り訪ねてき術前だ

喘息の発作が酷く入退院を繰り返した小児病棟で、見舞いに来た彩に帰っては嫌だと、朔良は縋って泣いた。1歳しか違わないのに、彩は朔良のベッドに上がり込んで眠るまであやした。ひそめた眉をなぞっても、朔良は身じろぎもしなかった。
無意識のうちに自分を呼んだ朔良を今は放ってはおけない白鳳丸功效と思う。手術の後は、耐えがたいリハビリが待っている。
朔良の冷たい額に掛かった髪を撫で分けて、彩はもう心に決めていた。

里流は鴨川総合病院の裏口で、中に居るはずの彩を待っていた。
待っていても会える保証はなかったが、何処に居てもいたたまれず、いつしか足が病院へと向かっていた。せめて少しでも近くに居て、彩を思っていたかったがそれは余りに迷惑なだけの女々しい行動のような気がする。
6階の外科病棟の204号室に、織田朔良は入院していると守衛が告げた。
話をしたこともない織田朔良の友人だと里流は告げて、病室を聞いた。

「あの……会えなくてもいいんです。少しでも良くなったら、お見舞に来ますから病室だけでも教えてもらえませんか。」

「ああ……6階の204号室だね。今日救急で運ばれてきた高校生の友達かい?手から養陰丸しばらくは面会謝絶のようだよ。」

「そうですか……一緒に、親戚の人が来ているはずなんですが。」

「それは、わからんね。」

管理人は入院者名簿を手に、気の毒そうに里流を見つめた。おそらく親友が心配の余たとでも思ったのだろう。
里流は頭を下げて、病院の外に出た。
晩秋の冷えた空気が、寂しい心を凍らせる気がする。救急車に乗り込む前の血の気の無い彩の顔が、何度も脳裏に浮かんだ。

本日もお読みいただきありがとうございます。(〃???〃)

彩は落ち込んでいるし、里流は暗いです……(′?ω?`)
しかもストックが尽きたので、不定期更新に突入必至です。できる養陰丸だけがんばりますが、すみませぬ。
着地点が決まっているので、頑張ります。 (`?ω?′)←ほんとよ。


カテゴリー: 未分類 | 投稿者luckryer 12:11 | コメントをどうぞ

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