全仏オープンではレジェンドの部(すでに現役を引退した選手のダブルスでのエキシビションマッチ)が行われています。男子45歳以下の部にはコレチャ/ガウディオというペアがエントリーしています。御存知の方も多いと思いますが、ガウディオは2004年の全仏オープン男子シングルスのチャンピオンです。今回はダブルスを離れて、この2004年の男子シングルス決勝戦のことについて書きたいと思います。
2004年の男子シングルス決勝はガウディオvsコリアというアルゼンチン人同士の試合となりました。ガウディオはノーシードからの快進撃での決勝進出でした。当時から決して無名の選手ではありませんでしたが、誰も予想しなかった決勝進出でした。一方コリアはこの大会の第3シードで優勝の大本命でした。決勝までの失セットはわずか1セットと絶好調で、本人も「試合ではなくトーナメントに勝ちに来た」とコメントするほど、この大会に標準を合わせてきていました。
しかし、この試合はコリアからみて6-0 6-3 4-6 1-6 6-8という大逆転負けで幕を閉じます。序盤は圧倒的に主導権を握っていたコリアが、第3セットの中盤から脚に痙攣を起こしたためです。コリアは第4セットを痛み止めの効き目が出てくるまでの時間稼ぎに使い、第5セットで勝負をかけるという戦術をとりました。実際にその作戦は痙攣を起こしている中ではベストな手立てだったのだと思います。サーブが満足に打てないコリアのプレーは見ていて痛々しく、第4セット以降は観客は完全にコリアの味方でした。第5セットで2本のマッチポイントがありながら取りきれなかったという結果も、この試合のコリアの悲劇性を際立てました。ガウディオの勝利というよりもコリアの敗北として、この決勝戦は語られることが多いのではないかと思います。
私自身もこの試合はコリアの敗北としてみていて、ガウディオの勝利をそれほど評価していませんでした。しかし、最近になってこの試合はガウディオが勝つべくして勝ったのではないかと思うのです。グランドスラムの決勝という誰もが好ゲームを期待するなかで第1セットを0-6で落とすというのは非常に惨めな思いだったと思います。ここでガウディオの集中力が切れてしまっていたら、コリアが痙攣を起こすより早く試合が終わっていたかもしれません。コリアが痙攣を起こしたのは確かに運が良かったですが、その運を呼び寄せたのはガウディオの踏ん張りだったのではないかと思います。第4セット以降もガウディオはやり辛かったはずです。明らかに万全でない相手と戦うというのは、こちらもペースがつかみ辛いからです。最初から最後までやり辛いことだらけの試合の中で、集中を切らさず自分のプレーをできたメンタルは優勝に値するのではないでしょうか。
余談ですが、ガウディオ以降に全仏で優勝した選手はナダル、フェデラー、ワウリンカ、ジョコビッチの4人しかいません。みんな全仏以外のグランドスラムでも優勝経験がる選手ばかりです。最近のテニスはオールサーフェースに強い選手ばかりになってしまいました。一方、ガウディオは全仏以外のグランドスラムでは3回戦が最高という偏った戦績の選手です。たまにはこういう選手に大会をかき乱して欲しいなぁと思ってしまいます。
【関連動画】
2004年 全仏オープン男子シングルス決勝 G.ガウディオ vs G.コリア
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