日別アーカイブ: 2016年10月1日

個人レッスン

個人レッスンには、メリットが多くあります。

ラケットの扱い方は、型どおりに教わったとしても持ち方や、ラケットの重さの感じ方、あるいは飛んでくるボールに対するリズムのとり方などは人によってだいぶ違うことがあります。

グループレッスンでも、どこのスクールでもそうでしょうが、かならずマンツーマンでコーチとラリーや、テーマの球出し練習などをするなかに個々へのアドバイスをするようにしていますが、たとえば10人のクラスだとすれば、90分ていどのレッスンの中ではきちんと見てあげられるのは2~5分くらい。

クラスのメリットもありますよね。それが色々な人と打ち合いができるうちに対応力が磨かれてくるとか、ゲーム形式などの課題をみんなで楽しみながら理解しやすくなる、っていう面だと思います。打ち方などの技術以外の面でテニスというスポーツを理解しやすくなるってこと、そしてそっちはすごく楽しいってことを伝えられるようにするのがスクールの持っている一面です。

そんな中で、自分のテニスに課題がある方とか、あるいは集中して取り組みたい人、なかには集団の中ではやりづらさを感じる人もいて、プライベートレッスンのニーズがあると思います。

一人で受講される場合はほとんどが、打ち方やラリーでの技術のみで、120分の時間をほとんど使います。

はじめて受講される方も、ワタシを打ち方を診るのが上手いコーチと認識というか信用してくれてオファーを下さっていると思いますが、さいしょのレッスンから、その方の課題に光が見えるようになるまで、一定かそれ以上の時間がかかります。

最初のレッスンでは、矯正法をおこなって、足りない要素に気付いてもらうと、球出しのボールを打つのに、人によっては劇的に良くなることもあり、おたがい(コーチとしても)すごく楽しい時間になるものです。

しかし、ラリーやゲームでその矯正がすぐに成果を表すものではないものです。

もう30年近くレッスンをやってきて、ホント半分くらいの間は、こないだのレッスンで上手くなるコツをつかんだんだから、今日はみせてくれるだろう、なんて期待をしてしまうようなコーチだったと思います。

おそらく生徒さんの方も、せっかくいいことを教わったからすぐに活かさなきゃ、と意気込む気持ちもあると思います。

よくわかったのは、そんなに簡単じゃないってこと。

 

 

理解できるようになったのは、もともとの動きに癖があって、自分でも気づいていたとしても、筋肉が記憶力を持っているので、普通に打とうとすれば癖の方が先に出てくるようになっていることだということがひとつ。

みためは、他の人がやらないような癖の強い打ち方だとしても、その方にとってはデフォルトになっている、自然な対応なんですね。それが、いつついた癖なのか、それもコーチとしては気になりますが、いまその状態であることは間違いないので、その癖がいつか治るものなのか、それとも付き合いながら自分の新しいフォームを見つけていくのかっていう事になります。

 

癖の部分は、とくに準備のための動きにあることが多くて、それが動きのリズムを作ることになります。インパクトの不安定さに影響のある部分がわかれば、そこさえ整えてあげると、リズムはその人がそれまでやってきた合わせ方でできるようになるので、取り組みが簡単になります。

インパクト前に注意しなければならない一つか二つの課題を、気にしながらラリーをしてもらう。そうすることで打ち方とボールが飛んでくる動作に順番がはっきりしてきます。そういうのが見えてくればもうほとんど大丈夫。あとは反復が必要なだけです。

手を取ってスイングを導いてあげることは、コーチにとっては簡単に感覚の違いを示してあげられることですが、頻度が多くなるのはデメリットになることが多いものです。

自分のラケットの扱い方や、ボールのとらえる感覚の違いなどに気付いてもらったら、もうそれ以上は体やラケットに直接触れずに、自分でつくる差の部分に注目してもらいながら練習してもらった方が上達は早いです。

結局は打ち方って頭の中にイメージがあっても、体はそのイメージを追っているつもりで違う形になっていることがほとんどなんです。その違いを直す方法を自分なりに見つけてもらうまでは取り組みは意味がほとんどないのと一緒。

頭で理解できた、ということ以外に成果がないことになります。

コーチの側にも同じような気持ちがありますが、生徒さん本人は、教わった通りにやったとたんに見違えるように自分のショットが良くなることを期待していると思います。

それは、矯正法を行うと、一部分に矯正をかけただけでインパクトが良くなる効果があるのは間違いないので、レッスン中にできるようになったとおもってお互いに喜ぶものなんですが、デフォルトになっている部分の書き換えるには至らないものです。

いままでと違う感覚でボールを打つことになりますから、本人は違和感と戦うことになりますし、結果を求めることが先になってしまうと、直したい動きよりも、飛んでいくボールの方に期待をしてしまいがちです。だってそのためにレッスンを受けてくれているんだから、当たり前ですよね。

だけど、実際には身体ってそんなに器用にいつでもどんなふうにでもフォームを変えて打てるなんてことはないので、まずは動き方ができるようになる方が先で、最初のうちはコントロールや、安定感なんかは期待しなくて大丈夫です。

動作の順序の中に、課題の動きがきちんと入れられるか、とんでくるボールのプレッシャーにまけて、ついいつものフォームまでしかできないでいるかの課題をまず克服しましょう。

それが出来てラケットにボールがふつうに当たってくれれば、手に残る感覚が、いまどうやって当たったか、うまくいっているときの感覚と、見当違いのショットになってしまった時の感覚の違いを身体が覚えてきてくれないと、再現性は上がりません。たまにすごく気持ちのいいショットを打てたとしても、二度と再現できないようでは意味がないですもんね。

そこで自分の「うまくできているはずの動き」と「向こうから飛んでやってくるボールの動き」が合わせられるようになるための練習ができるようになります。

 

だから、練習する課題はなるべくシンプルなものにして、できていく毎に負荷をかけていったり、新しい課題を見つけていくなどして上達への道に入ってもらいます。

その、最初の課題ができるようになるまでは、やっぱり少し時間がかかるものなんです。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 09:09 | コメントをどうぞ