日別アーカイブ: 2018年4月14日

1年か、2年かかる

スイングの要素は体の各部にあって、分解する事によってその効果とか順番とかがあることが分かってきている、という私の研究成果なのですが、それらに一般の方がいちいち詳しくなってもテニスが上手になるのとはまた別。

大事なことは全体の調和の取れた動きで正しい打点の感覚を得られるようにすることです。

「身体をフルに使って打つ」みたいなことは必要ありません。連続した動作にそぐわないからです。フルパワーだしてどこまでボール飛ばすんだってことにもなりますから、フルパワー使ってもまだコートに入るような非力な人ってどうかと思いますし、物凄いショットを打ってなおかつそれを入れる技術があるなら今度はその続き、相手が返球してきたときにどうTENNISするかが課題になると思います。相手のレベルは幾らでも上がる先があると思いますから、うまくなったらステージを上げていけるといいんだと思います。

さて、今回のタイトルですが。

プライベートレッスンをすると、ほとんどはマンツーマンのレッスンで、打ち方の悩みを聞き、それを解決する矯正法をおこなう、という手順になる事が多いのですが、その矯正法がうまくいったとして、それが定着するまではタイトルのように1~2年かかると思った方が良いですよ、というようにしています。

それは、対象となっている生徒さんのレベルがひどくてアンタだったらそのくらいかかるから覚悟しな、という意味ではありません。

これまでテニスを続けてきた中で、その人なりに築き上げてきたのがその人の打球法な訳ですから、それを書き換えるのは慣れて習熟していく必要があるという事です。
矯正法がうまくいったという事は、その人はすでにアドバイスを元に自分のフォームの中に何かの要素を取り入れたら悩ましい部分が改善した、という体験できたという事で、何が悪くなる原因で、手っ取り早く治すにはここに注意しながらスイングすると良い、ということが出来たという事。

つまり、コーチのアドバイスはその方に受け入れられたことになるわけで、生徒さんとしてもすごくむつかしいことをやってのけたというよりは「気を付けるべきポイント」をひとつか二つ、自分の動作の中に組み込んで成功したという事。むつかしくなくて出来るなら気を付けていればいいですね、というレベルの話だったと思います。

で、それを持ち帰ってレッスンでなく自分のテニスシーンで常に気を付けて出来るかどうか、という事。

たとえば確率の悪いボレーをレッスンで矯正して、その練習では確率がグッとよくなった、としても、現実に他の人とのラリーや、ゲームのシーンではやはりミスも出ると思います。

打球技術は、相手のショットが放たれてからの短い時間に判断や反応をした後にできる、ほんの少しのポイントに気を付ける事でいいはずなんですが、それをそのように実践のシーンで成立させるには構え方や反応の仕方にも影響が出ないと、レッスンの効果として実感できるほどのものは無くなってしまうと思います。

つい、普段のリズムで構えて反応すると、矯正前のフォームに戻ってしまうのは、筋肉に記憶があるからです。書き換えるには時間も回数も必要です。
クセ付けをし直さないといけないわけです。

プレッシャーがかかる状況というのも、つい以前の打球法に戻ってしまう原因の一つになり得ます。
とくに、力を入れてスイングを速くするようなタイプの人は、力があるので、動きを速くしてどうにかしようとすることになりやすく、一生懸命にプレーするときほど矯正された打ち方は身体に馴染みがない分出てこなくなります。

準備を速くする=テイクバックを早くすることなんでしょうが、そこで時間が余るくらいの意識をもつとか、つねにゆとりのある状況にできると、気を付けるのにもゆとりを持ってできるはずですが、ゲーム中にそのゆとりがないことの方が多いものです。

だから、元に戻っても、そのせいでミスをしても、それを思い返せることが大事なんだと思います。

「ああー、いま気を付けてなかったなぁ!」と思えたのが、ミスをした直後ならけっこう大丈夫。家に帰ってからじゃかなりマズいです。

「教わったのに、なんでできなかったんだ」と思うのはマイナス思考。
「よし、今度こそ!」がプラス思考ですね。

ミスをした過去はもう戻ってこないですが、この次に期待できるのなら、全然大丈夫。出来るとも思っているだろうし、きっと10球のうち何本かは成功します。

その成功例を増やす努力をし続けていくと、ミスをしないで済む確率が増えれば増える程意識しないでも出来るようになった証拠でもあるだろうし、レベルも上がっていると思います。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 09:29 | コメントをどうぞ