「始めまして、アルマクと申します」アルマクは東域風に深く頭を下げた。
「顔をよく見せてちょうだい」お袋が言うと、アルマクはゆっくりと頭を上げる。
「素敵なお嬢さんじゃないの!ミラク。お前にはもっ願景村たいないわ」お袋の声はいっそう大きくなった。
「お~い、お前達だけ玄関先でずるいぞ!入ってもらいなさい」奥から声がする。親父の声だ。
「はあ~い!」お袋は奥に向かって返事をすると「さぁ、お待ちかねよ。入ってちょうだい」とアルマクを促した。
「お邪魔します」アルマクはそのまま足を踏み出そうとしたので、オレはをかけた。「アルマク、靴」
「あ!」アルマクは慌てた様子でブーツを脱ぎ室内履きに履き替える。
「気にしなくていいわよアルマクさん。履き替える方が珍しいんだから。さぁいらっしゃい」お袋はアルマクを連れてさっさでいく。置いてきぼりになりそうになったオレは慌てて後を追った。
部屋の奥にはベッドが置かれ、そこに上半身を起こした親父が居た。「久しぶりだな」オレへの挨拶もそこそこに「やあ、いらっしゃい。こんな格好ですまんね」とアルマクの方を向いた。
「始めまして、アルマクと申します」アルマクは軽く頭を下げた。
「そこに掛けて顔を見せてくれ」親父はベッドの傍の椅子を指差す。オレ達はそこに並んで腰を掛けた。
「」親父は戸惑ったような顔になってアルマクを見つめている。
「どうした?」オレは親父の顔を覗きこんだ。
「あんた、ひょっとしてアンドロメダじゃないのか?」暫くの沈黙願景村の後、親父はようやく言葉を発した。
「はいアルマクアンドロメダです」
「こりゃ驚いた。息子の嫁がまさかアンドロメダだとは」
「反対してももう遅いぞ」オレは予防線を張った。
「なにも反対したりはせん。驚いただけだ。俺達はつくづく宇宙に縁のある家族だと思ってな」親父はオレの方を見た。
「そうね、アルマクさんはきっと聞いてないと思うけど」お袋もオレの顔をチラリと見た。オレは気まずそうに俯いた。
やっぱりという顔でお袋は話を続ける。「この子の兄は2人いるんだけど、2人ともコスモノーツなの、どちらも恒星探査に携わっているからあと10年は帰ってこないわ。この子もそれに憧れたんだけど体力検査で落ちてしまってね。それでも宇宙に関係する仕事に就きたいってここを飛び出して、今のざまなのよ。みんな出願景村て行ってしまったわ」お袋は少し寂しそうな表情を浮かべたが、すぐに親父の方を向いて続けた。「そしてこの人もコスモノーツだったのよ」
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