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オルレアン公ルイ

1380年に亡くなった先のフランス王シャルル5世の息子で、この年28歳になったばかりの青年であった。
血筋から言うと国王の党とということで、権力を持ってもおかしくはなかったのだふぁ、シャルル5世が亡くなった時、現国王シャルル6世はまだ12歳という若であった為、アンジュー公ルイ、ベリー公ジャン、ブルゴーニュ公フィリップの3人の叔父達が摂政についたので、彼が権力を持つことはなかったreenex
1388年にはそのシャルル6世も20歳の青年となり、自ら国政に乗り出し、叔父達の力は一旦弱くなったかのように見えたのだが、それから4年後の1392年、シャルル6世の精神状態が不安定になると、再び3人が乗り出してきたのだった。
「きえーっ! 許さぬぞ、許さぬぞ!」
シャルル6世は、たまに病状が落ち着き、普通に政務にとれることがあるものの、すぐそんな訳の分からぬ奇声を上げ、辺りの物を窓から投げ捨てたりするようになっていた。
「陛下のあの状況を見て、あれで他国の者と謁見できるとお考えですか、兄上は?」
不愉快そうな表情のままで、フィリップ豪胆公がそう言うと、ベリー公ジャンは苦笑しながら首を横に振ったreenex
「それは、思わん。あんな状態を見られてしまえば、諸外国に見くびられ、要らぬ火種を招きかねんだろう」
「でしたら………!」
「いや、だからこそ、オルレアン公ルイ殿との協調が必要なのだと申しておる!」
すると、フィリップ豪胆公は何度も首を横に振った。
「甘い! 甘すぎますぞ、兄上は! あやつは、あの陛下の弟なのですぞ! あの女の血を引いておるのですぞ! いつ陛下と同じように狂われるとも限らないではないですか!」
豪胆公の言う「あの女」は、亡きシャルル5世の正妃ジャンヌ・ド・ブルボンのことであった。彼女は夫の亡き後もしばらく生きていたが、末の子供を産んだ辺りから奇声を発してあばれるようになったので、塔の奥に監禁され、姿を他の者に見られないようにされたのだったreenex
豪胆公達が話をしているこの時には既に彼女も亡くなっていたが、その彼女の奇行は何度も耳にしており、息子が狂う様を目の当たりにした身としては、「これ以上危険な者に任せておけない」と思うのも、至極当然なことであった。

カテゴリー: 未分類 | 投稿者peipeisuibia 11:58 | コメントをどうぞ