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ニットの話 その2(吉丸幸一)

また、社内にニットを企画する機能を持たないメーカーは、ニット産地が企画したものや商社が企画したものから、製品買いをすることが珍しくない。

手の込んだものを国内で作ったりするとコストが高くなってしまう。

そこで、最近では人件費の安い中国や韓国などでニット製品の多くが作られている。

ニット製品は布串とは物作りのプロセスが違うことから、ニット専門のメーカーがある。

ニット製品の展示会は布吊製品の展示会に比べて3~4カ月ほど早く行われることが多い。

ニット製品を作る工場は、普通、布吊製品のようにパターンをもらって縫製することはしないため、下請け工場という立場とは異なる。

自らの工場で企画をし、デザインを提案し、直接アパレルメーカーや小売店とビジネスをしている工場が多い。

積極的に売り先を開拓している工場も存在している。

そのため年何回か産地主催の産地展が催される場合もある。

ニット産地の代表的なところには、新潟、山形、福島、東京(墨田区)、群馬(太田)、山梨、大阪(泉州)などがある。

ニットのデザイナーは工場と頻繁に連絡を取り合いながら物作りをするため、これらの産地への出張が多い。

ニット製品は伸縮が多く、着やすく、動きやすいことから、スポーツウエアやプライベートウエア、レジャーウエアに適している。

かつては、ニットスーツとかニットドレスといったアイテムは、年齢の高い人に人気があった。

しかし、最近では一枚の布のように編んだニットを裁断して作るカット・アンド・ソーの発達により、ニット製品は年配の人たちのものだけではなく、カジュアルファッションの代表として売られるようになっている。

吉丸幸一

カテゴリー: 吉丸幸一 | 投稿者吉丸幸一 10:40 | コメントは受け付けていません。

産地と素材メーカー(吉丸幸一)

織物は歴史が古いため、全国のそれぞれの産地は、古くから伝わる技術を地場産業として発展させてきました。

かつて日本人の衣服が着物だった頃、その着物に合わせて織物は作られています。

そのため、日本国内の産地のほとんどは、約36センチという小幅の着尺を織っていました。

現在でもまだ、あちこちの産地にその影響が残っています。

それぞれの産地は、基本的には扱う原糸によって大きく分けられています。

化合繊織物と絹織物は福井、石川などの北陸地方や桐生(群馬)、米沢(山形)、甲州(山梨)、八王子(東京)、栃尾や亀田(新潟)など、

毛織物は尾州(愛知、岐阜)、綿織物とスフ合繊繊維は遠州(静岡)、三河(愛知)、播州(兵庫)など、

ニット製品は山形、新潟、福島、山梨、太田(群馬)、墨田(東京)、泉州(大阪)など、

タオル製品は今治(愛媛)というように、昔からの産地の特色や地名が今もなお生き続けています。

それぞれの産地は繊維の機種や設備などによって、製造方法や工程などが異なっています。

産地の機械の特徴によって、織物の幅や一反の長さなども微妙に異っています。

織物を作る企業のほとんどは従業貝が10人以下で、機械も10台以下という中小企業が多いといわれています。

このような工場では、全工程を自分のところではできず、撚糸、整経、糊つけ、糸染、布染、整理加工などの工程のほとんどは、それぞれの専門の工場で行われます。

つまり、中小の零細な企業が多いため、どの工場でも分業化されています。

糸を作ることを主な仕事としている紡績メーカーは大きな企業が多いが、織物まで生産しているところはわずかと言われています。

数字でいえば織物の全生産量の10~20%といわれています。

それに対して、残りの80~90%ほどの織物が零細な工場で作られているのです。

吉丸幸一

カテゴリー: 吉丸幸一 | 投稿者吉丸幸一 11:54 | コメントは受け付けていません。