とハマグチもその話にうなずいていたが、マキだけはどうもそう言ったどうでもいいオタク話には退屈しているようだった。
しばらくしてガタンと扉の開く音がし、トオルが玄関に顔を出すとそこにはなんとホンジョウと彼に肩を抱かれたミユキが立っていた。
ああ、トオルくん。
彼女???、君の友だちだって?」
えっ?
え、ええまあ」
と状況がわからないトオルは3秒ほどただボーッと立ちつくす。
トオル!
久しぶり、この人知り合い?」
と言っているミユキの目は座っており、どうやら真っ直ぐに立ててもいないようだ。
ああ、なんか彼女大分酔ってるみたいでねえ。
後は頼むよ?トオルくん」
と言ってホンジョウはミユキの肩を持ち上げ、そのままバトンを渡すかのようにトオルの肩に彼女を抱かせる。
おい?
ミユキ!
大丈夫かよ?」
へ~き、へ~き、たいりょうはかいへ~きってなもんだ」
とわけのわからないことをミユキは口ずさんでいる。
まいったなあ。
泥酔だな、こりゃあ」
トゥース!」
と言ってトオルに肩を抱かれながら、スーツ姿の今風OL美人がリビングに登場する。
トゥース」
とハマグチもそれに応える。
ありゃあ、大分いっちゃってるよ、この娘???、カワイイのに」
とマキも呆れ顔だ。
すいません。
あの、友人のミユキです」
とトオルが顔を引きつらせながらみんなにミユキを紹介する。
トオル?
何謝ってんの?
あたし?あたしがなんか迷惑かけてるのかっつう???、かっつうねえ?」
とミユキはご機嫌な笑顔でその部屋のみんなの顔を見回す。
おお、よろしく~。
俺がここにトオルと住んでるナカバヤシ。
それで、マキとハマグチ」
とナカバヤシがふたりを指差してミユキに紹介する。
ああ、どうもうちのトオルがいつもご迷惑かけておりまする。
ってうちのトオルでもないわなあ、ないわなあ」
とミユキが言う横でトオルが顔をしかめている。
ねえねえ、みゆきちゃんって、トオルくんの元カノなんだって?」
とマキが興味津々の笑顔でミユキに向かって話し掛ける。
元カノって?コイツの元カノってのもねえ???、どうなんでしょうねえ?
微妙ですよね?微妙!」
とミユキの呂律が回っていない。
おい、微妙って言われてるよ、トオルくん」
とハマグチがちゃかす。
この人はもう、存在自体が微妙って言うか?はっきりしないって言うか?ダメ男ですよ。
だ?め?お」
とミユキのトオル批判は手厳しい。
はあ、どの辺がまたダメ男なんでしょう?」
とナカバヤシも調子に乗ってそう突っ込む。