「私、失敗しないので」

当方、テレビをそんなに見る方ではないのですが…()

「私、失敗しないので」という台詞に、引っ掛かりました。

以前、放送されていた、自分の腕(技術)のみを頼りにした、フリーの女性外科医師が活躍するドラマでの、主役の決め台詞だそうですね。

視聴率を取っていたとか。

さて、FTCでは「テニスのコーチは、プレーヤーの方の主治医である」との意識で取り組んでいます。

「私、失敗しないので」と言いたいところですが(本気ですよ)、テニスのサポートの場合、なかなかそうも行きません。

幾つか、ポイントがあります。

当然、外科手術はミリ以下の単位や時間との戦いで、本当に熾烈な現場だと思います。

ただ、テニスの打点も、0.004秒前後の判断が、ショットの精度に出て来るのですから、世界のスーパープレーヤー、マレーもジェコビッチも錦織も、幾らでも、ミスヒット(失敗)は出てしまうのです。

自分の思うようにヒットできる1stサービスでさえ、60%でいい方なのです。

まず、テニスがそう言った、「失敗(ミス)を全くしないことが難しい」スポーツであるという事を、認識すべきです。

もう一つ、医師のサポートの基本は「健康で生き生きと生活ができる」という事になると思います。

テニスでは、プレーに対する価値観も「とにかく楽しくプレーしたい」「勝ちたい」「ストレス発散にビシバシ、ガンガン打ちたい」「ただ黙々とプレーしたい」「憧れのフェデラーみたいにプレーしたい」等々、様々です。

では、その基本は、何になるでしょうか?

結局は、前回のコラムに挙げた、“ラリー”なのです。

綺麗なラリーができないトッププレーヤーなんていません。

出来る限り、思ったようにヒットして、ボールをコントロールできるという事を、テニスの基本としておくことです。

「ガンガン来るボールを、ビシバシは打てる」けれど、「ゆっくりなボールをきちんとヒット出来ない」なんて事は、NGです。

当方は、0.004秒のサポートを的確に行える主治医でありたいと、常々、考えています。

「私、失敗しないので」とは言えないまでも…()

ある人が、言っていました。

「あれは、“水戸黄門”ですよ。」と。

「勧善懲悪的に、必ずハッピーエンドが約束された、ドキドキはするけど、安心して見ることができる番組」だそうです。

結局は、作られた物語ですから。

テニスは、筋書の無い、ドラマですよね()

それぞれの舞台で、最高のパフォーマンスができるよう、サポートしていきたいと思います。

 

カテゴリー: テニスコラム | 投稿者武鑓正芳 15:51 | 2件のコメント

ラリー

テニスの面白さ、醍醐味、魅力、基本…その原点は、一体何にあると思いますか?

それは…やはりラリーです!!

「ひとつのボールを連続して打ち合う」という意味で、卓球やバドミントン、バレーボールでも、ラリーはあります。

ただ、テニスの場合、ストロークあり、ボレーあり、スマッシュあり。

その上、屋外であれば、風あり、太陽あり、バウンドの変化あり。

動きのエリアも適度に広く、230分、きちんとラリーできれば、とてもいい運動量になります。

また、相手とのボールを通じてのコミュニケーションあり、自然とのふれあいあり。

いいラリーからは、爽快感を得る事ができます。

心地よいラリーのイメージをしただけで、やっぱりテニスはいいな…、素晴らしいな…と再確認できます。

では、「きちんとしたいいラリーとは」?

結局は、プレーヤーは、コートに立ったら、誰しも、少しでも思った通りに打ちたいものです。

決して、運動能力や運動量、体力や腕力ではなく、「ボールをラケットでどう打つか」ということが大切なのです。

ボールは、打った通りに正直に飛んで行きます。

捉えの所の理屈や感覚を理解し、それをスムーズにとって行くよう、心掛けるだけです。

ご自分の技量やも体力、運動能力に自負のある方でも、ラリーがままならないケースも多いはずです。

ボレー&ボレーや、ショートラリー等、近い距離でさえ、クリアにヒットし続けることができる方は、稀です。

ご自分が、どう捉えているか、お分かりになりますか?

原点であるラリー「ひとつのボールを連続して打ち合う」ことを大切に、打点を取り続けることに的確にトライし、真に楽しんでもらえればと思います!!

試合、ゲーム、競技は、プラスアルファーな要素です。

ラリーを楽しんで、精度を追って行ける。

それがテニスの原点だと常々考えています。

FTCのクラスレッスンを受講されている方は「そうなんだ!」と思ったのではないでしょうか?

FTCのクラスレッスンは、「ラリーして、ラリーして、ラリーして」の90分です。

ラリーをしたい方、ぜひ、体験してみて下さい!!

当方、いつ、何をしていても、テニスが頭を離れることはなく、常に「ああでもない、こうでもない」と思いを巡らせています。

テニス談義も望むところですよ!

 

カテゴリー: テニスコラム | 投稿者武鑓正芳 15:51 | コメントをどうぞ

風の影響

最近では、グランドスラム以外の大会も、地上波での放映も増えていますね。

皆さんも、ゲームを見る機会が多くなっておられるでしょう。

熱心に観戦している方から、「レッスンに来る直前まで見ていた」試合のレポートを聞かせて頂くことも、度々あります。

さて、皆さんは、風によるボールの変化をどう感じていますか?

スタジアムで、屋根が空くか閉まるか、要するに風によるちょっとした変化があるかないかが、どちらかのプレーヤーに有利に働くことが多々あります。

当方としては、とても興味がある部分です。

試合途中で屋根が閉まり、そこから「流れが変わった」と、皆さんでもわかる時があると思います。

昨年のオリンピック・パラリンピックで、日頃あまり見ることの無い様々な競技を目にしました。

卓球やバドミントンは、テニスと共通する部分が多い競技だと感じました。

ただ、この2種目は、完全インドアです。

風はあってはいけない競技なんですね。

バドミントンでは、時折、空調の風が影響を与えるとして、解説でも取り上げられていました。

卓球は、あのスピードと、球の軽さで、風でもあろうものなら、もうラリーにはならないだろうなあ、と見ながら思いました。

テニスの試合は、そのほとんどがアウトドアです。

“テニスは風を感じてプレーする。自然の中で、プレーする。それも面白みの重要な要素なんだなぁ…”と、改めて感じました。

当方、レッスン中に、しきりに風の事を言います。

受講プレーヤーの方は、聞き覚えが相当あり、また、その実感もあるとは思います。

ストロークの場合、いいペースで打っていても、ちょっと風下になったことをケアできず、打点が後方に下がってしまうと、ミスヒットをしたり、強引なヒットになったりします。

構え過ぎも、打点が後ろに下がってしまう、大きな要因です。

また、風上になった場合は、ボールが飛び過ぎてしまったり、目の前で失速するボールに反応できず、取り損なったりします。

風上でも、構え過ぎが弊害となり、変化に対応できなくなります。

相当なレベルのプレーヤーでも、このような判断ミスは、多発します。

トッププロでも風に翻弄され、風下で詰まり、風上で失速するボールに泳いでしまい、いらいらしている場面を時折見かけませんか?

風や相手のヒットに文句を言っても始まらないのですが…()

皆さんも思い当たるはずです()

風下であれば、打点が後方に下がらないよう、少し前目でのヒットを心掛ける。

風上であれば、タッチの加減、扱い(回転)をよりケアする為に、やはり前で処理するイメージを明確に持っておく。

いずれの場合でも、構え過ぎは要注意です。

風による変化に対応する事は、フォーム等は全く関係なく、ただただ、打点に対する認識を持ち、自覚をし、イメージすることのみでできることです。

風は、いつどこで吹いてくるか、変化するか、わかりません。

フォームやコースの事を、必要以上に意識し過ぎると、的確にとらえる事が疎かになるのは当然です。

打点に専念すべきなのです

よく、ミスヒットの後に「足が動いてないなぁ…、足を動かして…!!」と言い聞かせているプレーヤーやコーチがおられます。

しかし、それは正解ではありません!!

逆説的に言えば、足を動かしても、的確にヒットできるとは限りません。

打点や処理の仕方に対する意識や、イメージが無いと、反応できないのです。

目的が明確になれば、足は適度に動いてくれます。

微風、強風、横風、どこでどう吹いてくるか、変化するか、わかりません。

そういった中で、プレーを楽しむのもテニスです。

よく認識し、自分の打点や処理の仕方のイメージを、どんどんよくしていって下さい!!

自然の中で、プレーを楽しみ、パフォーマンスの向上に、トライして下さい!!

カテゴリー: テニスコラム | 投稿者武鑓正芳 15:54 | コメントをどうぞ

技術の基本とその確認

レッスンの中で、ボールをとらえるタッチ(感覚)のみを追う事にトライし、それを楽しむように言い続けています。

今更ながらでありますが、やはり、技術において、最も神経を使って気を付けるべき点は、ボールをヒットする“位置”です。

基本の最優先なのですが、まだまだ結構安易に捉えている方が多いと感じます。

皆さんは、各ショット、ご自分がどの位置でヒットしているか、真に自覚できておられますか?

また、どの位置でヒットすべきであるか、認識できておられますか?

適切な位置でヒットしていれば、ある程度、コントロールはまとまります。

思ったところにボールを打つことができ、ラリーを続けることを目標としているなら、心地よいラリーを続けることができます。

ボレー&ボレーや、ショートラリーの際にも、体の前の方で取っていれば、余裕があります。

ちょっと後ろで打っただけで、すぐ余裕が無くなります。

ロングラリーにおいても、同様です。

ヒットする位置が、2~30㎝程度異なっただけで、コントロールは、大きく左右されます。

ボールの直径は、約6㎝位ですから、2~30㎝とは、ボール3~4個分です。

いいペースで打っておられても、相手の方のショットや風の影響で、ボールがすっと伸びて来たりすると、すぐ差し込まれ、打つ位置が後ろになってしまい、たちまち、思ったようにヒットできなくなります。

伸びて来ていなくても、ご自分が、構え過ぎたり、固くなったりして、ボールを呼び込んでしまい、後ろの方で打たざるを得なくなることもあります。

逆に、相手のボールが失速すると、途端に対応(反応)できなくなり、泳いだり、崩れたり、取れなかったりします。

プレーヤーの方が、ボールを“適切な位置でヒットする”に、どの程度、神経を使えるかで、コントロールの精度は左右されるのです。

この、基本である、“適切な位置でヒットする”を追う事のみに集中してほしいと思います。

よく「どうやったら、いい位置で取れますか?」と質問されます。

ボールをヒットする位置の認識・把握は、ボールを打ちながら覚えるしかありません。

それが、練習でもあります。

位置がわからなければ、コーチに確認してみて下さい。

FTCのコーチは、的確にチェックできます。

そして、確認したら、常にケアして下さい。 

シンプルに、“ボールをヒットする位置”を追うのみです。

「そんなこと、わかってる」と思った方。

「テイクバックを早く」も、「後ろ足を止めて、膝を曲げて」も、「当たる瞬間に握りしめる」も、「肩まで振りぬく」も、“適切な位置でヒットする”以外のことです。

構えやフォームや狙いやスピードに囚われ過ぎると、ヒットする位置への集中は削がれてしまいます。

また、“位置”を追うには、動きが柔軟でなくてはなりません。

ボールは、常に変化するものですから。

他の事に神経が行き過ぎると、動きは硬くなります。

そうなると、位置は追い辛くなります。

効率よくコントロールし易い位置がありますから、常に基本を大切に、それを取る事に神経を使ってみて下さい。

ボール2~3個分で、大きく左右されますから、徹底して神経を使うべきです。

体力より、神経です!!

前述したように、他に囚われ過ぎると、まず位置を取り損なってしまいます。

2~30㎝、言葉では簡単ですが、ショートでも、色々なボールを一定の位置でヒットする事は、大変です。

レッスンをしていて、ショートラリーが荒れていると感じることは少なくありません。

そのまま、ロングラリーになると、後は体力や、運動能力で(ご自分だけでなく、相手の分もかなり頼りにしながら…)ねじふせ、コントロールできているように思っている方も多々見かけます。

技術の基本は、ヒットする位置です。

常に、基本に立ち返り、確認してみて下さい。

位置がまとまると、相当レベルでまとまりますから、トライすべきです!!

使うのは、体力ではなく、神経です()!!

カテゴリー: テニスコラム | 投稿者武鑓正芳 15:54 | コメントをどうぞ

感覚、そしてイメージが重要 その④

しつこさに輪を掛けて、もうひと勝負()

「イメージ」そして「感覚」は、「体力」や「頑張り」では無いと言う事を、ぜひ伝えておきたいと思います。

クラスレッスンの中でも、時折冗談めかして突っ込みを入れていますが、柔らかいタッチでのボレー&ボレーに、体力や頑張り等、全く関係ありません。

ですが、落ち着いてスムーズにできる方は、多くありません。

シンプルなこの動作でさえも、リスクのあるイメージや頑張りが、的確なイメージや感覚を邪魔しているからです。

これには、習慣や、プレーに対する根本的な認識が、本当に根深く影響します。

ですから、「イメージ」や「感覚」を向上させて行くのは、なかなか大変なので
す。

「体力に自信のある方」「頑張れる方」「培ってきた物が大きい方」、これらの方の方が、より大変である傾向にあります。

「体力に自信のない方」「頑張れない方」「先入観のない方」の方が、合理的なイメージや感覚を掴まないとヒットできませんし、一度、それを掴むと、シンプルにそれを追おうとする傾向が強いので、ジレンマ的な大変さは、少ないと言えます。

1000
分の4秒とは、本当に、一瞬です。

だからこそ、タッチ(感覚)と言うのです。

冷静に考えてみて下さい。

トッププロが、本当に狙ってヒットできるのであれば、ボールは、全てライン付近に行き、自分から打てるサービスであれば、100%近くエースになってももおかしく無い筈です。

しかし、そうはなりません。

コートのセンター付近でのラリーは、かなりありますし、立派な体格の大男でさえ、サービスの確立は、60%でいいところと言った感じでしょう。

彼等も、1000分の4秒のタッチ(感覚)を追っていて、幾らでもタッチミスを犯しているのです。

1000
分の4秒の精度とは、それほど大変な事で、感じ取って行くしかありません。

それにトライし、それを「楽しむ」ことです。

ミスタッチを気にし過ぎても仕方ないですし、それでは楽しめないでしょう。

「イメージ」や「感覚」を認識し、把握し、トライし、チェックし、それを楽しめばいいのみです。

そして、指導者もそうですが、1000分の4秒がわかったつもりになってはいけません。

それは、人間の反応できる能力を超えた次元のことだからです。

でも、だからこそ、テニスは面白いのです。

体力がある方、頑張れる方、それは決して無駄にはなりません。

それでのヒットも実力です。

ただ、イメージや感覚を追う事に慣れて行けば、より効率よくプレーに取り組めます。

その方向で、テニスの事が把握できれば、一層楽しくなりますので、是非是非、トライして頂きたいと強く思い(その思いが、4回に渡るしつこいコラムになりました())、今日もコートに立っています!!

カテゴリー: テニスコラム | 投稿者武鑓正芳 14:00 | コメントをどうぞ

感覚、そしてイメージが重要 その③

イメージや感覚に関して、更に突っ込んで述べておきます()

 

“この辺りでこんな感じで打とう”と言った意識で、ボールに対処しているプレーヤーは、本当に、自然に動いています。

体が勝手に動くのです。

「この辺り」「こんな感じ」のイメージを適切に、そして明確に、持っているプレーヤーは、そつなくスムーズに動くことができます。

適度なステップワークを使うことができ、バランスも崩れません。

「普通のボールは打てるのですが、高いボールや低いボール、足元やワイドのボールは、どうやって打つのでしょうか…?」とよく質問されます。

実は、こういう疑問を持つ方は、ご本人が「ちゃんと打つことができている」と思っている普通のボールでも、余裕なく、必死に打っているケースがほとんどです。

ご本人が「できている」と思っている状態が、取り方もバランスも崩れていたり、崩れそうな不安のある状態で、ミスが出るギリギリのところで打っているということです。

的確なイメージに基づいてヒットできていないからです。

そこで一杯々々ですから、当然、特殊なケースには対応できません。

また、変化するボールへのイメージが出来ていないケースもあります。

先ほど“この辺りでこんな感じで打つ”と言ったイメージが出来れば、動きが伴うと言いました。

体力的には、凄く厳しい、速くて角度のついたショットを、本能的に追いかけて、上手く打ち返すのを、よく目にします。

この時は、厳しいボールであったけれど、そのプレーヤーには「イメージがあった」と言う事なのです。

ただ、大きな違いは「イメージがある。イメージを追っている」という事に対して、意識があるかどうかです。

イメージがプレーヤーを動かしています。

イメージではなく、形に偏ると、必ずスムーズさを失います。

距離の短い、ショートラリーやボレー&ボレーで、ラリーをつなげることはできるけれど、一杯々々になっていませんか?

その状態では、変化のあるラリーは難しいのです。

また、感覚についてですが、プレーヤーの方は、打った瞬間に、感覚の善し悪しを感じ取っています。

まずまずヒットできたか、ミスヒットになってしまったか、一瞬で感じ取っています。

ライン際のショットであっても、打った瞬間、その可否を、何となく感じ取っているはずです。

皆さん、感覚を持ち合わせているのです。

それを大切にし、楽しめばいいのです。

物凄い勢いの1stサーブのフォールトを、すっと合わせてネットポスト辺りにさりげなく転がす感覚があるのに、緩い2ndサーブを、ドッカーンとフェンス直撃なんてケース、よくありますよね。

感覚を大切にすればいいのになぁ…と思いつつ、とても興味深いものだと、当方は、チェックを入れています()

考え方や発想を転換してみると、やるべきことが具体的に見えて来たり、面白さが更に深くなったりします。

3回に渡って(しつこく…笑)、ぜひ伝えておきたい「イメージ」や「感覚」について綴ってみました。

ぜひコートで、トライしてみて下さい!!

そして、実践を試みたい方は、当方のレッスンで、熱くチェックされてみませんか?

カテゴリー: テニスコラム | 投稿者武鑓正芳 14:00 | コメントをどうぞ

感覚、そしてイメージが重要 その②

イメージや感覚を追うことは、とても「面白い」とも「怖い」とも言えます。

幾つか例を挙げてみましょう。

風が強く吹く中で、確率よくプレーすることは、大変ですよね。

練習では、バンバン打っていても、いざゲームとなり、風上からのプレーになると、ボールがベースラインを越えてすっ飛んで行きそうで、怖くてヒットできなくなることはありませんか?

腕を縮めるように固くなって、当てるのが精一杯になってしまう。

これは、「感覚」が怖くなっておきているのです。

また、風だけでなく、明らかに失速するボールに対し、不必要に構え過ぎてしまい、反応できなくなり、体が泳いだように崩れて、バランスよくヒットできなくなってしまうことも、よくあると思います。

そんな時、お決まりのように「足が動いていないよなぁ~」等のぼやきが聞こえてきますが、そうではありません!!

これは“構える事”に対するイメージが強過ぎるせいで起こるのです。

構え過ぎて、そこで緊張してしまい、腕が、ラケットが、足が、出て来てくれないのです。

一番肝心である「ヒットポイントを取ってフォロースルーをスムーズに心がける」と言ったイメージよりも、「丁寧に、きちんと構えて」のイメージの方が強くなっているだけなのです。

「ヒットポイントを取る」イメージがなければ、腕も、ラケットも、足も、動きません。

足が動いていないのではなく、動くことができなくなっているのです。

もう一つの例として、低い位置でのボールの処理を挙げます。

低いボールの場合“この辺りでこんなふうにヒットする”と言ったイメージがあれば、スムーズに適度に膝は曲がります。

それに対し、“しっかり膝を曲げて腰を落として”等とやっていると、腿はパンパンになり、膝はガクガクになってしまいます。

どんなに脚力があっても厳しいはずです。

これは「ボールをクリアにヒットする」イメージよりも、「膝を曲げる」イメージの方が強くなり過ぎている事から生じる現象です。

どの「イメージ」を意識しているかによって、動作も負荷も、全く変わってくるということです。

加えて、もう一つ。

距離の近いボレー&ボレーで「お互い、柔らかいタッチでヒットして下さい!!」と指示すれば、ある程度、皆さん面をオープンにして、安定させて打つことができます。

これは「このくらいの加減で打てば続けられる」と、感覚的にわかっているからできるのです。

しかし、距離が遠くなり、ボレーvsストロークでのボレーになると、つい力で飛ばそうとしてしまい「“グッ”“クッ”“ビシッ”“バシッ”」となったりします。

この感覚になると、ショットはバラつき、コントロールは覚束なくなります。

一見、その一球は、鋭く飛んだり決まったりしていても、必ず乱れます。

力を入れないと、飛んで行かないように思ったり、来たボールに負けてしまうのではないかと思ったり、そうすべきものだと思い込んだりしていて、結局は、的確な感覚を失ってしまいます。

なんとなく感じていても、どう言った感覚を良しとしているかや、その感覚に確信が持てなければ、なかなか活用するのは難しいものです。

ただ、この感じでいいんだと感じ取れば、必ずその方向に行きます。

プレーヤーは、「イメージ」や「感覚」を追って動きます。

ですから、「イメージ」や「感覚」が良くなって行くと、面白い程、ヒットできる範囲、精度は、すんなり確実に向上して行きます。

怖いのは、形や体力に偏り過ぎて取り組んでしまうと、的確なイメージや感覚を、失ったり、悪化させる要因にもなることです。

プレーがまとまらなくなるだけでなく、故障の危険も大いにあります。

どの「イメージ」を意識してプレーするかと言う事は、習慣ですので、身に付いた感覚を変化させる事は、非常に大変な事になります。

でも、ご自分のイメージに近いヒットをしたいと思うのなら、トライせざるを得ない事です。

日頃から、気を付けて、「イメージ」と「感覚」を大切にしたいものです。

カテゴリー: テニスコラム | 投稿者武鑓正芳 14:00 | コメントをどうぞ

感覚、そしてイメージが重要 その①

「イメージ」「感覚」。

こう言った表現を指導の場で用いると、漠然とし、曖昧な感じに受け取られ、避けられるケースがあります。

“こう構えてこう打つ”等のフォームに関することや、“あそこに打つ時にはこう”等のコースの打ち分け方、“あっちに打ったら次はこっち”等のパターンに関するもの、そう言った、具体的に感じる事が、指導(アドバイス)と感じておられる方が、非常に多いでしょう。

しかしながら、飛んで来たボールに対し、「この辺りでこう打つ、イメージ」を追う、ということは、プレーヤーが留意してプレーすべき、具体的なアドバイスです。

そして、「ヒットの感覚」や、「動き(バランス)の感覚」に、配慮しながらプレーする、ということも、具体的なアドバイスです。

発想の転換を強く勧めます。

当方がレッスンの場で用いる「イメージ」と「感覚」には、①打つ位置②面の状態③体のバランスという、3要素の明確な裏付けがあります。

この事が把握できると、やるべきことが、とてもクリアになります。

皆さんは、イメージを追って動作をしています。

感覚を追ってヒットしています。

もし、形やコースを気にし過ぎたら、ギクシャクした動作になってしまいます。

丁寧に、気を付けてヒットしているつもりでも、動作に緊張があると、ミスヒット(ミスタッチ)となるはずです。

ぎりぎり届くようなボールを、「これしかない」打ち方で、上手く返球(ヒット)出来た経験はありませんか?

これは、本能的に、「イメージを追った」結果です。

プレーヤーは、本能的に「こう打つ」という、イメージを追い、感覚的にヒットする事ができるのです。

この事を理解し、意識を持った上で、ラリーをする事が大切です。

ボール1個分ボールを前で取って、ラケットの面の向きを少しケアするだけで、いい感覚(タッチ)でヒットできます。

テイクバックの仕方や、足の決め方、グリップの持ち方、“グッ”“クッ”という、力の入れ方など、一挙手一投足を丁寧にやっていても、いつまで経っても、的確な感覚(タッチ)でヒットする事は出来ません。

イメージや感覚(タッチ)を理解し、調節するような取り組みを、お勧めします。

プレーヤーの方に、向き合って指導をしていると、以下のような事が起こります。

“なかなか面の感覚に意識が来ないなぁ…”と長年思っていたのに、ふとした折に、“なんとなく感じ取ったかな…”と思える事があります。

それを境に、その方は、確実に、的確な感覚を追い始めて行きます。

“やれば出来るんだなぁ…”と、その方の向上心とトライに、敬意を抱きますし、感覚の重要さと怖さを実感したりします。

感覚を追うのは、人間だけではありません。

生き物は、“これだ!!”と感じた感覚を追うものです。

イメージに近いヒット、プレーが出来ていますか?!

「イメージ」や「感覚」を追うことを、具体的なアドバイスとして主軸に置く、発想の転換にトライされてみてはいかがですか?!

それは、画期的な変化を可能にする、第一歩になるでしょう。

カテゴリー: テニスコラム | 投稿者武鑓正芳 14:00 | コメントをどうぞ

スマッシュ特訓の教訓

スマッシュの事を書きましたので、関連した、余談を書きます。

当方は、岡山出身ですが、少しでも、テニスで上を目指す為、高校から、福岡の柳川高校に行きました。

もう30年以上前のことです。

当時、経験の為、1年生を団体戦に起用するしきたりがあり、他に強い上級生がおられたのですが、入学したての当方が、ダブルスで起用される事となりました。

高校生レベルですから、とにかく上がってきたロブを「可能な限りスマッシュで、一発で仕留めてポイントを上げる」と言う指令が下りました。

そこで、何が起きたかと言うと、朝から晩まで、ずっとスマッシュ練習のみの日々が始まりました。

連日、練習は上を向いたまま、空しか見ていない日々が続きました。

「スパルタ、しごき」が当り前の時代でしたから、それは、厳しく激しいものでした。

炎天下の中でも、ずっと上を向いて、叩き通し。

隣でやっていた3年生の先輩が、口から泡を吹いて倒れてしまった時は「えらいことになったな…」と思いながらも、当時は、彼を看病する間、休憩できると、3~4人の部員はホッとしていたくらいです。

今だったら大変な事になりますね…()

ただ、それだけ打っていると、理屈抜きで、知らない間に合理的に打つようになっていったのだと思います。

気が付いたら、“目を瞑っても…”とは言い過ぎですが、“上がったら頂き”と思えるようになっていました。

間違った感覚や動きを覚えてしまったら、逆に故障やトラウマになったかもしれません。

が、たまたまはまったのだと思います。

非常に乱暴な取り組みですが、理屈抜きで、合理的なヒット感と動作を、体が覚えてくれた、エピソードの一例です。

高校時代、柳川で、テニスのみに限らず、多くの事を学びましたが、もしかすると、一番大きな収穫であったかもしれません。

尚、落ちがあります。

団体戦ダブルスでのスマッシュは、バンバン打てました。

しかし、その後の個人戦シングルスでは、スマッシュ以外はメロメロで、第1シードをもらっていたのに、初戦敗退。

そこから長いスランプに入って行くのでした…()

やはり、テニスは総合力。

バランスの良い練習が大切だと、今は、考えています。

カテゴリー: テニスコラム | 投稿者武鑓正芳 14:00 | コメントをどうぞ

スマッシユ、サービスの打点について

前回、スマッシュやサービスでの、左右のバランスの事を述べました。

今回は、肝心な打点の事を、補足説明します。

まず、大切なのは、打球感です。

そして、基本的なヒット感は、スマッシュもサービスも、同様と思って下さい。

右利きの方の打点の目安は、「右前低め」です。

ですが、頭の真上、出来る限り高い所で打とうとするプレーヤーの方が、非常に多いです。

そう習って、忠実に努力されている方も、相当おられると思います。

スイングには、遠心力が掛かります。

スマッシュ・サービスは、縦のスイングで、より強く遠心力が掛かります。

頭の真上の高い位置に、打点のイメージを持っていると、ラケットを振りだした時に、体が伸び切ってしまい、不安定になります。

バランスを保てないのです。

右前低めに打点のイメージを置いて、実際の動作を行うと、遠心力も掛って、適度に高い位置で、ヒットできます。

バランスよくヒットできると、ボール投げの動作のように、軽く左足にウエイトが乗ってフィニッシュできます。

打点が不的確だと、このようなフィニッシュになりません。

少々強引でも、運動能力が高く、体にパワーがある方は、高くても、頭の上でも、打つことができてしまいますが、当然精度は落ちます。

大きな力が加わり易いので、打点でのちょっとしたズレが、大幅に出てしまうのです。

俗に言う“ポカ”が出やすいのは、そのせいです。

また、一般的に、体力は低下していくのですから、運動能力と体のパワーで打っていると、やはり、怪我や故障の要因ともなってしまいます。

右前低めだと、慣れない方は、真下に飛んで行くようで怖いかもしれませんが、効率よく、精度よく、ヒットできますので、どうぞトライしてみて下さい!!

カテゴリー: テニスコラム | 投稿者武鑓正芳 14:42 | コメントをどうぞ