ソアレスのツイート

楽天ジャパンオープンのダブルスはマクラクラン/ 内山の日本ペアの優勝で幕を閉じました。開幕時はまさかこのペアが優勝するとは誰も思っていなかったのではないかと思います。決勝はややマレー / ソアレスのミスに助けられた感もありましたが、ここぞというときのサービスとリターンは素晴らしかったと思います。ロジェ / テカウにも勝っての優勝ですから文句なしの優勝と言っていいでしょう。

もしデビスカップで錦織、杉田、内山、マクラクランというメンバーで戦うことになれば、メンバー全員がツアータイトルを持っていることになりますから、現状のドリームチームといっていいでしょう。とても楽しみです。

一方負けてしまったマレー / ソアレスですが、私はソアレスがスピーチで最初にこの一週間に試合を見に来てくれたファンへの感謝を述べたのが印象的でした。実は大会の期間中にソアレスがこんなツイートをしていたのご存じでしょうか。

“Great doubles action and packed house in Japan”

packed houseというのは「満員の観衆」という意味だそうです。つまりこのツイートの訳は「日本にて、すばらしいダブルスの試合と満員の観衆」といったところでしょうか。

このツイートに添付されている動画は1回戦のマクラクラン/内山 vs T.ヒューイ/A.シャマスディンの試合です。「2017年 楽天ジャパンオープン観戦記10/3」の記事にも書いた通り、この試合では、センターコートでの試合がたまたま早く終わってしまい試合が行われていたのがこのコートだけになってしまったのでお客さんがこのコートに集中することになりました。ソアレスがその事情を知っていたのかは定かではないですが、なんにしてもダブルスの試合にこれほどにお客さんが入ることは珍しいのでツイートしたのでしょう。このツイートには往年のダブルスの名手であるウッドブリッジや、ヒューイットやツォンガのコーチとして知られるロジャー・ラシードが喜び記したリツイートをしており、関心の高さが伺えます。

こちらの記事にあるように、ソアレスは以前ダブルスの地位の低さに不満を表すツイートをしています。そんなソアレスですからこの光景は心底嬉しかったはずです。ただソアレスが自分が出ていたわけでもない試合をわざわざツイートするほど喜ぶということは、逆の見方をするとソアレスほどの実績を持つプレーヤーですらお客さんが満員の中でプレーする機会がほとんどないのだという、ダブルスの厳しい現実を物語っています。

話は変わりますが、私は一介のテニスファンとして、日本が世界のダブルスプレーヤーがこぞって出たがるような「ダブルス観戦大国」にならないかと密かに願っています。ジャパンオープンの開催時期はUSオープンとデ杯が終わった後で多くの選手が疲れていますし、日本はツアーの主戦場であるヨーロッパからすると地理的に遠く、しかも同じアジアに来るのであれば同週開催の北京オープンの方が賞金が高いなど、ATPツアーの中でジャパンオープンを取り巻く現状はなかなか厳しい気がします。そんな中でダブルスはジャパンオープンの価値を向上させる打開策にならないかと私は考えています。日本は今でも比較的ダブルス観戦が盛んであると言われていますから、その強みを活かしていくというのはどうでしょうか。

残念ながらダブルス観戦が比較的盛んとはいえ、現状はダブルスの選手について良く知っているファンははっきりと少数派です。ファンにダブルスプレーヤーについて良く知ってもらうのに一番手っ取り早いのはダブルスの試合の放送枠を増やしてもらうことですが、これについては現状でWOWOWもGAORAも相当努力しているので、これ以上はなかなか現実的ではないでしょう。ひとまず、ジャパンオープンのホームページやパンフレットのダブルス選手についての記述をもう少し充実させるとかが現状で考えられる最善策でしょうか。

話をソアレスに戻しますが、このツイートをしたソアレスは満員のお客さんが嬉しくもあると同時に、そんな中でプレーしている選手たちが羨ましくもあったのではないかと思います。決勝戦は日本人ペアが出場することもあってかなりお客さんが入っていましたが、いつか日本のテニスファンにもっとダブルス観戦の楽しさが浸透して、日本人選手の出場の有無に関わらず、満員の観衆の下でプレーさせてあげられる日が来ることを切に願っています。

 

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カテゴリー: ジャパンオープン | 投稿者ステイバックダブルス 16:01 | コメントをどうぞ

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