若い世代から育成していくことの重要性

 

 17歳のオーストラリアの新鋭デスティニー・アイアバの優勝で幕を閉じた、大阪開催のITF(国際テニス連盟主催)賞金総額$25,000大会。今年から新設されたこの大会は、昨年6月の甲府大会、そして今年3月の豊田大会と並ぶ、『富士薬品セイムス ウィメンズカップ』の一環でもあります。

内田海智や奈良くるみのスポンサーとして、テニス界と過去数年に渡り深い関わりを持ってきた富士薬品。その中で、同社の高柳昌幸社長が感じてきたのが「若い世代から育成していくことの重要性」だったといいます。特に、ジュニアから一般への移行でつまずく選手が多く、その時期にこそ周囲からのサポートが必要だという点でした。

ではそのために、具体的にはどのような手法があるだろか……? 松岡修造氏の“修造チャレンジ”や、盛田正明氏によるテニスファンドなどを参照し、それら既存の支援とは異なる形で何ができるか検討した末に同社が生み出したのが 『富士薬品セイムス ガールズカップ』、そしてそれに伴う『ワールドチャレンジプログラム』でした。これは、まずは13歳以下の女子全国大会を開催し、その優勝者及び有望選手計6名をサポートメンバーとして選出。それらの選手達には、年間3~4カ月の海外ITFジュニア大会遠征費を支援するというものです。サポートが受けられるのは、基本的に14歳まで。なぜなら14歳は、女子では一般の大会への出場が許される年齢。そこからはジュニアではなく、年齢制限のない上の大会にも挑戦してほしいという、支援者のメッセージが込められていました。

すると次に必要になってくるのが、ジュニアから一般レベルの大会への橋渡しです。そこで誕生したブリッジこそが、先述したITF$25,000の3大会でした。また大会を新設する上で徹底したのが、ハードコートでの開催。これも、“世界への登竜門”となることを最重要視した上での判断です。

今回の大阪大会でアイアバと決勝を戦ったのは、5年のブランクから復帰してきた元39位のレベッカ・マリノ。それら多くの実力者が今回日本に集った背景にも、ハードコートでの開催があったようです。準優勝者のマリノが出場を決めた理由は、「ハードコートの大会が日本で続けて開催されていたから」。同様の環境と条件を求め、100位の奈良くるみらも顔を揃えるハイレベルな大会が実現しました。

豪華な顔ぶれの集結により、日本の若手たちにとっては厳しい戦いとなった今大会。そしてその結果こそが、「若い時から世界を知って欲しい」という主催者の狙いにして願いでもありました。


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