神奈川県座間市のアパートで男女9人の遺体が見つかった事件で、死体遺棄容疑で逮捕された白石隆浩容疑者(27)の幼少時代を知る人は、「素直な子」「平凡で普通」と口をそろえ、残虐な事件とのギャップに驚きを隠さない。
一方、東京の盛り場で働いていたころの評判は芳しくなく、インターネット上に顔写真を載せられ、中傷を受けることもあった。
近所の住民によると、白石容疑者は両親と妹の4人家族。現場のアパートから約3キロの住宅街にある一軒家で育ち、地元の小中学校に通った。父親は自営業で、母親は地区委員やPTAの仕事をしていた。
小学校の担任だった女性教諭は「素直で何の問題もなかった。平凡で普通という印象しかない」と振り返った。算数が得意で「自分から手を上げるタイプではないが、指すと答えた」という。
中学では野球部や陸上部に所属。卒業文集には「勉強や遊びよりもひたすら部活をがんばっていた気がします」と書いていた。横浜市内の県立高校に進学した。
東京では、新宿の歌舞伎町などで女性に飲食店や風俗店の仕事を紹介する「スカウト」などとして働いていた。「一匹おおかみタイプだった」と話す男性もいる。ネット上で実名と顔写真とともに「いろいろな人を裏切ってます」と書かれたこともあった。
今年2月には売春させると知りながら風俗店に女性を紹介したとして、茨城県警に職業安定法違反容疑で逮捕され、執行猶予付きの有罪判決を受けた。
その後は座間市の実家に戻ったが、6月ごろ父親に「生きていても意味がない」などとこぼすようになった。月1回のペースで通っていた新宿の飲食店関係者は「本当に無口で、楽しんでいるようではなかった」と話した。
この頃には、ツイッターで複数のアカウントを取得。自殺する仲間を募る投稿をした人に「一緒に死にましょう」などと連絡を取っていたとみられる。