カテゴリー別アーカイブ: 練習法

そこそこ速いほうが

日曜日、下川井テニスクラブのレッスンは松原さんの担当

昨日の2時間目のこと

ここには、まだ初級者のR子さんがいる。

彼女のフォアハンドがまだ安定しない。

特に慎重になると

打点に近づき過ぎて、面の手前に当ててしまう。

しかし、私はしばらく前から

彼女が速いボールにはタイミングを合わすのが上手いことに

気付いていた。

基本的に運動神経はいいのだ。

 

だから、昨日のレッスンでラリーしたときに

意識的に、低めの速いフラットボールを送った。

これが成功

とても美しいラリーが続いて

あちらも満足

私も満足だった。

 

実は、低めの速いボールというのは

打点が低くなるので

打点が近くになりやすい人でも打ちやすい。

 

そしてもう1つ重要な問題が隠されているのだ

ソレは、見込みで打つこと。

 

ゆるいボールだと打点のかなり近くまで

じっくりと見ることができる。

しかしじっくり見て

そこへあわせようとすれば

少しではあるが、やはり振り遅れる。

そして失敗解消のため、よく見ようとするあまり

さらに近づき、面の手前に当てる。

失敗するとさらに近づき、もっとドツボにはまる。

悪循環にはまるのだ。

 

実はこれは私のフォアハンド、動画から切り取った物

相手は、球出しのコーチで

私に恥をかかせぬように、しかも弾むように

ゆるーい球出しなのだ。

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今まさに振り出すところ、でもボールは画面に入っていない。

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2m前方のボールにたいし、ラケットはもう振り出し始めている。

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半分振り終わったくらい。

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インパクト。

ゆるい球出しにフルスウィングの速いラケットだし。

なのに、こんなに早めに振り始めているのだ。

打点まで見きわめていて、スウィングが間に合うわけが無い。

これがテニスの現実なのだ。

 

じゃあ、R子さんの場面に戻る。

速いボールだと?

ちゃんと見て、当てることをあきらめる。

打点まで見ても間に合わないので

仕方無しに

見込みで、あてずっぽうで打つ。

これが見事に当たる。

元々、人間にはこのくらいの能力はある。

ちょっと、ヒントを与え

ボールを想像して

素振りの1つもしておけば

まして、若くて、普通以上の運動神経を持つ女性。

上手くやるだろうとは思っていたが

まさに思う壺。

上手く打てて、にっこりしてくれれば

こちらも名コーチになった気分に浸れるのだ。

 

さて、冗談はともかく

なるべくゆるく送ってあげるのがコーチの常識。

そのほうが易しいはずなのだが

実はソレ

サービスライン内のショートラリーくらいが限界

深くなれば、それなりのスピードが無ければ

ボール自体がそこまで届かない。

元々うんとゆるくはできないのだ

そうなると惜しくも

じっくり見ているひまはナイのだ。

スポンジボールやソフトテニスのボールなら

バウンド後にスピードが落ちていくのでいいのだが

テニスのボールはバウンド後も

それほどスピードが落ちない。

むしろ近くに来ると、よく見えるので

加速してくるように見えてしまうのだ。

 

テニスのボールはどっちみち

見込みでなくては打てない。

 

だったら割り切って

そこそこに速いボールを送ってあげよう、というお話。  テニス

 

カテゴリー: フォアハンド, 技術全般, 練習法 | 投稿者松原コーチ 18:39 | 2件のコメント

守備力を向上させる方法

『くまときりん』 さんから感想と再度の質問が

以下がそのコメントの全文です。

 

カラオケ  お答えいただきありがとうございました。

押せ押せの攻撃力でダブルス、手堅い守備力でシングルスということですね。

シングルスの草トーでこれといって武器になるショットがあるわけではない人に負けてしまうのはこういうことですね。
守備力が最大の武器なんですね。

効率的に守備力を向上させる練習法ってありますか?

くまときりん より

 

 

 

水瓶座  私の答えです。

プロの場合、「押せ押せの攻撃力でダブルス」

アマの場合、「手堅い守備力でシングルス」

でしょうね。

 

アマの場合、中級者以下なら

ダブルスでもロブのシコリ勝ちがあると思います。

プロだと

デルポトロや、ちょっと前の人、サフィンなど

イケイケ攻撃のシングルスの強い人もいましたよね

だけどちょっとつまずくとポロッといく。

安定して勝ち続けるには

やはり、少しは粘りが必要なのでしょうね。

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攻撃して、いいボールが入ると

チャンスボールが来る (来ちゃう)

ダブルスだと

パートナーがボレーでポトリ。

シングルスだと自分で決めなければならない。

それだけ、シングルスだと

攻撃に腕前が必要ということです。

だからアマの中級レベル以下だと

チャンスボールを決めきれないので

シングルスはシコルしかない。

プロの場合は

甘いボールを打ったら決められちゃう。

だから相手のプロもそれなりの攻撃力が必要なのですが

守備力があって、なかなか甘いボールを打たないプロに対し

無理に仕掛けて自滅してしまうことがプロでもある

ということだと思います。

 

さて、 「効率的に守備力を向上させる練習法」 ですか?

練習法としては、振り回しですね。

それとも、スパニッシュドリル

前後左右、4か所に球出ししてもらい

ひたすら動いて打つ。

 

しかし一番大切なのは、「勝ちたい心」

どんなに苦しくても

ひたすら、相手コートに返し

シコリ抜く。

「おまえ、そうまでして勝ちたいか?」

と言われたら。

「どんなにかっこ悪いことをしてでも勝ちたい」

と平気でこたえられる心です。

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いま、うまくなっている人

プロになっている人

みんな、初心者の時は

相手をシコリ倒して勝っていたはず。

そう、初心者のころから勝っていたはずです。

そうまでして勝ちたい人じゃなければ

プロにはなれない。

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守備力を向上させたら、勝てるのではなく

まず、勝つのです。

走って拾って、ボールに食らいつく。

そのうちに、守備力の向上に気が付く。

 

このことに関してだけは

効率的に向上はありません。

「どんだけ、勝ちたいのか?」 です。

 

気合です。   テニス

 

 

カテゴリー: シングルス, 年寄りのひとりごと, 練習法, 試合 | 投稿者松原コーチ 20:14 | 2件のコメント

技術を覚える頭のだんどり

『ムーンキメラ』 さんから質問をいただきました。

スポーツを上手くなるための、一番の基本話しかもしれません。

以下がそのコメントの全文です。

 

カラオケ  こんにちは。松原コーチの技術論、大変参考になります。

質問させていただきたいのですが、
技術を改善、習得するまでにはその動きや形を意識する事が大事だと思い常に何かを意識しています。
実際に早い展開のプレーでは細かいことを意識してプレーしているとうまくいかないので、意識していたことを無意識にする必要があると考えています。
この意識していたことが無意識にできるようになるにはやはり数を打って体に覚えさせるしかないのでしょうか。

ムーンキメラ より

 

 

 

水瓶座  私の答えです。

練習の時に、「その動きや形を意識する事」

は、とても大切なことだと思います。

ただし、その形が文章であってはだめです。

あってほしいのはビジュアルなイメージや

テンポ感を表したリズムなのです。

 

われわれは技術を習得する時に練習をします。

何度もトライして

成功体験、失敗体験を繰り返し

上手くいくための動き方を身につけるのです。

 

そしてその動き方が

1つの回路というかプログラムというか?

頭の中に段取りとして焼き付けられるのです。

 

そのときに大切なのがイメージです

相手のボールにしても自分のフォームにしても

ボールを捉える感触までもが

ビジュアルな物であったり

リズムであったり

「グシャッ」 というような擬態語であったりします。

 

具体手的に言うと

フォアハンドでテイクバックの面を後へ向ける。

そのときのイメージは

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というビジュアルなイメージであって。

「手のひらが後ろを向く、その角度は90度」 というような

文章やデジタルの数値データではないのです。

動きじたいもそのときの手の位置感覚だったり

ラケットのオモリ感覚だったりします。

 

これらのイメージ感覚を

実際の打球の成功体験と重ね、修正することで

どんどん上達していきます。

だからイメージすることが一番大事。

 

実際の練習法としては

私の文章を参考に

動きや手の感覚をイメージ化し

心の中で打ってみる。

 

次に相手ボールを想像して

そのコースやタイミングを想像しながら

自分のスウィングもイメージしながら、素振りをしてみる。

 

最後に実際に打ってみる。

 

上手くいかなかったら

少しイメージを修正して素振り

そして実際に打つ。

 

何度も打って、時々イメージを修正し

と思う人が多いのでしょうが

イメージ作業と打つことが同じくらいあってもいい

もしかしたら、イメージ作業のほうが多いかも

実際には、打っているときにもイメージすることが大切なので

「イメージのほうが多い」 のが、あたりまえなのかもしれないが。

 

さて、われわれはボールの来る位置を想像し

その想像したボールを打ったら

現物と一致していた

というのが真の姿。

 

無意識に打てば上手くいくのが究極と考えるかもしれないが

本当は常にイメージがあり

黄金のイメージがダウンザライン方向にひらめいて

そのイメージに酔いながらウィナーを決める。

 

イメージがひらめくのは無意識なので

無意識に打つと思いがちだが

イメージも含めたら無意識は無いのかもしれない。

もちろんそのときに

文章やデジタル情報は無意識にしてもらいたい。

 

そうそう、超集中状態

ゾーンに入ってしまい

勝ったことにすら気付かなかった

本当の無意識状態というのもあるかもしれないが。

それは、技術をマスターした後のこと。  テニス

 

カテゴリー: 技術全般, 練習法 | 投稿者松原コーチ 15:47 | 2件のコメント

練習法で変わったこと

『オレンジ』 さんからボレーと練習法の質問です。

以下がそのコメントの全文です。

 

カラオケ  松原コーチこんにちは。質問させてください。

以前コーチのブログでスマッシュは昔と今で一番変わっていない技術かもというコメントを拝見しました。

ボレーに関しては昔と今で技術的に大きく変わったところはあるのですか?

 
また、練習法として以前は常識だったが、今やってたら非常識みたいなのがあったら教えてください。

オレンジ

 

 

 

水瓶座  私の答えです。

 

ボレーで言えば

スライス回転が多くなったことでしょうか

バックボレーは昔からスライスが普通でしたが

回転量が増え

引き起こしが減ったように感じます。

フォアボレーも手首を固定してスライスをかけるようになりましたね。

昔はフラット気味に打つ人が多かった。

スウィングの大きさについては

次回、レフティーさんの質問とあわせてお答えしましょう。

 

 

さて、練習法ですが

持久力のみ重視から

スピードも重視の方向に変わってきたのではないでしょうか。

 

最近見かけなくなったのは、「振り回し」

シングルスコートで

左右に送られたボールを返球する、あれです。

高校のテニス部や大学の体育会での定番。

5分から10分くらい

ボールをひたすら追い続ける。

「手を抜くな、全力で走れ !! 

なんて、怒鳴られながらやったもんです。

5分間、全力疾走で走りきれるなら

オリンピックの陸上、1500mで

間違いなく金メダルが取れる。

選手にしてみれば

いかに全力でやっているように見せるか?

演技力が問われる練習だったかもしれません。

聞いた話ですが

ある大学では

名物の3面使った振り回しというのもあったそうです。

きつい練習をすると、効果はともかく、やった気がする

とにかく、根性は付くということでしょうね。

 

今やるなら

6~10本くらい、2人か3人で交代にやる

もちろん限界ぎりぎりでダッシュ

交代の休憩時間で回復する身体を作る。

こうすれば現代テニスで必要な

テニスの持久力が付くのです。

 

そういえば最近、あまりランニングをしないかも。

現代のテニスは持久力だけではないけれど

間違いなく昔以上に持久力が必要。

長距離を走ることは必要でしょうね。

40年位前に雑誌で読んだ、アーサー・アッシュのインタビュー

「アーサー、ランニングはどれくらい走ればいいの?」

「吐くまでだよ」

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このころのサーブアンドボレーヤーは

今の選手よりボレーが上手いかもしれませんね。

アーサー・アッシュは1975年

ジミー・コナーズに勝って、ウィンブルドンチャンピオンになった人。

 

そうそう、スパニッシュドリル

私は、速いテンポで、8本から12本くらい。

本場スペインでは

ややゆっくりだが

5分以上やっているのだそうだ。  テニス

 

カテゴリー: 練習法 | 投稿者松原コーチ 14:41 | 1件のコメント

スパニッシュドリルとは

『momotaro』 さんから表題の質問をいただきました。

以下がそのコメントの全文です。

カラオケ 松原コーチ
いつも参考にさせていただいております。
ところで、スパニッシュドリルとはどのようなものなのでしょうか。

流れからいくと、フットワークのドリルと推察します。
還暦過ぎて、フットワークの衰えを感じております。
よろしくご教示下さい。

Momotaro

 

 

 

水瓶座  私の答えです。

スパニッシュドリルとは

現在の強いスペインテニスを作ったといわれている練習法です。

ご推察とおり

フットワークのドリルでもあるのですが

身体の使い方、体重の移動も含めた打球練習法でもあり

スタミナ養成のハードトレーニングでもあるのです。

かなりきついです。

 

この、丸をつけた4ヶ所のどれかにコーチが球出しをします。

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次に、他の3ヶ所へ球出し。

それを繰り返します。

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この4ヶ所間の動きができれば

そしてそこからどこへでも打てれば

すべてのショットをこなせる。

それを身につけさせるためのドリルなのです。

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低いレベルでは

フォアの前、フォアの後、バックの前、バックの後

これを2回り。

決まったパターンで出します。

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それなりにできるようになったら

パターンを変える。

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上級になれば、パターンを決めないで行う。

コーチが打球方向やフォアバックなどを

直前に指示しながら対応させたりする。

 

中級や上級のジュニアなら3人で交代しながら8本ずつ。

トップジュニアや体育会の大学生なら、2人で12本くらいでしょうか。

 

スペインの選手はこれを1人で5分も10分もやり続けるそうで

そうなると、人間を超えた体力。

彼らはフレンチオープンで負けかけていても

試合時間が4時間を越えたら

そこから、必ず逆転すると考えているようです。 テニス

 

 

カテゴリー: 練習法 | 投稿者松原コーチ 17:50 | 1件のコメント