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” あの約束から3日後。 徐々に授業でテスト範囲が “

” あの約束から3日後。

徐々に授業でテスト範囲が発表され始め、生徒たちはピリピリしてきた。
テストは授業毎に行うので、俺たちのクラスで一番最初のテストは魔法陣解読学。
次の週の、4日目だ Playtime for Kids
ちなみに最後のテストはその最初のテストから数えて10日目。
それが終わればその週の最後には成績が発表され、翌々週からは夏休みだ。

この世界の教育機関には夏の長期休みと冬の中期休み、それから学期始め前の「準備休み」が存在する。

魔族の大陸はまた別だが、この大陸には「四季」という概念はない。
あるのは夏、冬、そしてどちらでもない「ウェーラル」。
学期の始めについてはハーゼンでは俺の知る「春」にあたる辺りのウェーラルが一般的だが、アイリールでは「秋」にあたる辺りのウェーラルが普通だ。

「…うーん、最初が魔法陣解読学か…」
「ハル、何気に苦手だよな。魔法陣解読学」
「カレナはどれも割と熱心ですけど、魔法陣解読学は特に熱心ですよね」
「まあ。楽しいじゃん?」
「……何処が?」

そんな会話を交わしながら、約束した演習場への道を歩く。

センパイ2人が指定したのは校舎から一番遠く、一番魔法耐性が強い演習場だった。
外見はどの演習場もさほど変わらないのだが、中に入って驚いた。

「うわ」

うっかり呟いてしまってから、内心舌打ち。
即席でイイワケを考える。

「人、多いな」

続けたイイワケに、先に頷いたのはハルだ。

「だな。上級生だけかと思ってたけど」
「まあ、見学も多いようですしね」

咄嗟のイイワケだったが、事実でもあったため違和感なく話が通った。
呟きの本当の理由を知られても多分そこまで害はないが、せっかくテストで適度な順位を取ろうとしてるのに、あんまり「デキる」所を見せ過ぎるのも良くないだろう。

実際の理由は、生徒には見えないよう魔法で防護の掛けられた、演習場の床や壁にぎっしり敷き詰められた魔法陣に引いたから、だった。
魔法陣の構成は、「魔法吸収」一色。
しかも魔法陣に触れたものだけという単純構成。
そのまったく同じ魔法陣が、四方の壁と床、天井に分け隔てなく、これでもかと言うように描かれているのだ。
なんかもう、ちょっと気持ち悪いくらいに。

見えたら引くって、普通に。
まあだから、普通には見えないようにしてるんだろうけど。

そこそこ人の居る、広い演習場で特定の人間を探すのは少し骨が折れる。”

カテゴリー: 未分類 | 投稿者jennifer92 05:24 | コメントをどうぞ