錦織、世界3位チリッチ破る「最後の2ゲームはいい形で取れた」
チリッチを破りガッツポーズする錦織(ロイター)
◆男子テニス モンテカルロ・マスターズ準々決勝 錦織圭2(6―4、6―7、6―3)1チリッチ(20日・モナコ)
世界ランク36位の錦織圭(28)=日清食品=が、準々決勝で同3位のマリン・チリッチ(29)=クロアチア=を破った。昨夏に右手首を痛め、今年2月に復帰後、トップ10選手から勝利するのは初めて。4大大会に次ぐ格付けのマスターズ大会で4強は、準優勝だった16年7月のロジャーズ杯(カナダ)以来。全仏オープン(5月27日開幕)に向けてクレーコートで調子を上げてきた。
錦織が世界3位を相手に、本来の輝きを取り戻した。第2セット、5―4の第10ゲームで3度あったマッチポイントを取り切れず迎えた最終セット。4―3の第8ゲーム。左右に振られながら、フォアで決定打を打ち込んでブレイクチャンスを作ると、大きく右手を突き上げた。「ずっと攻められていたけど、最後の2ゲームはいい形で取れた」。勝負所で集中力を上げて最後はチャンスを仕留めきった。
昨夏に右手首故障で戦線離脱し、2月の復帰からツアー4大会目。ついにトップ10選手から白星を奪うところまで実力を戻した。相手のチリッチは今年の全豪オープン準優勝の実力者で、最近は3連敗を喫していた。右膝痛に苦しみながらも執念を見せてきたライバルを振り切った勝利は大きい。
例年は回避していた今大会に出場し、手首に負担がかかることを覚悟で試合数をこなすことを選択した。試合勘を戻していく過程で19日の3回戦では同62位のアンドレアス・セッピ(34)=イタリア=をフルセットで退けた。スコアは荒れたが「アップダウンはあったけど、しっかり勝てた」ことも大きな収穫だった。
気がかりな右手首は「何とか大丈夫」という状態で、2時間55分の長丁場で何度も気にした。3連戦となり、スピンをかけるために負担も増している。疲労とも戦いながら、強敵と戦っていくのも、世界トップには求められる。勝利後、テレビカメラのレンズに書き込んだ「カモン!」のメッセージは、全仏での快進撃を予告しているようだった。