日別アーカイブ: 2016年5月29日

頭でわかって身体ができない・身体がわかっていても頭が理解できない

きょうのタイトルは、前者の方がよく言われていることだと思います。これは本当に結構あるし、おそらくどんな人でもそう感じていることが多いものだと思います。

イチローですら、頭で理解できたからって出来ない事ってあるよね、とコメントしたことがあるくらいですから、ホントに世の中そんなことばっかりなんでしょう。

どうじに、体ではわかっているはずのことなのに頭で理解できないこともあるんじゃないかと思います。

「思い込み」ってやつ。

あーでもこれも、わかっているようで出来ない事だから、結局は前者と同じことかもしれませんね。

 

 

コート半面を、フォアバック交互に、ダブルスラインからセンターラインまでの幅をいっぱいいっぱい使って、テンポよく球出しします。ボレーボレーのリズムか、もうちょっと遅いテンポくらい。

スクール生の皆さんは、最初、全然取れません。せいぜい2球とって3球目でまだ続いていると「あれっ」ていう感じで、すごく遠いところにボールがあるような感じになって届かないか追わない(追えない)感じになります。

この練習で優しさは仇にしかならないものです。先日の記事でも書いたように、「走るのを途中でやめて手を伸ばす」ことをうまくやると、コート半面のカバーはたいして遠くないことが分かります。

この練習は、とおい左右交互の球出しと、ちかい交互の球出し、そのあとランダムに色々なところに球出しをしていくことで、クローズド・スキルに対応する構えと時間の使い方の意識ができる練習。

ラケット面がちゃんとできるようにするために打点を後ろにしても大丈夫なくらい、手首の形で面の角度を決めて、前に迎えに行くのではなく、面にあたるときには自分の思った方に返球できるように合わせることで、ボールが飛んでいる時間に自分ができることがちゃんとある、ということがわかる体験をするための練習です。

 

ラケットを持っているという意識よりも、自分の体を動かさなきゃ、という意識が強くて、無駄に走るし、一本しっかり打ってその続きにイメージがない。

テニスはラリーをしながら上達していくスポーツだと思いますから、一本だけうまく打てても、その先のラリーができなければ、試合になったときに戦術が立てられなくなります。

自分の体ではラケットを持っていることをはっきり認識しているのに、どうやって振ってどうやって当てれば、ということよりも自分の体がボールの位置まで行くことと、腕に力を入れることまでで、ラケットにどうやって当てればいいかとか、ボールがラケットを押してくる力をどうラケット面で処理すればイメージした狙いと一致するのかとか、そういう意識までいかないものらしい。

 

おそらく、自分自身も長くそうだったんじゃないかと思います。いや、こんな偉そうな事を書いていても、かなりの確率でわかっていないこともあるんじゃないかとも思います。

とくに、バックハンド側にいっぱいに腕を伸ばす動きをするときに、腰と肩をひねってより遠い位置に手を届かせるということが分からない人は多いです。

やって見せて、素振りをさせてみてから、実際にボールに届かせてみて、なんていうプロセスを踏まえてみてはじめて「あっ」みたいな表情になる人もかなりいます。

腕を前に振ることがボールが飛ぶことだと単純に認識しているわけです。もちろん、そうやってボールは前に飛びます。ちゃんとラケットにボールが当たれば。

腕をたたんでおいて、ボールに届いたときには跳ね返っていく方向がわかる程度に面を作る予定で、走るよりも腕を伸ばすことを前提ににゅっと腕を打点に合わせると、関節のある腕は、一定の動きをしてくれて、届いた瞬間にはヘッドが出てきてボールにパンチを与えるくらいの形になって動きます。

ボールとの衝突に負けない程度の力だと思いますが、それが適当なくらいでちょうどいいものなんですね。そこから前に余計に振ってもとくに効果は上がりませんし、ヘッドを後ろに引いてパンチ力をつけようとしても、今度はあてるのがむつかしくなったり、当たったら当たったで飛びすぎちゃったりします。

回転をかけて力を逃がす方法もありますが、それを常にやっていると今度は当たる前から力が逃げる方向に動くことになり、攻撃的なボレーが出来なくなります。

打球後に手のひらに打球感覚が残りますが、かといってボールが当たってもう飛んで行っちゃってるのに、当たった後に向かってフォローをとるような力の入れ方をしても無駄。

インパクトの前から作っておいて、インパクトの向こう側まで抜けるようなフォローは有効ですが、うまくいかない人は見ていると当ててからどこかへ押し出そうとしたり、面をひねってみたりしています。

インパクト前の面がきちんとしていないでフォローに向けて動いても、入り口があっていませんから当たり損ねもするし、ラケット面がぐらついて不安定になったりします。

インパクトこそがコントロールであって、反面インパクトこそがミスの原因でもありますから、確実な準備が必要です。

インパクトまでの「テイクバック」「フォワードスイング」そして、当たる予定のラケット面の「向き」の影響でスピードやスピンの方向、コースや高さなどの条件がすべてそろいます。

スイングがボールにたいしてきちんと入り口を作るような意識でいる事、という言い方はワタシがよく使く言葉ですが、意味が分かるとそうなのかな、と思えると思います。先に待っていて合わせながら確実にボールをとらえられるようになるし、自分の慣れているスピードまでの処理は安定していて、それ以上にスピードが速かったり、バウンドが変化したりすることで準備が崩れてしまえばミスにつながりやすくなります。だからむつかしいショットを打ってくる相手が苦手な感じがするわけです。

 

手の中に、「感覚の中心」になるところがあって、それがラケット面と動く軌道を把握できるようになってくれば、あとは飛来するボールの進入角度と合わせて出口の方向を作るだけです。

大事なのは、処理速度を速めるために、約束にしてしまえるかどうか、ということです。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 15:12 | コメントをどうぞ