かった。早雪…。ずっと待ってるから、…頑張れよ。』
うん」
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