ずいぶん昔の話ですが、一人の男性がスクールに入会してきました。彼は中級ぐらいのレベルで、何度かレッスンを受けて頂き、クラスの雰囲気にもだんだん慣れて来ました。
レッスン終了後、いつものように皆さんと楽しいおしゃべり
「テニスを始めてきっかけはなんですか?」
「テニスを始めたきっかけは、お医者さんの勧めでして…実はひどい胃炎が続いて、病院に行ったんです。すると、『あなたの場合は神経性胃炎です、気分転換にテニスでもしたらきっと良くなりますよ』と言われ始めたのがきっかけなんです」
と教えてくれました。
「さっそく知り合いのサークルに入れてもらってテニスを始めると、体調はみるみると回復し、絶好調!胃炎もすっかり良くなり、ついでにテニスの魅力にもドップリと浸かってしまってもう楽しくて楽しくて、もっと上手くなりたくてスクールに入る事にしました!」
と教えてくれました。
テニスで治っちゃうなんてすごくないですか?
テニスの腕前もみるみる上達し、仲間も増えとても楽しそうにプレーしていました。
ところが、しばらくして彼がレッスンを休みがちに…
「どうしたのかなあ?」と思っていると彼がひょっこりやってきました。
「コーチ、お休みしてすみませんでした。ちょっと体調がすぐれなくて…」
「えええ?どこか悪いんですか?」
「実はまた神経性胃炎が再発したんです…」
「だったらなおさらテニスした方がすっきりするじゃないですか?」
「ええ、でも…」
「どうしたんですか」
「胃が痛い原因、聞いてくれます?」
「はい」
「サーブが…」
「ん?サーブ?」
「緊張するとサーブが入らなくて…それでずっと悩んでいたらまた最近胃が痛くて痛くて」
「…」
「気晴らしにゴルフでも始めようかな?」
「…」
笑える?笑えない?