此処までしてしまってはこの二人にもう行く先は極刑しか待って居らぬ。
それがこの高麗の慣例だ、覆す事は無い。
そこまで話した時のこの方の落ち着きようが少し気になり聞く
「医仙、納得しているのですか?」
すると、この方は困った顔をされた
「納得なんてしてないわ。全然。でも、最初の頃よりも成立香港公司今は色々見たり聞いたりして分かって来たのよ?此処は高麗。私の居た場所じゃない。」
私がそう言うと貴方は少し悔しそうに目を細める
「私が今、此処では一番非常識何だって事も理解出来てる。この高麗では王様が唯一。そうでしょ?」
「はい。」
「じゃあ、私の常識を此処に当て嵌めて考えても無理があるわ。」
それを聞いて私の前のこの人はゆっくり私を見つめて静かに云う
「王を狙っても生きて居られるなど、ある訳は無い…王を狙った者には死しかありえぬ筈だ。」
「そうでしょ?人の命を軽く見ている事に絶対納得はいかない。でも、理解はしてるわ…それがこの高麗ではしょうがない決断何だって…」
少し離れた所に座っているこの人は、はぁと大きくため息をついた
「俺はそれだけじゃ無かった…確かにあの二人は王様を狙った形になって極刑になるだろうが、俺の中では貴女を狙った時点で消すつもりでした。」
私をしっかり見てこの人は言った。
「それは武士の約束の為?」
私を現世に返すって言う約束の為?
「それも、ある。でも、それだけじゃない…」
それだけじゃない…?
他にどんな事が有るの?
その時あの夜の事が急に思い出される
お互いが不意に見つめあって目を離せなくなって、言葉すら口から出来なくなってしまったあの夜の事を…
結局、私の夕餉は暫く後にさっき持って来た女官が改めて持って来て、私の部屋に置いて行った。
チャン先生は今も毒の検出をしてる
御自分を殺す為に盛られた毒をご自分で検出する…
この時代、自分の役職に胡坐を掻いていると寝首を掻かれる。
チャン先生も例外では無く、ご自分の侍医と云う役職の為に今Botox瘦面回は毒を盛られていたんだと言う。
私を経由したのはただの目くらまし。
本当の犯人が見えない様にする為に私を経由しただけの事…
そう言う事が日常的に起きるこの世界、現代に生きている者には一人では本当に過酷だわ。
笑い合って居ても、本当は笑って無いかも知れない、親切の裏には何かが有るかもしれない…
この時代に心から許し合える友を見つけるのは本当に大変だけど…居ない訳じゃない。
それも分かっているけれど、今回のこの二つの事件は改めてそう言う時代に今私は居るんだと再認識させてくれた。
そして、そんな中でも心から許し合える人はどれほど大切なのかも良く、分かった。
ウダルチの皆や、チャン先生、トギにテマン君、そして貴方…
今の私が心を許し合えてる人達。
それだけでもこんなに心強い。
本当に凄い事なんだって…
テマン君が言っていた様に空の月が真上に来た頃に貴方は私の部屋にやって来た。
部屋の前でチュモ君と話す貴方の声が聞こえた
「医仙は?」
「医仙様はまだ起きていらっしゃいます。我々は離れた方が宜しいですか?」
チュモ君がそう聞くと貴方は答える。
「そうだな、今日は少し話が長くなりそうだ。呼ぶまで、ウダルチは典医寺の廊下で待機。武閣氏はこの後交代の時間だな?今の内に交代をしてきても良い。チェ尚宮には話してある。交代して来た者にはウダルチと共に廊下で待機と云っておいてくれ」
「イェ、テジャン」
武閣氏の声がして四人が持ち場を離れて行く足音がする。
それから扉の所で貴方の声がした。
「医仙、入ります。起きてますか?」
恐らく、「医仙」と言った辺りには扉を開けて居たんだろう「起きてますか?」の辺りにはもう部屋の中に入っていて姿が見えた
「伝言しておいてその言い草?ちゃんと起きてたわよ!」
「その様です。失礼しました。」
そう言いながら入ってすぐの所に置いてある椅子に貴方は座る。
この間みたいに近くじゃなくて少し離れて部屋の扉に近い所
ちょっと寂しく感じながらそれも仕方無いかと思った。
「それで?説明しに来てくれたんでしょ?」
「はい、チャン侍医を狙った者も分かりました。此方は府院君様とは天然貓糧何の関係も無い者の仕業で御座いました。」
「そうなると、私の夕餉の膳の上にたまたま二つの毒が仕込まれたの?」
そんな偶然ってある?
吃驚よ…
「たまたま、では御座いません。」
「え?じゃあこれは計画的って事なの?」
しかも今回は府院君の眠り薬は無かったのに?
この二件は計画的に同じ日に実行されたの?
「まったく分からんと云う顔ですね。今から説ます、ちゃんと聞いてください。」
「分かったわよ…」
「そもそも、この二件の事件は全く別の首謀者が居ります。一人は府院君様、もう一人は…侍医でした。この者は今既に捉えられておりますので、侍医が今毒を割り出し次第王様に御報告する事になっております。」
その時にそぉっと手を上げてみる。
「何ですか?」
「質問はしても良いのよね?何で私の夕餉なの?こう言っては何だけど、チャン先生の膳に直接入れた方が手っ取り早いでしょ?」