練習において、自身の性格や長所短所を冷静に把握して、長所を伸ばし、不足した能力を補うための方法等を模索し行動に移すことは大切なことです。
ここで注意しなければならないのが、短所に目をむけてばかりしてしまい、長所を見失ってしまうことがあります。
ある意味で日本人的発想ともいえるかもしれません。
アベレージ思考の強い考え方は、時として短所に目を向けてばかりしてしまうことによって精神的にネガティブになってしまう傾向もあります。
勿論、トータルした能力を身に付けることが理想なので、アベレージ思考を否定するわけではありません。
ただ、精神的な部分も含めると、長所を伸ばすことに比べると、短所を克服することのほうが困難なことも多いです。
…
例えば、バックハンドが苦手で強力なフォアハンドを持ち合わせているジュニアプレーヤーがいたとします。その時点では、苦手が故に、フォアハンドを出来る限り回り込んで強力なフォアハンドを打つ攻撃的なプレースタイルでした。
それが、練習して人並みのバックハンドを身に付けることによって、今まで回りこんで打っていたフォアハンドのボールをバックハンドで対処するプレースタイルに変化していきます。
その結果、自分のストロングポイントを発揮する機会が減り、結果が伴わなくなってしまうことがあります。
あくまで極端な例で、もちろん練習が不正解というわけではありません。
今後、各ショットの使い方や組み立てを考えればより高みに近づけるとも言えます。
ただ、ここでの一考して頂きたいことは、対象がジュニアで、限られた学生時代ということと一番伸び盛りの期間に、苦手なものの練習ばかりに偏ってしまって良いかというポイントです。
レベルや個性によって異なりますが、得意なものの伸び率と苦手なものの伸び率を考えれば、比較的に得意なものの伸び率のほうが期待できる確率が高いとも言えます。
目先に囚われず長期的な目標に対して努力することは大切ですが、その過程で、結果が出なくても良いというわけにはいかないのも現実です。
出来ることなら努力したことに対して結果を期待するのが人間心理です。
自分の個性である長所の部分に目を向けて、向上させるように行動することは、苦手なものを克服するために努力すること以上に重要なこともあります。
少なからず、得意なものに対して行動を起こすことのほうが精神的にも気楽に立ち向かえるはずなので、その中で苦手なものを徐々に克服できればバランスの良い成長が期待できます。
練習とは「苦手なことを改善すること」
練習とは「得意なことを伸ばすこと」
皆さんの練習概念は前者に偏っていませんか?