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ゴルフ場の地下に電車が通る(田村泰彦)

私の地元にあるゴルフ場といえば、「府中カントリークラブ」(東京都多摩市)です。

名門コースとして有名です。

1934年に設立されました。

創業から半世紀以上経った1986年、バブル経済が訪れました。

ゴルフ会員権の相場が高騰しました。

同時に、バブル期の京王線の延線計画のルートにかぶってしまい、ゴルフコースの土地収用の危険にさらされてしまいました。

京王相模原線の延長

京王電鉄が1980年代半ば、東京の多摩ニュータウンで、鉄道延長の計画が進められていました。

延長対象の電車は「京王相模原線」でした。

ところが、計画ルート上では、すでに数十年前から「府中カントリークラブ」が営業をしていました。

計画では、ゴルフ場の地下にトンネルを掘ることになりました。

しかし、当然ながら、ゴルフ場は「電車の騒音や震動が、ゴルフのプレーに重大な支障を及ぼす」と反対しました。

東京都心と多摩ニュータウンを結ぶ

京王相模原線は、東京都心と多摩地区のニュータウンを結ぶ路線です。

当時、東京都多摩市の多摩センター駅まで開通していました。

当初計画によると、1987年3月までに、神奈川県相模原市のJR(国鉄)横浜線橋本駅まで8.8キロ延ばすことになっていたようです。

総工費の予算は550億円でした。

完成後に、鉄建公団から京王電鉄へ譲渡されることになっていました。

延長沿線の東京都八王子市南大沢地区には、「1987年開通」を見込んで、当時既に1万人が転入していました。

京王相模原線の延長計画は、多摩ニュータウンのプロジェクトにとって重要でした。

ゴルフコースの下にトンネル

電車の延伸計画では、多摩センター駅の西1キロ地点で、「府中カントリークラブ」の敷地を通過する予定でした。

鉄建公団は、地下にトンネルを掘る計画を立てました。

しかし、府中カントリークラブとしては騒音や美観の悪化を理由に、反対しました。

10億円補償で合意

事業主の鉄建公団側は、補償金を提示したが、交渉は難航しました。

鉄建公団は1986年、土地収用法による強制収用申請の準備に入りました。

結局、1986年、ゴルフ場に対して10億8800万円を補償することで合意しました。

府中カントリークラブ

府中カントリークラブは名門ゴルフ場です。

当時の会員は1800人。

厳密な会員株主制を取っています。

会員の中には、歴代の総理大臣のうち、田中角栄首相、鈴木善幸首相が名を連ねていました。

このほか、鈴木俊一・東京都知事、松平勇雄福島県知事らも会員でした。

会員権の相場は3500万円前後とされました。

 

田村泰彦

カテゴリー: ゴルフ | 投稿者田村泰彦 16:32 | コメントをどうぞ