日別アーカイブ: 2015年11月11日

道具がよくなった

最近、ラケットスタジオにいって、ウッドラケットをよく目にする(ヴィンテージを常設展示しています)というか、手に取ってベタベタ触っちゃってるんですが。。。(笑)

木工事をすこしかじったことがあって、大工さんの仕事より、家具やさんっていう職人さんの木工品が、すごい精度で作られていたり、すごく気を使って丁寧に仕上げられていたりすることに関心がありまして、ウッドラケットも工芸品みたいなものだなぁと思ってしげしげと眺めています。

見れば見るほど、おもしろい。けど、基本知識がなさすぎて、いまいち突っ込んでいけない。たとえば、時代背景とか、その時のテニススタイルとか、世界的に活躍していた選手の実際に動いているプレーとか、プレーを使っての駆け引きのみれる試合とか。。。

ちょいちょいこのブログでもプロ選手の技術って、現代の最高峰の技術だと思って追っかけているわけですが、ワタシの知る「生で見た歴史」ってマッケンローとコナーズが一番古い時代。

その85年にはUSオープンでレンドルが初優勝して、ランキング1位に躍り出た年でした。世代的に「エースをねらえ!」の時代でもあり、少女マンガをみない男子だったので、内容も分からずにテニスって女の子に人気のスポーツだと思い込んでいました。

その年に初めて見たのがそのレンドルとマッケンローの決勝戦。衝撃でした。速くてボールが見えなかった。江川卓が150キロの速球を投げていた時代に、サーブ200キロっていうのも衝撃でした。

それから、30年。ストロークも、ボレーも、技術は進化しました。

簡単に言うと、自然な人間の動作でボールを打ってもそこそこコントロールできるらしい時代に入りました。

ジム・クーリエの登場あたりから、テニスっぽいフォームよりもダイナミックというか乱暴にすら見える強打でも、コントロールができる人が出てくるわけです。

自然な動作、ってワタシが思うのは、こないだ書いた「投球動作」です。モノを飛ばす、っていう基礎がそこかなと。

その動作の一部抜粋であったり、回転をかける方向というか、面の安定を図る方向にある一定の約束を作っておけば、打球面をしっかり作って再現性の高い技術を作り上げられる。もちろん、そのプレーヤーのオリジナルになるように作り上げられると思います。

ひとつには道具の扱いやすさ。重さというか、軽さというか。それと、道具の安定性ですね。ボールの衝撃に負けないような剛性が得られていますから、多少のオフセンターショットをどうにかしてくれる。

戦術的に最も進化を遂げたのは、ワタシはサービスリターンじゃないかと思っています。道具のおかげで下手なテニスがうまくなったりはしないのでしょうが、うまい人の「もっとできるようになりたい」が手助けされるようになった、というのが加速の原因でしょうか。正しい感覚や、そのために必要な要素があるはず、っていうところに扱いやすい道具さえあれば、というようなことで進化したのではないでしょうか。

坂本師匠のところで、ラケットを時代ごとに追っかけられる名鑑を見れるのですが、ラケットをめぐる特許の内容だけでも、百科事典みたいな厚さの本ができるくらいの量です。

よくもまあ、こんなところまで思いつくなぁ、と先人たちの知恵に驚くというか頭が下がる思いで見させていただくのですが、よく考えたら、どれもこれも、それによって持ち手の感覚がよくなるだろう、とか、いままでそんな感覚でボールを感じられなかった、と言ってもらえるように考えられているものなんだと思いました。

フレームの形状、ストリングの張りパターン、操作性、スイートエリアの拡大…いろいろなところに星の数ほどのアイデアがあって、(原書が英語なのでろくに読めていませんが)目を丸くしてしまいました。

シューズ・ボール・ウェア・その他小物たちにいたるまで、そういえばワタシがテニスを始めたころとはすべて変わっていると思います。

以前、二十歳のころに買ったプロスタッフ(セントビンセント)を持ち出してきて、当時フェデラーが使っていたモデルの「K six-one tour90」と同時にガット張って、使い比べてみたことがありました。

似たようなモールドですが、使い心地というか、コントロールの感覚が全く違う。古いラケットは古くて腰が抜けていたのかもしれませんが、スイングしてもただのラケットで、使いこなせない人にはいうことをきかない、そんなゴツさが感じられました。

新しいタイプのラケットは、似たような形状でも、ボールが乗った感触、押し出して軌道に乗せてくれるような感触があり、明らかに手の感覚でコントロールができるような気がしました。

フレームが柔らかいというか、ボールを包むように感じられるフレームに仕上げられているような感じがして、「へえー」って思ったのをおぼえています。

ま、今となっては、プロ契約の選手には特別誂えのラケットが手渡されていて、ワタシが手にしたラケットと同じ感覚をフェデラーが持っていた、と想像するのは勘違いだったかも、なんて知っちゃったんですけど。。。それだけに、メーカーさんはより選手の要望に細かくこたえられるノウハウを持っているんだと思います。

 

カテゴリー: グッズオタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 07:43 | コメントをどうぞ