日別アーカイブ: 2016年12月28日

力を抜いてわかる事・入れてわかる事

「脱力する」ことで気づくことが多いのは、テニスに限らずスイングするときには必要な要素なのでしょう。

以前にみていた高校生のジュニアの子が、「コーチぃ~脱力ってこうでいいの~」とぐにゃぐにゃのタコ踊り的なテニスをしてくれたときは、5分くらい笑っててレッスンが中断しましたが、力を全て抜くわけじゃないので、重要なキーワードかもしれませんがやり方ってものもあるのでしょう。

 

普段、ラケットコントロールをしたい意識が強いとぎゅっとグリップを握りしめて、スイングの勢いの方向や、急激にスピンをかけたいなどの時に力づくで打つようなことがある人には、「もうちょっとリラックス!」って声がかかるものです。

大概そうやって力づくでもコントロールしてやろうという人は、そうでない人に比べてセンスがある場合が多くて、要するに入れた力が反映されたときに打球感が変わることが体験として残り、その方の中で打球のヒントとして出来るのでしょう。

中には先入観というか、うまくできているかどうかを顧みないフェデラーや錦織の真似をしようとして頭の中にイメージした形をなぞるだけの「勘違い」的な力みのある人もいますが。。。

よく鍛えられてできた人のフォームを、素人がきちんとトレースできることは稀で、プロ選手は自分の打球感を元にスイングをコントロールしようとしていますから、うまく真似をすることで近い要素をもらうことが出来るものの、いつ力を使っていていつどの力を抜いているかなんてきちんとそっくりにすることはほぼ不可能だと思います。

可能だったら球速はプロほどでなくとも再現力としてラリーでもクオリティの高いショットになると思いますが、現実にはそんなにうまく「相手ショットへの合わせ」までも含めて他人のフォームでコピーしきることは難しいと思います。

 

 

さて脱線を元に戻します。

脱力してみて、そうしたことのない人が気づくのは、「こんなに楽に、しかも伸びるボールが打てるのか!」みたいなものだと言いますね。

スイングは力ではなく量ですので、力を入れて打っても、抜いて打っても、同じ量のスイングが出来ているのなら、インパクトにかかる力は大差ないはず。だから、力を入れてもたいしてすごいボールにならないっていうのと、力を抜いたからと言って急に弱くもならないものなんです。

スイングの量って、スイングがスタートしてからフィニッシュするまでの長さ。ボールに乗っかるパワーに関していえば、フォワードスイングからインパクトまでの長さです。

個人のスイングで、一定のリズムが身体にあるでしょうから、スイングスピードを極端に変えるってことはじつはむつかしくて、力を抜いても、入れても動作のタイミングはボールに合わせて一定の範囲内で行われることが多いものです。そういうことから見ても、インパクトのパワーは大差がないはず。

「ボールが伸びるように」感じるというのには、確かに効果が出る場合があります。

それは、手首がしなやかになりやすくて、ラケットの(トップ部分の)アクションがおおきくなれば、瞬間的なパンチ力が上がることになって、鋭く回転が掛かるとか、腕からラケットへの加速がスムースになってインパクトの強さが増すということもあります。

だから、「ゆるゆるでいい」という表現になると思います。

緩めていいのは、握りというか、手首の事だと思います。しなやかさを出す程度にすること、という方が一般的には良いような気もします。

動作中のラケット面の中心がどこにあるのかわからなくなってしまっては本末転倒ですから。

 

 

 

逆に、力を入れた方が良いというアドバイスをする場合もあります。

インパクトにスイングのアクセントが無いような場合ですね。

あるいは、力を入れるポイントが間違っているような場合です。

身体を回す力=スイングを始めよう、加速させようとする力

腕を振る力=ボールをあっち側へ飛ばそう、力強く打とうとする力

ラケットが動く力=ちゃんと当てよう、面の向きなどに意識しようとする力

みたいな意識があって、全部一緒に力を入れることはできないというか、同時に意識することはむつかしいものなんです。

で、どれが正解ってこともないと思う(どれも必要な要素)ので、その人がどこにフォーカスを当てているのかを見るわけです。

ボールの動きをみて、「いまだ!」みたいな感じでボディアクションがある人。たとえば身体を回す力で腕の力を意識していないかもしれませんね。身体を回すと腕が付いてくるっていう。それでタイミングがいつも合う人は大丈夫なんだし、そこでズレが出るってことは、腕の方が遅れてくる認識がすこし甘いんでしょう。

インパクトに合わせて腕が加速するように力を入れる人も、ラケットはそのせいでおいていかれる動きが一瞬入ることをうまく認識できていないんだろうなと解釈します。インパクト前にその加速を作っておいて、インパクトに合わせて面が出てくる人はタイミングがあっている人ですし。そうでない人も同じ動作がインパクトの役に立たないことがわかれば、すこしずらして考えられれば改善されると思います。

 

スイングが正しいかどうかっていうのは、同じようにやっていても結果が違うことがあったり、結果が違う出方になる人がいるってことなので、「やりかた」に正解を求めるのは良くないのでしょう。

スイングするのは、まず第一にボールが当たる瞬間のために注意を払うってことなんでしょう。飛んでいくボールの事は、手ごたえで覚えていけば再現性が上がっていくわけで、飛んでくるボールが毎回同じではないことはわかっているはずですから、

「面の真ん中に当てること」と

「その面の向きが狙った方にボールをだしてくれること」が出来ていることが最初の条件だと思います。

だから、速いスイングをする事よりも、手がラケット面にかかる衝撃を感じるころには狙った形になっていてきちんと気持ちいい打球感が得られるかどうかの為にやってみてもいいわけですね。

どこに飛んできて、どうやってバウンドするか、変化するかもしれない(思っていたのと違うかもしれない)ボールに、うまく追従してきちんとインパクト出来るかどうか、っていうことに焦点をあてれば、そこは力を入れてもいいと思います。

 

縄跳びを飛ぶときに、縄は最初から最後まで腕の力で支配されている訳ではないですね。くるっと手首を回すと後からついてくる縄が身体の周りをまわっていく、というもので、そこにタイミングを合わせてジャンプするわけです。

要するに腕は、流れを作る動きを必要としていて、ラケットも腕も身体も、回転運動が入ってくるのはガチガチに力を入れるってことではなくて、流れを作る為の力は必要で、ボールに合わせる必要があって、うまく動作の流れに乗せてインパクトを迎えられればボールは狙った方に上手く飛んでいくのを感じられるようになるってことなんでしょう。

 

カテゴリー: 打ち方オタク, 日記 | 投稿者ナガキヤスヒロ 10:32 | コメントをどうぞ