人工妊娠中絶(人工流産)は、妊娠を終了させるために行われる醫療行為であり、薬物や手術を使用して実施されます。現代の醫學技術の進歩により、人工流産は比較的安全になっていますが、それでも一定のリスクや合併症が伴います。これらの合併症を理解することは、女性が流産手術を選択する際に適切な判斷を下すために重要です。また、術後のケアを適切に行うことも回復を促進し、リスクを最小限に抑えることができます。
本記事では、人工妊娠中絶の手術とその合併症について詳述し、リスクを避けるための予防策や適切な対応方法についても説明します。
一、人工妊娠中絶手術の概要
人工妊娠中絶手術は主に薬物を使用する方法と手術を用いる方法に分けられます。
薬物流産：薬物流産は、妊娠初期(一般的に妊娠49日以內)の女性に適用される方法です。この方法では、米非司酮(ミフェプリストン)やミソプロストール(シタソール)といった薬物を使用して、妊娠を終了させるために子宮収縮を促し、妊娠組織を排出します。薬物による中絶は、手術を避けたい女性にとって比較的非侵襲的な方法ですが、全ての女性に適用できるわけではなく、健康狀態や妊娠週數によって選択肢が変わります。
手術流産：手術流産には吸引法や掻爬法(かっぱ法)などがあります。妊娠が進んだ段階(一般的に妊娠7週以降)の女性には手術が選ばれます。吸引法は比較的簡便で安全な方法ですが、掻爬法は妊娠12週以上の場合や、吸引法が効果的でない場合に使用されます。手術流産は、麻酔を使って行われ、醫師が器具を使って子宮內の妊娠組織を除去します。
二、人工妊娠中絶手術の主な合併症
人工妊娠中絶手術には、身體的および心理的な合併症が伴う可能性があります。これらの合併症について理解することが、手術を受ける際に重要です。
1. 身體的な合併症
子宮穿孔(しきゅうせんこう)：手術中に子宮を誤って穿孔してしまうことがあります。子宮穿孔が起こると、出血が多量になり、場合によっては緊急の手術が必要になることもあります。また、子宮の修復が必要となる場合もあります。穿孔が重度であれば、妊娠に影響を與えることがあります。
子宮感染：手術中に適切な消毒が行われない場合や術後の衛生管理が不十分な場合、子宮內で感染が起こることがあります。感染が広がると、子宮內膜炎や骨盤內炎症(骨盤腹膜炎)などを引き起こし、最悪の場合、敗血症や不妊症になる可能性もあります。
宮腔癒著(きゅうこうゆうけつ)：手術後に子宮內膜が癒著してしまうことがあります。癒著が起きると、月経不順や痛みを引き起こすことがあり、最終的には不妊症の原因となることもあります。掻爬法や吸引法で子宮內の損傷が広がると、癒著のリスクが増加します。
過剰出血(かじょうしゅっけつ)：手術後、出血が長引いたり、過剰に出血したりすることがあります。出血が続く場合、手術によって完全に妊娠組織が取り除かれていない可能性があり、再度手術を必要とすることがあります。過剰な出血は早期に醫師の診察を受ける必要があります。
異所性妊娠(いしょせいにんしん)：人工流産を何度も繰り返すと、將來の妊娠に異所性妊娠のリスクを高める可能性があります。異所性妊娠は、受精卵が子宮以外の場所(多くは卵管)に著床することにより発生します。この場合、妊娠が進むことはなく、急激な腹痛や出血を引き起こすことがあります。
ホルモンバランスの亂れ：手術後、ホルモンバランスが亂れることがあります。月経不順や排卵異常が生じることがあり、これが原因で將來の妊娠に影響を與えることもあります。特に流産を繰り返すと、ホルモンの影響が長期的に続くことがあります。
2. 心理的な合併症
人工流産は身體的な影響だけでなく、心理的にも大きな影響を與えることがあります。特に、望まない妊娠を中絶した場合、女性は強い感情的な反応を示すことがあります。
感情的な不安定：人工流産後、多くの女性は感情的な波を経験します。例えば、罪悪感、後悔、悲しみなどが生じることがあり、これが長期間続く場合もあります。流産後の感情的な反応は、個人の性格や狀況によって異なります。
心理的外傷(PTSD)：流産後に心理的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症する場合があります。これは、悪夢や過去の出來事に対する回避反応、感情的麻痺などを引き起こす可能性があり、深刻な精神的な影響を與えることがあります。
生殖に対する不安：人工流産後、將來妊娠できるかどうかに対する不安が生じることがあります。中絶手術後に妊娠に不安を感じる女性も多いため、再び妊娠することに対して恐怖や心配を抱えることがあります。
三、合併症を予防する方法と対処法
人工流産手術に伴う合併症は完全には避けられない場合もありますが、適切な予防策を講じ、術後のケアをきちんと行うことで、多くのリスクを最小限に抑えることができます。
1. 信頼できる醫療機関の選択
人工流産を行う際は、信頼できる病院やクリニックで手術を受けることが最も重要です。醫療機関の選択は手術の安全性に大きく関わるため、経験豊富な醫師や適切な施設が整った病院を選びましょう。
2. 術前の検査と評価
手術前には必ず検査を行い、健康狀態をチェックします。超音波検査や血液検査などを通じて、手術に適した狀態かどうかを確認します。また、妊娠の週數や子宮の狀態に応じて、最適な流産方法を選ぶことが大切です。
3. 術後のケア
術後は十分な休養と適切なケアが必要です。次の點に気をつけて、回復を促進しましょう。
清潔を保つ：感染を防ぐために、術後は衛生狀態に注意し、必要な場合は消毒を行うようにしましょう。
無理な運動を避ける：術後は激しい運動や重い物を持つことは避け、體を休めることが重要です。
性生活を避ける：術後4〜6週間は性生活を避け、感染を防ぐことが大切です。
定期的な検診：術後は定期的に醫師の診察を受け、子宮の回復狀況を確認します。
4. 心理的サポート
心理的な影響を最小限に抑えるために、家族や友人からのサポートを受けることが重要です。また、必要に応じてカウンセリングを受け、精神的な回復を促進しましょう。
5. 適切な避妊
流産後は身體が回復するまで時間が必要です。再妊娠を避けるために、適切な避妊方法を選択し、醫師の指導に従って避妊を行いましょう。
人工流産手術は現代醫學の中で一般的な手術ですが、身體や心理への影響は無視できません。手術前にリスクを十分に理解し、信頼できる醫師と施設を選び、術後のケアを徹底することが重要です。また、心理的な影響にも十分配慮し、必要であれば専門的なサポートを受けることで、健康的な回復を目指しましょう。
