日別アーカイブ: 2017年4月19日

スライスが打てるように

子供の頃から野球で遊んでいたせいなのか、私自身はテニスを始めた最初の頃からスライス(か、それっぽいもの)が打てました。

むしろ「下から上」に振るトップスピンの方が不安定で、大学に入った頃、しばらくはトップスピンで打球するのを諦めていたくらいです。

しかしその頃、テニスコーチのアルバイトを始め、もう人生の半分以上がテニスコーチの仕事に関わっている中で、スライスという壁があることがわかりました。

スライスはこのブログの中でも、「ちゃんと教えることが非常に難しい球種」であることを書いてきましたが、本邦初公開(?)効率的なスライスの導入法を考えてみたいと思います。

 

 

スライスの導入には2つあって、タッチの感覚を使うものと、スイングの作りからいじっていくものとがあります。

感覚のいい人なら、同時にやってもできるのかもしれませんが、そういう人は、教えたコーチの腕前というよりも「見よう見まね」が自分でできて、なんとなくできていくうちに上手くなっていくタイプだと思います。

さて、まずは・・・

その1  遠目の低めでボールタッチ

IMG_0121PCならクリックで拡大

大また一歩で届くところに、低めにボールを落とします。ちょっと時間がないくらいの方が、スライスの特性を引き出しやすいので、ゆっくりちゃんと、ってやらないことがボール出しをする人のコツ、かな

プレーヤーは脚を大きく使って、手も伸ばして、「遠い」という状況の中でラケットにボールを当てます。

当てれば飛ぶはず。

飛んでいくボールが、パーンと強めに弾くように当てられることと、ネットをできるだけ低く越えていくように面の向きを合わせながら調整します。

細かい振り方や、動作の微妙な部分には絶対にこだわらないこと。

できていないうちはできていませんし、細かくやり方を聞いたからといって時間のない中で再現できるようにはなりません。すごくシンプルで、このノートにも小さな図が載っていますが、レディポジションから、一発でこの形になれるようにならないと実用性がないので、一歩脚を出して遠目の打点に腕を伸ばして面の角度を作るだけです。

コーチのデモンストレーションも、それ以外にやらないこと。当てるだけで結構強く飛んでいきます、っていう「簡単ですよ」っていうように見せられれば、説明の大半は省けます。

「上から下へのスイング」とか「切るように振る」とか「肩を中心に腕がどうたらこうたら」とか「実は面は垂直」とか、スライスのヒントって色々ありますが、どれも概念的なもので、できている人を観察していればそんなように見えるだけで、それがどうやってボールをタッチするのかを表現できていないか、あるいは「できない人」にわかりやすくなければただの事象の説明です。

スライスは非常に多様なテクニックを持っているので、スライスの「良い球」ってどれのことを言うのかは実ははっきりしません。

この練習では、「ドライブ系のショットでスイングがうまく届かない」ような状況下での「遠い打点はスライス面が得意」ということに着目して、動作や形の違いがはっきり出るようにする導入です。

 

これでタッチしたボールがネットすれすれにいく「ラケットの出し方の角度」と「当たるラケット面の角度」が両方適している条件を満たすようになれば、

①ドロップショット拾い
で実際に走っていっても手を伸ばさないといけない状況での利用

をすればラリー中のシーンに合わせてイメージができるようになり、

②アプローチからボレー
の練習をして、その低い打点から腰くらいの高さまでのボールにタッチを合わせるようにすることと、ボレーの面の出し方もタッチの仕方を参考にして、同じようなショットになるように合わせられるようにしていく

打点の高さが変わった時に肩の向きで調整すれば高さを変えられる
ワンバウンドでとるときと、ノーバウンドでボレーする時に打点に入ってくるボールの角度で面を合わせられるようにする

という2点がわかるようになります。スライスの面で低めにシャープな当たりができるようになることが最初で、その当たりが分かっているうちに高さの違う打点へもトライするってことです。

その2
野球スイングでホームランを打つ

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この図は「バックハンドスライス」に合わせて「左打ち」の表現です

図の下の方に、手とグリップの絵がありますが、ヘッドが走るように振ることと、その位置で打点を迎えることです。

野球選手のバットスイングは、体が先行するなんてことはありません。ラケットのように軽々とは振れない重さがあるため、とも言える要素があります。
テニスのラケットは軽いので、体が引っ張っても、腕から振り出しても、そんなにタイミングが変わるようなイメージがないと思いますが、バットの重さで、もしも片手でスイングをするとなると、上体を突っ込んで打つような、「体で引っ張るような」力の入れ方をすると、バットのタイミングはすごく遅れることになるので、飛んでくるボールに合わせるのはすごく難しくなるはず。

なので、体を軸に、スイングが綺麗に円?を描くようなスイングになります。

野球の経験がなくても、実際にバットを振ってみるとか、シングルススティックなどの長くて重いものを振ってみれば、重さに任せて振る必要があるってことがわかると思います。

それで、まずはホームランをかっ飛ばしてみましょう。

当たればよく飛ぶ、というのはスライスのスイング方向から見れば、わかりやすい部分なんです。だから、よく飛ぶのを抑えたスイングにするとか、スイング幅は小さくても十分にコートに入る訳です。

それで、気持ちよくかっ飛ばしたら、今度はスイングを全体的に

「前下がり」に傾けて行い、低めのボールが出ていくように角度を変えます。

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ホームランを打つつもりのスイングと、右肩下がりの図です。

軸がまっすぐだと、この図の上の絵のように大きく振り切ることができますが、腰が少し折れて、傾きがあると最後まで振れなくなるものです。

低めに出るボールの感覚がわかったら、今度はスピードのコントロール。

ロブや、ドロップショットなどで長さの調節をすると、全体像が見えてきます。速度の出し方、またはスイングスピードよりも遅い球になるためのタッチの仕方などです。

バットを持った手首の絵の動きがわかるかわからないかが、このパターンのキモになると思います。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 08:40 | コメントをどうぞ