カテゴリー別アーカイブ: 打ち方オタク

テニスの打ち方に対するこだわりを書くとこです
コーチとして勉強してるんですってアピール?

サーブの打点と、スイングと、身体上の位置

前回書いた、サーブが入る形になった話。

よく「上に振れ」とかいいますが、サーブの難しいところってのが、

まず

高さのコントロール

深さのコントロール

だと思うんです。

どちらも、ネットがある為に許容範囲がすごく狭く感じます。

超すのが難しくなさそうなネットと、ベースラインから見るとネットの下にしか見えないサービスライン。こいつが問題をむつかしくしているわけです。

前回のワタシのブログで書いた解決策が、「すっごい高くても入る」でした。これって、サーブがすごく遅くなるってことでもあります。

まあでもこれって、距離のコントロールが出来るようになれば、軌道を下げるのはそんなにむつかしくないです。要するに軌道の曲げ方が分かるので、ネットを効率よくよける方法を会得したような気になるからです。

身体動作上の問題なのは、ひとことで言えば

 

ボール投げの動作に似ている

ってことですね。

そのせいで、身体の向きとラケット面の向きのイメージの差に悩まされることになっているんだと思います。

腕を振っていく方向に飛ばしていくような感覚だと、狙って打って強く当てられる人ほど遠くへ飛ばす形になってしまうからです。

スピードが増す=距離も増す

という当たり前のことが、テニスのルールのせいでネットを越えたらサービスラインの手前に落とさなければいけないサーブをむつかしくしています。

なまじ、プロ選手が200キロを超えるようなすごい強さのサーブをそこに入れているわけですから、出来そうな気もする。

けど、グリップが厚くては打点が高く取れずに軌道の仰角を損することになります(浅い角度で打ちおろすとネットを越えても浅く落ちない)し、腕が先に前に出る形だとアンダースピンがかかって余計に落ちない。

ラケットのスイングは、打点に向かっていくべきもので、ターゲットに向かって振るものではない…くらいに考えておくとイイです。打点だけに向かっていってもコントロールがつくわけじゃないですが。

で、そこでスイングの力が出ていく方向がターゲットの方向、ってことでいいと思います。

打点でラケットにスピードがあると、飛んでいくボールにスピードが乗るものですが、みんな勘違いしているのは打点の位置に合わせて力を入れればいいと思っていること。

打点の位置がゴールになるように振りはじめにスイングの距離とスピードが加速するようにしておけば、加速しきったところが打点になるはず。

その為には体の後ろ側で出来るスイング(フォワードスイング)がサーブの成否のほとんどを担っていると思っていた方がいいでしょう。

姿勢を保って、腕が体の前に出てこようとしないスイング

打点を高くとったら、フェースが上向きにならないような握り。

緩んでいない手首(スピードを出そうとするあまりラケットごと投げちゃうような力の入れ方でない方がいいです=コントロールのためには)

当たった瞬間にヘッドが前に出るような力の入れ方

みたいなものでしょうか。

条件としてはそんなにむつかしくない。

だけど、これが狙った方へとばすイメージになかなかならないんですよね。

連続してやみくもに打ち続けると、そこそこ方向とか高さとかが揃ってくると思います。そこから自分のイメージに合わせてコントロールの要素を面に持たせるようにして行けば、根本的な改善も出来るようになるかもしれません。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 19:15 | コメントをどうぞ

ちょっと待って、片手バックハンドの・・・

片手打ちのバックハンドストロークで、個別に指導する時間があって気が付いたのですが・・・

バックハンドを「手の甲側で打つ」ショットだと思っていませんか?

見た目はそうかもしれませんが、手のひらの感覚を使って下さいね。

そもそも、そうすることで打点の位置がどの辺が良いのかとか、ボールを押す感覚みたいなものが得られます。

手の甲側では、「前から引っ張る」ようなラケットの扱いになってしまいがちで、それって腕も手もラケットよりも先にいかせる感じになっていますから、スイング中にラケットにボールが当たると、衝撃でラケットが重たく感じると思います。

力を入れても伝わらないような感覚のままでボールを打っていると、もっと力を入れなきゃいけないと体が判断してしまって、身体に力みを生みます。

腕に力を入れると、力っていうのは入りやすいところにしか入らないものですから、ストライクゾーンが狭くなると思うんですね。だから、力みのあるフォームだと、球出しのボールなら気持ちよく打てる感覚があるかもしれませんが、高すぎるとか低すぎるとかリズムが悪いだけで上手く打てなくなります。だから、打てていたとしてもおススメはしません。

ヒジ、痛めそうかもしれませんしね。

キャッチャーミットを構えているような感じ、というのがバックハンドのラケットを持つ時にワタシがイメージしている形。

なので、胸の高さくらいのボールがちゃんと打ち返せます。低いのも高いのも、面の感覚がつけばつくほどコントロールが効くようになります。

親指がグリップを下側から支えて、親指と人差し指のリングをつくって、その腹(手のひらになります)でラケットを後ろから押すような格好になるってことです。

これが分かってからはワタシのバックハンドの面の感覚は数年で飛躍的に向上しました。

バックハンドのドライブを打てるようになろうとしたのが30歳を過ぎてから。テニスコーチに戻ったのが36歳のころ。ラリーで安定したのは2年くらい。試合でメインにドライブを打てるようになったのは40歳になろうとしていました。

インドアのオムニコートが主戦場になって、イレギュラーバウンドもするし、硬いコートでバウンドがやや早くなって、対応していくうちに色々な感覚に体が反応するようになりました。

もうちょっとでフォアハンドにちかい感覚が得られそうな感じなんです。

打点のエリアの広さ

打点に入ってからのイレギュラーへの反応

威力

コントロール

回転

などの項目で、どうしてもフォアハンドの方がすべての感覚に勝っているものなんですが、追いつけそうな感じがあるんですよね。

それが、手のひらの感覚でラケットを扱うようになってから。

とくに、高い打点!手が届くんですよね。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 16:37 | コメントをどうぞ

手首を使うー握りによる制限

前回は、厚いグリップでの有用性、っていうタイトルだったのですが、その続きというか、どうしてそう考えたか、みたいな部分です。

硬式テニスは手首を使わないようにして打つ

と最初に聞いたことがあります。思いますけど、これは正しい。

これからテニスを始めようとするとしたら、その人にはそうやって教えた方がわかりやすい。

どういうことかっていえば、テニスの打ち方に、面の向きがきっかりわかるようにして打たないと不安定になる、ということを教えているわけですね。

だから、面の向きがわかるんなら、手首のことはあんまりもう言わなくっていい。経験者に向けては、より自然に打てて、パワフルにコントロール良く打つために、手首をがっつり固定しておいたら、その人にセンスがあったとしてもその上の技術をスポイルすることになると思います。

スイングする上で大事なのはボールをどうやって捉えたかわかる感覚的な部分で、手首を積極的に使うせいで不安定ならそれは固定しろって言った方がいい。

手首の力を使って打て、というような解釈をすると、おそらく上級技術の方から遠ざかることになります。

ボールにパワーを伝える運動の法則の逆を行く可能性が高いからです。

手首はしなやかにしておいて、自然とヘッドが走る位置でインパクトを迎えられるなら、スイングをある程度ゆっくり=インパクトの正確さを損ねない程度に=しても効率良くスイングの形が持っているパワーを利用できるようになります。

みんなそこが知りたいんじゃないのかな。

パワーを載せる、という解釈を、筋力を最大限に発揮できる…と勘違いしている人も多いような気がします。テニスの試合で、プロならグランドスラムで5時間や6時間なんていう試合をする可能性もあります。我々だって草トーに出れば、ワンセットマッチを1日に何試合もすることがありますから、一つのショットに筋力を最大限に…なんてやっていたら疲れちゃって勝てる試合も持ちこたえられなくなるんじゃないでしょうか。

体の中の、強い部分はどこか。パワーを担当するところ、また耐久性の強いところから動きを使うことができれば、疲労度は少なく、ボールに伝わるパワーは強く…それが効率良く打つ、ってことなんじゃないでしょうか。

 

今日はそんな中の、手首の話です。

手首は、どっちかといえば…いや、そんないわなくても、弱い方の器官です。例えば、手首をパタパタ扇ぐように使ってみましょう。何も持たずに。最大速で。

その次に、その手にラケットをもたせて、同じ速さで扱えますか?動作の回転半径が数倍になるので、それだけでも物理的に不可能なものなんですが、重さと長さに手首の力はあまり役に立たないことがわかります。

次に、腕を伸ばしてグッと力を入れて固定し、伸ばしっぱなしの状態で、肩の力で腕を振り回します。グルグルじゃなくて、ブンブンの方です。

手首でやるよりもだいぶ遅くしか動かせないと思います。

それで、ラケットを持って同じようにやってみましょう。手首の方ではガクッとスピードが落ちたと思いますが、もともとゆっくりしか振れなかったのもあって、今度はそんなにスピードが落ちないと思います。(もちろん、同じ速さで振るのは相当な筋力がいると思います)

これ、トルクの話だと思えばいいんですね。トルクの強いところは回転数は上がらないけどパワーがある=低いギヤだと坂道を登るのに適しているけどスピードは上がらないってこと。

手首は器用だから細かく素早く、その分パワーはない。

腕(いまの場合は肩から)は手首ほど器用ではないが、大きなものを動かすのに十分なパワーがあり、それで足りない場合は体幹−足腰が直接それを補います。

手首を使ってヘッドを早く動かす、ってことは、腕のスイングを止めて行うってことになるので、早く動かせる気がしてもそこにパワーは乗らないってことなんです。

ただし、しなやかにムチのようになると、可動域に差が出るために角速度が増し、当たりは強くなります。

グリップを薄く持ってしなやかな動きをすると、ヘッドは打球方向に動いてフラットサーブのような(骨と筋肉の都合でひねり動作があります)ボールをひっぱたく動きをします。

ただし、その動きはラケット面も大きく角度を変える動きになるので、ストロークには不向きですね。

そこで、厚いグリップに持ち替えよう、ってことなんです。

フォアハンドの握りはフォアハンドストローク専用、バックハンドはバックハンドに握りを変える必要も、当然出てきます。

さて前回のこの写真。

IMG_0495野球のバット持ってます。

バットは円柱なので、面の向きがありませんが、これがちゃんとボールを捉えていれば、やはり前に飛ぶ。ラケットに持ち替えれば、グリップは八角形になり、面の方向がわかりやすくなるし、向けないととんでもない方向に飛んでいっちゃうのはわかるので、ここで向きができるように持てばいい。

そうすると、握りが厚くなります。

自分のグリップの持ち方と同じならそれでいいし、同じじゃないからできない、なんてことはないと思います。それでプレーできるかどうかは別。慣れの問題で解決できる可能性だってあります。これはリクツですから。

さてこの形、ラケット面が地面に垂直になるように持っていたとしたら、ちゃんと前に飛ぶし、スイングをきちんとしてここの打点に到達したとしたら、振り抜き方向はどこになるでしょうか?

先ほど書いたような、フラットサーブのようにヘッドが前に抜けるでしょうか?

手首の形をよく見てください。これ以上前に行ったら痛そうです。

腕もほとんど伸ばして使っていますから、これ以上スイングはあまり前方向にはいかないですね。

ラケットは顔の前に円を描くように上がっていき、腕は左手の方向にそれに伴ってついていきます。肩は重さを逃がすために前に出る動作をして、フィニッシュは左肩の前あたりに右手がやってきて、ヘッドはその高さよりも低めに終わるでしょう。

いわゆる「ワイパースイング」的な動きになります。

ラケットの重みに手首が耐えきれないとしたら、握りか手首があまりにも弱くて、スイングの力を受け取れない=ボールをコントロールする筋力もない、ってことになります。そういう場合はスイングのスピードを遅くしましょう。

運動方向には、慣性の法則がはたらきますから、ヘッドは前に行きたがるかもしれません。それは、その前のスイング方向があっていないということ。

ラケットは飛ばしたい方向に振るものではなく、ボールに当たるように振ること。それと同時に飛ばしたい方向に面が向けられるようにしていくと、スイング方向は自ずと決まってきます。

厚く握ることで、動かせる方向に制限を持たせられるようになるので、薄いグリップでラケットを立てるなどして同じように面の向きを作ったとしても、スイングの入る方向が変わりますから、どうしても同じようなショットは打てないものです。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 10:24 | コメントをどうぞ

厚いグリップの有用性と、ラケットの扱い

ワタシ自身は、薄いグリップでテニスに親しんできました。

ここ数年は、厚いグリップと、そのグリップに適したスイングを練習して、ストロークのレベルが上がりました。

わかりますか?テニス歴30年のテニスコーチが、ここへきて(40台半ばを過ぎて)ストロークのレベルが上がったんです。

おそらく、打ち方の基本は薄いグリップの人のようなスイングスタイルをしていると思います。

そしてながらく、ワタシのフォアハンドストロークを悩ませていたのは、自分で思っている以上にヘッドが落ちないことでした。そのことによって弾道をあげたり、回転数を上げたりすることが苦手で、またバウンドの縦の成分が大きい動きにうまくついていけないことがある––イレギュラーや、サーブの方がバウンドが伸びるなどの時に打点がずれて、ボールが浮く––のが、改善されたことと、打点を前にとってしっかり当たり負けない位置でインパクトを迎えることが安定してきて、今すごくストロークの調子がいいです。

片手バックハンドもコツがつかめてきて、ほとんどフォアハンドっぽくコントロールするイメージがついてきました。(まだ完成はしていないので、精度も悪いところがありますが)

 

このブログの記事でも何度か書いてきた、スイングの動作にはスピネーションとプロネーションの動きが混ざってくるのが自然であることが、大きなヒントになりました。

それまで、手のひらを打球方向に向けてインパクトする、イメージ的には薄いグリップの印象でしかスイングの動作と、その腕の形のあり方を検証してこなかったようなところがありましたが、昨年の秋頃から意識が変わって腕の芯があること、その延長上にあるラケットの芯をうまく当てるイメージを持つのに、グリップの持ち方を変える必要があることに気づきました。

グリップを変えると、スピネーションして手のひらが上向きになった状態でラケット面は垂直になる、セミウェスタンからウェスタンの握りになってきます。(フォアハンドの握りで説明しています)

この、手のひらが上向きになった形が空手チョップみたいな形なんですが、自然と肘が曲がって高い位置の打点が基本…みたいな形になります。そこに垂直の面を作ったラケットを手のひらに乗せれば、厚いグリップになるだろうってこと。

IMG_0495これバットですけどね。

IMG_0703

そうすると、腕がスピ→プロのひねりの動作があってヘッドスピードを上げる段階で、ラケット面の向きは安定してヘッドが下がったところから上がってくる、いわゆるワイパー的な動きをしてくれるようになります。

打点の位置の「自分の体の形」を覚えてしまえば、ボールを打つときに面が開きすぎたりあるいは振りが速くなりすぎて持ち上げられなくなったりすることがなくなってきます。慣れれば慣れるほど、だいたいこの辺で当たれば…というのをミスしなければ、ある程度の範囲に狙った通りに打てるようになるはずなんです。

薄いグリップで、手のひらの向きとラケット面の向きを一緒にするのは、腕を振り子にして最初にダウンスイングが起こり、スイングの下端を過ぎて少し前に出ると、スイングが上がり始めて、そこでちょうどラケット面が垂直になるように仕向けてあるようなものです。

球出しのボールであったり、ネットの高さからそう高くない、ちょうどバウンドが頂点から落ち始めたくらいの高さ=ベルトの高さから膝の高さまでの範囲=にボールが来たところがストライクゾーンになるような感じで、その打点のためのグリップであり、スイングの理想形?のようなものの形になってきます。

ずっと違和感があったのは、実際のラリーで、ベースライン同士の打ち合いになれば、バウンドの高さは鳩尾から肩や顔の高さに来ることが頻繁に起こります。

もちろん、膝よりも低い位置でとることもありますが、要するにストライクゾーンを広くとれるようにすることと、ライジング的な、バウンドの頂点からあまり落ちていなくても取らなければならない状況でもきちんと打てるようにするには、スクールで一般的に教えることになるイースタングリップよりか、もうちょっと厚めの握りで教えておいてもよかろう、ということになってくると思っているのです。

 

後ろから前にラケットを動かす時に、自然と腕のひねりの動作(スピネーションとプロネーション)が起こるために、打点がずれるとボールが上手く飛ばないようになる、というのは初級者の方が一様に悩むところだと思います。

厚いグリップは、例えば女性の方が大人になってからテニスを始めると多くの方がそこから抜け出せないで常にコーチからボレーやサーブの時に注意を受ける、ということがありますね。

要するに、腕をひねらなくても打てるような感覚が、厚いグリップにはあるわけで、その安心感から、その握りがとても安定して打ち返すことができて、すぐに自分たちでラリーを楽しんだり、試合ができるようになったりする要素になっているんだと思います。

 

かといって、厚いグリップには多様性がなくなるというデメリットがあります。

ワタシの生徒さんの中には、厚いグリップで慣れているのですが、腕をたたんで体そのものを打点に近づけてしまっては、ボールをうまく打つ感覚がわからない、という感想をずっと言っている方がいて、その握りでそのくらいのショットが打てているんだから自信を持てば?って言っても本人が感覚がないのですから、何か原因があるんだと思って与えたアドバイスは、

 

薄く持ってみて

 

だったんです。そうしたら、その人は打点から体が離れてうまく上体が立つようになり、軸がしっかりすることでコントロールの感覚がわかったような感じになったそうです。

こういうのは、コーチの経験ですよね。。。何週間かかって気づいたんだか。

そこで、ラケットの扱い方は大別して二つある、ということを初心者にも教え、状況に合わせてそこは二つともできるように覚えておきましょうというやり方で教えていくことにします。(ワタシも最近気づいたので、早速取り入れています)

もう一つの扱い方が、薄いグリップで行うことのできるボレーの

『届いてポン』

という感覚。

IMG_0794

 

これだと、写真が小さくて握りが見えませんね…ちょうど、腕の伸びている方向と、ラケット面の角度が一致するような感じになっています。

これだったら、遠くなってもにゅっと手を伸ばして届いた瞬間にタッチしてボールを飛ばすような感じで握れば、反発力でボールが返っていく。

ネットに対して正面向きに立ち、ボールが横を通り過ぎないように、手を伸ばしただけで面が出るようにする感じです。

これに対して厚いグリップの特徴は、それが「後ろから押すような形」になることで、ジュニアの頃からやっている人が大概握りが厚いのは、この「腕の支えの形」がしっかりするために力があまりいらないということになるからだと思います。

腕を縮めておいて、にゅっと伸ばすと、しなやかな動きでボールに当たる時にちょうど面ができる、そんな感じで当ててあげると、しっかり握って形になった瞬間にボールが当たる音がするようなタッチになります。

しなやかで短いムチの先端で、物を叩くような、そういうイメージの扱い方もあるんですよ、ということですね。

そうすると、手のひらのヒールの部分で包むような持ち方をしていないと、不安定になります。否が応でも厚いグリップではコントロールできない。

何しろボール以前にラケットの動きがコントロールできない感じになると思います。

初心者や初級者に、一度に二つも教えるなんて難しいんじゃないか、と思う人もいるかもしれませんが、それは経験者のおごりでしょう。

テニスの練習は、ワタシは算数のお勉強に例えることが多いのですが、これって足し算と引き算を一年生のうちに教えておくようなもので、これができないと掛け算や割り算なんかも分かんないでしょうね、っていうことです。

コンチネンタルでなくてイースタンを教えることが、厚いグリップと薄いグリップの中間のような感じでいろいろなことに対応の効く便利なグリップなんですが、便利な故に違いをはっきり教えきれないんじゃないかと思います。

そして、バックハンドのグリップや、ボレー、サーブに有用性が出ないような気もします。

バックボレーがうまく打てない人があまりにも多くて、その原因が「肩を入れる」形になることができないからなんです。

正面向きでバックハンド方向に手を伸ばしてタッチするだけで返せるのは、届いた瞬間にボールが飛ぶように面を固くするように握るだけで済むからです。

この、「当たっただけでうまく跳ね返せる」という手の感覚はサーブやスマッシュにとても役立つ感覚で、ボール投げがうまくできない(幼少期に経験のない動き)人にはそれだけで自然にインパクト=面の向いた方に飛んでいくという簡単なことに気づけるようになるはずです。

腕やラケットを振り回さないとボールが飛ばない、と最初のうちにはイメージがあるはずです。

ワタシも野球の経験から、テニスラケットも同じように振り回して自由にならないことに「テニスって超難しい!」と思ったクチですから、そういう人が多くてスクールが流行っているんだと思いますし。

でも振り回してるからうまく当たんないんだよ、っていうことにもそのうち気づきますよね。

その時にストロークの形とボレーのタッチの形の二つがあれば、とりあえず当てられれば、向きの方向に返ってくれる、という自信がつくじゃないですか。

だんだんテニスの真理に近づいて行っているような気がしています。

そんな浅いものじゃないでしょうけど、ワタシだって30年向き合ってるんですから、少しくらい底の方が見えるような経験をしてみたって良さそうなものです。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 21:53 | コメントをどうぞ

スイングと角度の問題

ボールが飛来する角度によって、スイングの入れ方を決めておかなければならないと思います。

例えば、高くて深いボールが来て、下がる判断に遅れた場合、ライジング+高い打点という技術的には難易度の高い方のものが要求されます。

難易度が高くても、当てるだけにして返すんならやり方は簡単かもしれませんが、試合中で、そのショットを甘く返すとちょっとまずい、なんていう状況を想定して練習するとなると、どうしていいのか分からなくなってしまう人もいるかなぁと思います。

単純に言えば、入射角と反射角を合わせれば狙った軌道に近く、ボールをコントロールできるはずなんです。

問題は慣れてしまえばそれだけのものですみますが、いつものスイング軌道をとれなくなることが難しく感じる人には、もうちょっと複雑だと思います。

ワタシはクセで、文字が多いので、説明がより難解な感じになりやすいのですが、言ったってボールがラケットにあたるほんの一瞬のこと。形を覚えてシンプルになるように磨き上げれば、上手く打てる人と同等になってきます。

凸み(ふくらみ)型のスイング軌道と凹み(へこみ)型のスイング軌道があっていいと思います。

ボールをしっかり飛ばしたいなら、基本は凸み型。初心者のクラスでコーチがデモンストレーションする、普通の美しい軌道です。

IMG_1449そこで自分のデモを載せるってどうなんだろう・・・

インパクトを強くできて、もともと強打者タイプなら、飛距離を調節する為に凹み型の動きをとりいれる、みたいな感じでしょうか。

IMG_1353

これね、わかりづらいというか写真がこれしかないのでもうアレなんですが、一番高い所にあるラケット面が、手首を返しているようになっているのを見てほしいんですね。

返しているのは手首ではなく、前腕から。要するにひじから先です。いわゆるワイパー的な動きをさせるわけです。

テイクバック完了からインパクトまでの、フォワードスイングの距離=自分のショットに与えるパワーですから、その強さがコートに入るのに十分なら、それ以上スイングを押し出す必要はありません。(この写真だと真ん中のラケットは押してる形してるけどなぁ)写真は球出しのボールを打っているものなので、基本形の凸型っぽいんです。。。

ただ、インパクトが強い人は・・・とくにプロ選手のインパクト直後の写真なんかをみると、完全に面が下向きになっちゃってるやつとかありますよね。あれ、当たっているときは垂直の面で入ってきているんです。当りは強いけど、すぐにフェースが上に抜けるように脱力しておいて、フェースの下の方とかにちょっとずれると、ボールの重さの影響でああやって下向きになる。

で、それが絶妙にいい感じにスピードは有るけど飛距離はコートの中程度、っていうものになっていて、ラリーをするのに丁度好かったりするわけです。

腕だけでも使える間接は手首、肘、肩とありますから、振り初めの形でおこるスピネーションに腕の形がなったとしても、握り方(厚めに持つ)とか、手首を外向きにひねっておくとか、そういうかたちでボールの飛来する角度を受けやすくしておく必要があります。

緊張していつも通りにしか形が出来ません、というひとは、打ちやすくなる位置まで移動できなかったらそのままミスにつながる確率がバーンと跳ね上がります。

バウンドにも勢いがあって、スイングそのものにも打点に入れる為の軌道の角度があって、自分の体をどう使うのかで合わせやすさが違います。

とくに深いボールのバウンドは縦にボールが動く成分があるので、後ろから前に振るようなレベルスイング的なかたちだと、その縦成分と合わないような感じになるハズなんです。

そこで、肩と腰のターンが重要になってきます。打点に奥行きが出るような目線でボールを待てるようになれば、その縦成分への対応が見えるようになると思います。

で、そういう目線が出来ると、そこにいても手が届けば何でもうまく打てるようになるわけじゃないってこともわかってくるはずです。ちょっと移動して、肩と腰の角度を変えれば、手が届くならコントロール可能な範囲が広がるものなんですが。

 

ボール軌道を予測する目を鍛えないと、そこいらへんが見えなくて入り口がわからなくなるものだとも思います。

 

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 10:55 | コメントをどうぞ

面の開きを抑える

スイングのスタート時には、必ず面が上向きになろうとする力が加わります。

フォアハンドストロークでも、バックハンドストロークでも、ボレーのときでも、腕をしならせて振り始めることで、ラケットのパンチ力をあげる要素が出るときに、腕はひねる動きが混ざります。

IMG_0638 IMG_0639

 

ボールを持って、上の写真の形から、下の写真の形にヒュッと動かしたら、飛びます。

上の写真は、腕の外旋、下が内旋。これに、回内が加わると、プロネーション。IMG_0642

これ、上手投げのボール投げの動作ですが、下からやっても、上からやっても、振り始めは手のひらが上向きになる形になり、投げ終わりは手のひらが下向き、あるいはもうちょっとこの写真のように回ると思います。

逆に、こういうひねる動作をしないと、砲丸投げのような形になります。腕の長さを使って投げると、砲丸が重すぎて腕がおかしくなると思うので、砲丸投げの技術の中にも回内する動きがありますが、ひねりこむパンチを打つような形になります。投げ方をそのまま、軽いボールにしても、飛距離はそんなに変わりません。トルクが大きくなって重たくても動かせますが、飛距離が出るような動きではないということ。

 

フォアハンドストロークはこれを下からやっても同じように振り始めに手のひらが上向きにはなります。

IMG_1449

 

フォアハンドのトップスピンを打つスイング軌道ですが、写っている右腕は五本(向こう側に隠れているのでラケットは6本ありますが)。

打点でラケット面を垂直にしようとしていますから、フォワードスイングでラケット面は伏せていくように振り出しますが、一番右の腕は、面が外向きになるように腕をひねって(回内して)あって、オーバースピネーションしないように用意されていますが、二つ目と三つ目の腕は手のひら側が上向きになっています。

ラケット面はグリップを厚く持つことで上向きにならないようになっています。

4本目の腕で打点の直前ですが、上腕も手のひらも前向きになってきているのは、プロネーションが始まってきている地点であることを示しています。

こういうのは自然な動きの、そうなる場所にラケット面とインパクトの形を合わせているだけで、手首を使って打て、と言っているわけではありません。

例えば、これよりも打点が後ろになっても、面を作ることはできますが、フォワードスイングが短くなることと、腕の重さの出てくるところとが合わないために大幅にパワーダウンします。手首や肘を積極的に使ってラケットの動きを速めようとする人も見かけますが、ショットの威力には繋がらないものです。

そして、後ろの方になるほどこのプロネーションが始まらないので、ボールをフカしてしまうような形にもなりかねません。

こういうのは手の感覚が一番よくわかっているものなので、上に行きそうだな、と感じて抑えてコート内に落ちるようにすることもできますが、逆に言えばほんの一瞬のことなので、打点に合ってるつもりでスイングしても、早く上体が開いて相対的に後ろっぽい打点の形になってしまう時に飛びすぎのアウトになってしまいます。

ワタシの場合は、テイクバックで一度体から腕を離して、体を回すのを抑えるように肘を体の方につけるように絞ってきて、プロネーションが始まるのを促します。

だから、体から引っ張るようなスイングではなく、ボールを後ろから支えるような形でインパクトの形を整えるイメージがあります。

左腕と右腕の肘を近づけるようにして両腕を絞るような形にして、スピネーションをすることでヘッドを遅らせながらも、先に打点に手首(腕の位置)を打点に送り込むような感じにします。

ヘッドは遅れてきて、追いつくころの形はプロネーションが始まる形になりますから、そこが一番ヘッドの動きが出るところ。

グリップと打点があっていること、そのスイングに肩の向き(開きかげん)があっていること、腕の重さをぶつけるような感じで打点に腕を入れる感覚…などがワタシにとっては良い打点の条件です。

バックハンドストロークは片手打ちですから、フォアハンドよりも振り始めのラケット面は上向きになろうとする要素が大きいです。(動きが逆方向ですから、プロネーションしてから、スピネーションに移る、という動きの順序)

これも、肩から開かないこと、そのために左腰でスイングを送ろうとしないこと、体からスイングが自然に離れていくようにスピネーションを使うこと、などが条件ですが、遠くへ深いボールを打たれて合わせるのが難しい。

そこで、最近はオープンスタンスでも片手で打てるように、体の正面近くの打点も使えるようにしてみています。

腕が体から離れていて、グリップはかなり厚く持つようにしていれば問題なしです。

片手バックハンドのワタシなりの今のコツは、打点が近すぎないように気をつけることと、手の甲側の動きを制限してヘッドの動きを把握することです。

体からみて、スピネーションに移る頃に、フォワードスイングがダウンスイング方向なために手の甲側が負けそうになるような、ラケットの重みを感じます。

そこを耐えてスイングが地面に平行から上がるところに来ると、ヘッドが自然と持ち上がるような形になり、腕がふっと軽くなります。

そこが打点の、オイシイところです。十分に肩を入れてスパッと打つと、フォアハンドよりもスピードも重さも乗ったショットになるそうです。(受けてくれる相手から言われたので)

IMG_0763

 

スライスを打つときにはこのスピネーションから面が安定する方向にスイングをれるだけで、体を開き気味にしておいた方が合わせやすくなりますが、スイング中に体を回すとそれがどの位置で面を固定することになっているのかが全くわからなくなるので、開き気味にして準備し、肩を回転させないようにしてスイングだけを打点に入れていくようなイメージになります。

スイングの幅が取れるような、ストロークでのスライスはこの写真のような感じですが、ボレーでは決めようとするときほど大振りになり、この写真でいう左から2本目の腕のように、かなり面が開いていても、この一瞬だけ開くので、振っている本人はこの開きに気付かないものです。

だから、テイクバックの時にその動きを強く制限しておかなければならないと思います。ワタシ自身は握りも強く持ち、手首を意識的に固定し、上腕が重さに負けて倒れないように意識して自分のイメージと合わない動きが勝手になされないように気をつけてインパクトまでを持つようにしています。

ボレーはそれができていれば、いかに当てるのがうまいか、という技術になるので、極力早く準備が完了するようにしています。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 09:30 | コメントをどうぞ

スイング以前の問題

スイングをどうやって、とか、ラケットをどう握って、とかに悩むひとがとても多いのですが、ほとんどのかたが「打ち方」が悪くてテニスが思ったようにできない、と感じているように思います。

できない・・・?というか、むつかしくしているのは、「打ち返し方」です。

基本的な打ち方を持っている人・・・ほとんどのプレーヤーは、自分の感覚の中で、体が覚えているような動きはすぐにほかの人の動きになったりしませんから、うまく打ったショットも、ミスをしたショットも、同じように動作しているんだと思います。

それが逆に、対応性を狭くしているのかもしれません。

ラケットはこう振るべき、という思い込みとかがあれば、高い打点や低い打点になっただけでもむつかしく感じたり、逆にチャンス!と思ったからしっかりよく見て気を付けて打ったのにミスをしたりします。

例えば、ラケットにボールが当たるときに、ヘッドの方が上にあるようなときは、ボールは上にはいかなくなります。ワタシのように背の低い人から見れば、腕と体が離れていって面を維持できなくなりそうな不安があって、どっちにスイングを持っていくと安定するのかわからなかった時期があります。

ラケット面をタテにして狙ったコースに向きを作れば、上にはいかないわけですから、ネットしないように振ればいいんだなってことがわかります。

最初から100点満点のスイングも、インパクトも不慣れなんだったら無理です。ラケット面をタテにしてヘッドを上げた形で面を作る、ということが意図的にできて、本当に上に行かないなぁってことがわかれば、アウトの方向にはいかないだろうなっていう部分の安心ができます。

ネットしちゃわないことが最初の条件で、サイドアウトもしないようなコースにしとけば、たいがい入っちゃいます。

強く打つとか、速い球に見せかけるのに、ボール軌道の高さをどうすればいいのかだけ練習すれば、狙い方は簡単になります。

低い球や、トップスピンロブみたいな、持ち上げ系のショットを簡単にするのはその逆の発想。

ヘッドを下げて入ればいいんです。

ヘッド下げたまま打点を前にとれると、ボールの下側にさわれます。スピンの形でスイングが入っているのなら、その先のスイング方向は上方向の成分だけしか残っていません。てことは、スピンがかかることと、ボールを持ち上げる感覚だけが出てくるので、ふっとばしちゃうようなら握りがよっぽど合っていない。

逆に、ボレーでは、腕を前に振っちゃうようなタイプの人が、よく当たった直後に力を抜くようにしたり、スライス成分を出そうとしてヘッドを下に回すような動きをしますが、例えばダブルスでのボレー戦のように素早い動きを必要とするときなんかには、

ヘッドが下がる=ボールが上がるの法則

に従って最初に浮かせて相手にチャンスボールを与えちゃうかもしれません。

ラケットがボールに当たった時の影響を考えると、準備を十分にするには、スイングをどうするかよりもインパクトをどうするかのイメージに沿って適切にテイクバックを終えられるかどうかが大事なことです。ゆとりをもってスイングをスタートさせられる方が安心です。

速いサーブを返すには、いつでも振り出せる形にいかに素早くできるか、が「コンパクトなテイクバック」のもう一つの言い方です。

肩と腰がさっと準備できれば、腕は後ろに引くよりもグリップを前に出して打点が取れるようにだけすれば、サーブの威力をしっかりブロックして叩き返せるような形になります。

ボールの見え方も、動きになれるほどにゆとりのあるものになっていくものですが、よい準備ができるようになるだけでも自分の成功イメージがしっかりできると思います。

ボール見た瞬間に動けるようになっているか、どの方向へも動けるように構えの形はよいか、ただ見ているだけになっていないか、できていなければいけないけど、ラリーのレベルが低いとその基礎はいい加減とか曖昧でも大丈夫になってきます。

それでショットのアベレージが上がったり、相手がすごいうまかったりすると、そこの基礎をちゃんとしていないことがすべての破たんを生みます。

いまいるレベルで満足なら、それ以上はいらないと思いますが、試合に出るような人はいつどこでそういった基礎の重要性に気づくかわかりませんね。

てことは、練習する機会が常にあるような人なら、

常に気を付けてやってできるようなことでもあると思うんです。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 08:03 | コメントをどうぞ

サーブのフォワードスイング

昨日書いた、体の後ろ側のスイング=フォワードスイングについてですが、グラウンドストロークでもいえることだし、スイングの長さが必要なサーブやスマッシュでも同じように重要です。

ここいらへんの動作をちゃんとすることは、ワタシの分類では「上級技術」だと思っています。

いわゆる器用な、特定のスイングスタイルの人だけが持つような「高等技術」とは違いますが、人間の日常生活でできる運動する型から、よりテニスに特化した制約の中で作るものだからです。

運動神経がよいだけで自然にできるようなものではなく、ある程度かそれ以上の経験で、打点の範囲を特定でき、なおかつ向こうからくるショットのレベルも高い中でないと必要性を感じないくらいのものだと思います。

ただしサーブは、以下の条件を満たす人なら、誰でもできるし、むしろフォームを固定するための制約ができて、その約束さえ守っていれば目をつぶって打っても入っちゃうくらい安定します。(実際ワタシは、目をつぶってもきちんとインパクトできます!立ち方と方向さえ合わせておけば、責任は持ちませんが、ボールが入っちゃうことだって普通にあります)←サーブってのはそうやって型にはめることでできるようになるショットだから

https://youtu.be/FBkFgS3e4QY

フェデラーの動画です・・・ってこれちゃんとみれるようになってんのか?

さてこの美しいフォーム。誰もが憧れる理想のフォームの条件をほとんどすべて持っています。ダイナミックさに欠けるとかもっとパワフルなフォームでもいいような気もしますが、一般プレーヤーがこの美しいフォームを持っていれば、ケガなどの心配もなく、テニス人生はながくて輝かしいものなんじゃないでしょうか。

今日は着目してほしいところが一点あります。

それは、インパクト時の腕の位置。
フェデラーの顔が隠れていないと思いませんか?

サーブのスイングは、ボール投げの原理で使う動きですが、そうすると肩が先に回転して、上体が前向きになり、その通りのフォームだとおそらく打点が一番高いとこ、という意識で打ったとしても上腕からひじのあたりが、このポジションからの撮影だと顔を隠すようになるはずです。

ひじ関節がインパクト前に前に出るということは、インパクトでは面をやや上向きに傾くことになるか、薄い握りで面の向きと腕の形を得られたとしても体が行こうとする方向と腕が振られようとする方向がずれていて、スピードが出る当たりをすると距離も伸びるようになってとてもシビアな高さを通さなければ入らないサーブになるかもしれません。

これ、この通りにうごいてベストなインパクトを作れるようになるのけっこうむつかしいものだと思うんですよね。

しなやかな腕の動きって、野球の前田健太投手のやる「マエケンダンス」みたいな、骨盤の動きが肩を揺らして腕の動きがしなやかにでる、一連のチェーンリアクションになることで、下半身で生まれた力が手の先端まで増幅されてしっかり伝わる、というモノだと思います。

で、そういう理解でやると、骨盤から回転をつくって肩➡肘とつながっていくから、打球方向を向いてしまった方が簡単だし、そうすると上述のように肘から先行して前に出る。これを上方向にこの動画のようにもっていくには、トロフィーポーズでの姿勢と腰と肩の向き、運動を始めるときにどっち向きに運動するかを理解していないといけません。

ボール投げと一番違うのは、投げるときはターゲットの方に顔が向いて、そこをよく見ることで照準を合わせたことになるんですが、ラケットを持ったサーブの場合は、投げあげたトスに向かって顔を向け、トスに当たるところがボール投げの標的と同じイメージになる。で、そこからがむつかしいんですが、顔の向きとか運動の方向がトスに向かっていくラケットまでのイメージになるので、その時にラケット面の形とスイングの抜けていく方向がサーブが入る方向になるように作れないといけないんです。

これ、短時間の練習では感覚的に手にできるようにならないので、スクールでのレッスンでの練習時間ではちょっとむつかしいかもしれません。

ワタシの場合は、朝に200球を毎日欠かさずに2年と、そのほかに練習やレッスンで打ち続けるという感覚のためにトレーニングがあったので、目をつぶっても入る形ができるときは、本当にちゃんと当たれば見ていなくても入ります。ダブルスだったら日が当たる方のサーブを買って出るくらい、トスを見なくても打つ自信がありました。

身体の中心線よりも後ろ側でのスイングとインパクト、それに合わせたコンチネンタルか、バック寄りの薄い握りができるようになり、さらにラケットヘッドの動くスピードが最も速いポイントでインパクトできるようになることです。

スイング方向は、自然と横向きでないと当てられなくなっているはずなので、インパクト後には腹側に腕が落ちてくるように振り抜かれ、自然と回転のかかる方向へスイングが抜けていきます。

フェデラーの動画では、トロフィーポーズからスイングがスタートしたら最初に肘が上向きになるところがありますが、腕がしなやかなら肘はカメラ方向に向いてきているのに、ラケットが打球方向の反対側に流れて、バックハンドの面がカメラの方に見えているはずです。
この腕が自然とひねられて戻る(スピネーションして・プロネーションする)のにラケットの重みも乗っかって、強いインパクトになります。

腕が先行していないために余計な「押し」がなく、距離はスピードの増加に比例せず、サービスライン内に収めやすくなります。
また、スイングをする腕が勝手に前に出て打点の高さが不安定にならないように、身体?頭?がブロックするためにスイングのピークは一番高いところを必ず通るようになります。

これで、スイングの形がよくなるのはよくなるのですが、スイングのトップスピードを打点に持ってくる(オーバーヘッドのスイングは打点でヘッドが一番速いのがいい)こと自体が簡単にできるものではないんです。

この理想のサーブのむつかしさは、「狙った方に体を向けられない」という制約と戦わなければならないことです。

そのためにやることが、準備の姿勢です。トロフィーポーズをどうとるか。

インパクトまでのスイングであって、ターゲットまでのスイングではない、と思い込むくらいの気合でその向きを考えましょう。

ほとんどの一般プレーヤーが、トロフィーポーズのところで、胸が後ろを向くほどの身体の向きを作れないものです。

じっさいワタシもそうです。もう7年くらい取り組みでやっていて、ここ2年くらいやり方がわかってきたのでやっと今になって書いているんですが、スタンスと最初のモーションの作り方は、自分で工夫しましょう。

マッケンローみたいに極端にクローズドスタンスにする方法

後ろ足を寄せてきて腰の開きをブロックする方法

腕を少し遠めに回すようにして肩でひねる方法

お尻をネットの方に向けるような動作をして、それから前足に移動していく方法

・・・などなど、プロ選手の中でも様々です。
要するに、そこに「こうでなければいけない」という形はなく、骨格や運動のクセなどに合ったやり方があっていいと思います。

どうしても欲しい条件は、「ストレスなくその方向に振り出せること」です。

利き腕でない方の腕がそうであるように、自然なスピネーションとプロネーションができない腕もあります。投げる動作の経験のない腕は、ワタシの左腕もそうですが、サーブをつよく、コントロールを多彩にすることはできません。

ただ、一般レベルであれば十分に速いサーブと思われるようなサーブは打てるようになると思います。それと、スライスサーブはちゃんと打てます。

その場合は、それに合ったスイングと打点がまたあるはずなんです。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 18:59 | コメントをどうぞ

後ろ側のスイング

平たく言えば、フォワードスイングの事なんですけど、最近気が付いたんですが奥が深い。

こういう、インパクト前の『良い準備』に相当する部分は、スイングの核心であるインパクトにフォーカスしているので、きちんとインパクト出来るのならそれでよいとされます。

コーチをしていても、良い準備からきちんとインパクトを迎えれば、スイング通りのボールが飛んでいくので、「理にかなっている」とみてそれ以上は言わなくていいかな、と思いがちになる部分。

これは、コーチとしては良くないのでしょうが、最初に「欠点」を探そうとするところからきているのかもしれません。

欠点ではなくて、不足している部分などがあれば、ショットにパワーがのらないなどの悩みがあって、プレーヤーさん自身から相談があると思います。それは、身体の使い方などに明らかにその要素がなかったりするので、欠点としてコーチには映ります。

今回言おうとしているのは、良く使われる言葉で言えば「ユニットターン」。もうちょっと説明っぽく言うと、肩と腰のひねりこみ動作です。

ひねる動きというのは、ひねり戻しをするために使うものなので、「溜め」のような要素です。

フォワードスイングは、スイング上の役割としては二つあります。

ボールにのせるパワー

回転の方向

です。

フォワードスイングを長くとる、あるいは速く振ることは、勢いの強いショットを打とうとすることになります。

ここで注釈ですが、勢いは強くなりますが深さのコントロールはそこでは出来ません。弱く打っても長く打つことが出来ますし、強く打っても浅く落とすこともできるのは、スイングの他の要素をうまく組み合わせるから。・・・・といこうことは、技術がないと思いっきり強くは振れないってことにもなりますけど、それがテニスの面白さでもあります。

同時に、インパクトに合わせるために調整区間でもあるので、この部分の動作は慎重に行う形にするべきです。よって、そこで勢いよく強く振りだして当たり損ねの多い人もいるのではないでしょうか。

打球感覚というのはインパクトの衝撃が手に伝わって、結果からのフィードバックをもらって学習していくうちに身体で覚えていくものですから、力いっぱい振っていてもテニスが上手くなるわけではないですし、力を抜いて加減したつもりでも、思い通りのショットにはなっていかないはずです。

強く振ることと厚くあてる事は意味が違いますし、厚くあてるには手首よりも少し遅れたヘッドをうまく打点に合わせてやることで起こるパンチ力を得られれば感覚が解ってくると思います。

腕を大きく振る代わりに、肩の位置を後ろに持っていき、手首を先行させてヘッドが暴れないようにセットして、スイングの長さを確保しつつ正確にインパクト出来るように合わせていきます。

これを振りはじめてからインパクトまでの一瞬のうちに出来るように・・・というのは、難しいテクニックになると思います。

ボールが勢いよく来れば、こちらにプレッシャーがかかって後ろに引く時間が多くはとれないと感じてしまいますし、当てて返す方が先決ですから、落ち着いて姿勢をつくること自体が難しくて、ボールのスピードやバウンドの予測、スピードに対するなれ、ボールとの同調のよいリズム感のある動きなどが求められます。

 

プロ選手の試合でのラリーに、破たんが見られないように見えるのは、そういった要素がからんで調和がとれているから。

決して腕力がすごいからレベルの高いショットが打てているわけでもないですし、当たる瞬間にラケット操作が出来るほど神がかった技術をいつも出しているわけでもありません。

身体の後ろ側でのスイングが安定すればするほど、ショットのアベレージは上がります。

だけどそれって、打球技術の総合力を試されているようなものです。

凄いなぁこの人!相手のショットがモノ凄いのに全然崩れないしむしろ勝ってる!

と思って聞いてみたら、実業団の、それも日本リーグに出ているプロでした。

やっぱりなって感じでもありましたけどね。

 

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 17:47 | コメントをどうぞ

スライスで使う力

きのう、ジュニアにスライスを指導する、という記事を書いたのですが、まあ概念的に自分が思っていることを書いちゃったので、具体性もなにもなかったですよね

で、スライスが苦手な人が何が足りないのか、ジュニアに限らず一般でも、ある程度ラケットの扱い方に「あそび」を持たせておかなければ、後から急に言われてもできませんてなるのが怖い、と思います。昨日もそういった観点から思ったことを書いたまで。

ストロークでドライブ系のショットをうまく打つには、打点に先に

「腕が入る」

という要素が必要になります。そこにラケットの動く流れがあってほしいわけです。

腕とラケットで成す、二重振り子の動きですから、先に腕が運動をはじめ加速をし、その腕の動きからラケットに伝わった運動エネルギーがインパクトに結びつく、というもの。

野球のようにどこまでもとんでもいいものではないですから、そこで出来る面の向きと、振り抜き方向に一定の法則が出来るようにしておいて、強烈なインパクトであってもコートに収まる方法があるんだと思います。

プロのフォアハンドのウィナースピードって160キロくらい出てることがありますよね。以前ウインブルドンでデルポトロが放ったフォアのクロスへのウィナーは190キロってでてたけど。。。それが入るんだからすごいっす。

腕の動きが不十分であると、どこかで手首やひじなどの関節を上手くたたむようにして面をつくることが出来ます。多少くいこまれても返球できる。

だから、ちょっとくらい打点を外してもラリーを終わらせずに済むわけです。

そして、そのショットは威力もコントロールもベストじゃない。それは、畳んだ腕が途中でエネルギーを十分にラケットに伝えられなかったから。

で、腕が入らなかった時に、

面をつくる・面を入れる

みたいなことをするわけです。

これは、あまりスイングをせずに、ギュッと握って面を固めるようにして、ラケットの反発力を使って弾き返すような形になります。

これは、面の向きの作り方さえ良ければ、コントロールはちゃんと出来ます。

面白いのが、打点を後ろ側にとって面を入れる(ギュッと固める)とボールはそこそこ飛んでいきますが、

打点を後ろにとって面を固めつつスイングで運ぼうとすると、全然飛ばなくなります。

ちなみに、文章だけでは分かりづらいので捕捉すれば、打点を後ろに取っちゃったら厚いグリップで持っていられなくなります。向けられないから。

 

とまあ、そんなようなラケットとボールの約束事を頭に入れておくと、ストローク(ここで言うのはドライブ系の)と同じようなボールの見方や打点への入り方をしていくと、やりづらさを感じるんだと思います。

ここの、ラケットの出てくる動き方の違いを手が理解していると、スライスもドライブも、どっちもいけるようになると思います。

体全体が動いて打点じゃなくて、手が打点に入ってラケットが出てくるとか、面が出てくるとかっていう感覚にならないと、分かりづらいものはあるんじゃないでしょうか。

普通の高さのボレーで考えるよりも、難しいハイボレーとか、身体から遠くに腕を伸ばして打つような打点の時(もちろんサーブやスマッシュでも)にもそういう(ラケットでボールを見れる)みたいな感覚は役立ちます。

連れてくると、流れ上出てくるラケット=腕を入れるとできるラケットの動き

腕の長さや動きは位置を合わせるためにつかって、手のひらで解るボールの感覚をつかう=面を入れる時に使う力

ちなみに、腕を入れる方の動きをしないと、ドライブ系のショットは上手く飛びません。

てことは、面を入れる動きは、ブロックとかスライスの動きになります。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 12:39 | コメントをどうぞ