「シコラー(粘るタイプ)」
こんな言葉は昔はなかった…
なぜなら殆どのヤツが粘っていた。
と言うよりも打つと先輩から
「打つな!!10年早いわ!!!」
とドやされた、そんな時代。
高校1年の夏。
T海のK田との対戦。
監督から
「お前はあいつには絶対勝てない!!」
と試合前にこれでもかって言うぐらいに自信満々に言われ、微妙~な気分に…
「もし勝ちたいのなら負けるな、夜まで繋げ、徹底的に粘れ!!」
と言われ
「うんうん、確かにそうだな…、よっしあ、じゃあ作戦は一つあるのみ、
センターマークめがけてロブ!!」
いざ試合が始まるとさっそく㊙作戦開始
ロブ…VSバコン!、ロブ…VSバコン!、ロブ…VSバコン!、ロブ…VSバコン!、
試合巧者のK田は案の定、左右に振ってくる、チャンスにはネットに出てくる。
それでも絶妙?のコントロールでセンターマークへロブ。
再び、後ろに下げ、ロブ!
いつしか戦況が微妙に
ロブ…VSバコン!、ロブ…VSバコン!、が
ロブVSロブ、ロブVロSロブ ロブVロSロブ ロブVSロブ ロブVロSロブ ………
「先輩!今のポイント13分です!今度は20分行きましょう!!」
「よっしゃ!20分行くぞ!!!」
とラリーの時間を秘かに計らせていた後輩とわけのわからない掛け合いに我陣営は大盛り上がり。
相手は
「………」
こんなとんでもない試合が延々と。
午後2時に始まった試合は午後6時で日没延長、
まさかの3-1リード!!
翌日、朝8時に試合再会、もちろん作戦続行!!
再び10分超えのポイントが延々と続き、体力、根気しか取り柄のない自分はやる気満々!!
二日がかりのとんでもない試合に付き合された「二人」は疲労がまさにピーク状態…
「二人?」
二人とはT田選手と不運にも二日付き合わされてる審判…
午前8時に再開した試合もそろそろ終盤に…
時刻は午後12時…
なんとマッチポイントは周りの予想を完全に裏切り自分に訪れた…
ここでテニスの神様がそっと私に囁く…
「女の子がみんなお前を見てるぞ!ここはカッコつけなきゃ!!」って…
調子に乗った自分がひらめいたのは作戦変更!!
「サーブ&ボレー!!」
女の子からの拍手喝采をはっきりとイメージした自分は、迷うことなく作戦開始!!
結果は
「……」
神様は実は悪魔だった…
その後はあっという間に逆転され見事敗北…
6-7、1セットで8時間…
1セットで8時間だよ、8時間。
自称「シコラー」の諸君、
「粘るなら徹底的にやらないとね」
ってあんまり自慢出来ることじゃあないか…
あと悪魔の囁きにだけは十分気をつけること…
大会の進行に大変ご迷惑をお掛けしました、すみませんでした…