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ハチワンダイバー33巻解説(1)

みなさんこんばんは(・∀・)
将棋漫画『ハチワンダイバー』が発売されるとアクセス数が2倍になるテニスブログですよ。
私はアマチュア低段の棋力しかありませんが、わざわざ検索して来てくれた方のためにも
ハチワンダイバー33巻を初心者向けに解説していきます。

さてこの33巻は、32巻に引き続き鬼将会トーナメント決勝、菅田vsそよ の一局です。
32巻の解説はこちら

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32巻は△4四歩と、そよちゃんが菅田くんの銀を仕留めたところまで。
しかしこの銀はタダでは取られません。狙っている手順がありますね。

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▲5四銀△同金▲2四香△同歩▲6三銀。
そよちゃんの金を動かし、質駒(いつでも取れる駒)だった2四の銀を取り、
▲6三銀と飛車・金両取りです。
ここだけ見れば気持ち良い手順なのですが、先手の玉頭に8六・7六と2つも
拠点があるので、駒を渡すのは怖いところ。△8二飛~△8七銀などの攻めを
呼び込んでしまう恐れがあります。

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△8七銀▲同金△同歩成▲同玉△8六歩▲7八玉△6三飛▲同角成△7七銀。
そよちゃんが選んだのは、いきなり△8七銀の打ち込みでした。
今度は逆に質駒になっていた菅田くんの6三銀を奪い、再度△7七銀と
攻め立てます。これだけ相手に駒を渡して攻めるということは、反撃を恐れて
いないということ。そよちゃんには既に勝ちが見えていますね。

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▲7七同桂△同歩成▲同玉△8七金▲7六玉△7四香▲7五歩△8四桂▲8五玉△5七馬。
これで次に△9四銀、△7五馬~△9四銀、△6七馬~△9四金など複数の詰みがあり、
菅田玉は必至(次に必ず詰む形)です。
相手玉に詰みはなく、自分の玉は必至。将棋の常識では既に勝負ありです。
しかし。

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▲2三歩△同玉▲4三飛。
菅田くん渾身の「最後のお願い」です。応手を誤ると大変なことになりますが、
△3三桂と跳ねれば問題ありません。プロ並みの棋力なら、時間さえあれば
この飛車を取ることはまずないでしょう。
ましてや名人を倒したほどのそよちゃんが間違うはずは・・・

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△4三同金▲4一馬△3二銀▲1五桂△3四玉▲2三銀△4五玉▲5七金まで
菅田くんの勝ち。

そよちゃんは▲4三飛を△同金と取ってしまいました。あとは王手王手で
追いかけ、▲5七金と馬を取り外して大逆転です。
そよちゃんの持駒に銀が残っていれば△9四銀で詰みですが、残念ながら
3二への合駒に使ってしまいました。

ちなみに△3二銀のところ△3二飛なら持駒に銀が残りますが、
やはり▲1五桂以下の王手で追いかけられて5七の馬を取られ、取られた角で
拠点の△7三銀を取り外されてしまうので結果は同じです。
(手順は長いので省略します)
△4三同金が敗着である理由は、▲4一馬のとき3二に合駒が必要になることと、
4三への逃げ道が塞がってしまうことでした。

 

本局は相矢倉から激しい攻め合いになり、一気に決めに出たそよちゃんが
押し切ったかに見えましたが、最終盤に菅田君の勝負手▲4三飛を
取ってしまうという痛恨のミスで大逆転となりました。

このようなミスは、一流のプロ棋士でも秒読みに追われたりすれば
しばしば起きるものです。
それに菅田君が▲4三飛を渾身の力を込めて信じて指したので、
そよちゃんもつい気圧されてしまったのでしょう。

 

ど真ん中のストレートでも、「打てるものなら打ってみろ!」という球は
なかなか打たれないものです。
テニスでも、思い切り強打されたボールがライン際に決まって
「カモン!」とか言われれば、なかなか「え、ア、アウト・・・」とは
言いにくいですからね。

将棋やスポーツに限らず、勝負とはそういうもの。
開き直って堂々としていれば、相手に迷いが生じるものです。
最後まで自分を信じて戦うことが大事ですね。

 

当ブログは将棋漫画「ハチワンダイバー」を応援しています。
いや、でもテニスブログだからね(・∀・;)

 

カテゴリー: ハチワン, 将棋 | 投稿者田舎師 16:01 | 1件のコメント