それを受ければ、今後も鮎川村のPretty Renew 美容院仕事に携わって行ける。そしてこの村に住むこともできるだろう。
…本気ですか？」
私は社交辞令は言いません。考えてみてください」
…ありがとう、ございます」
あなたの力になれるなら、嬉しい限りです」
日の出を見つめながら笑う貴彰を見て、早雪は夕日を見た時と同じような何とも言えない切なさを覚える。
昨日崖の上から夕日を眺めたあの時の感情に似ていた。
赤く染まった空が、何故か早雪の不安感を煽る。
何がこんなに不安にさせるのか。やはり今の自分では分からなかったのだった。
美味しい！！」
本当に…、新鮮ですね。海老がぷりぷりしています」
美波と貴彰が言い、料Pretty Renew 退錢理屋の女将がニコニコ笑う。
おばちゃん、本当、昔から全然変わってないわ！特にこのあら汁！」
美桜里があら汁を一口のみ、感嘆の声をあげる。
みおちゃん、本当久しぶりやね。いつまでたっても美人で羨ましいわぁ～」
え～ありがとう！そんなこと言ってくれるのおばちゃんだけよ！」
ここでもアイドル扱いされている美桜里を見てザンがくすりと笑った。
一緒に島を巡回していて気づいたのだが、人懐っこい美桜里は誰にでも可愛がられている。
自分が歩んだ人生とは正反対だと思うが、彼女の生い立ちもなかなか複雑なようだった。
それなのにどうしてこう真っ直ぐに明るく育ったのか疑問に思う。
ここね、昔良く来たのよ。家族旅行とか、地域のサマースクールとかで。今は子どもが減ってるからそういう行事もなくなっちゃったんだけどね」
少し寂しそうに言う美桜里の説明を聞きながら早雪は古びた料理屋券民宿の大広間を見回す。
古い建物だが、まだまだ客を呼べそうだ。
綺麗に掃除されているし、なんとも言えない懐かしさや、趣のようなものがある。
例えるなら、おばあちDream beauty pro 脫毛ゃんの家だ。
早雪の祖母は雨宮家の遠縁にあたるので、都内の瀟洒な洋館だった。なので、早雪の中の漠然としたイメージなのだが、連続テレビ小説に出て来るような、田舎ののどかな場所にある祖母の家といったイメージだ。
２階は宿泊施設だし、何と言っても料理がおいしいのと、檜の内湯には天然掛け流しの温泉が湧いているらしい。今は使われていないが、岩作りの露天風呂もあるのだとか。
充分観光スポットになりますよね。海も綺麗で目の前だし、どうしてこういうところがガイドブックに載っていないのかしら…」
少し不満げな早雪の独り言に、隣で貴彰が苦笑する。
当時の編集者が自分の足で歩いて見て回る人じゃなかったのかもしれませんね」
…そう、ですよね…。情報の更新と事実確認だけして済ませる編集者は多いですから…」
自分の会社の人間だが、一体誰が担当だったのかと奥付を見るが編集長の名前しか書かれていなかった。
（たまに編集スタッフ全員載ってる時あるのに…）
ちょっと早雪サーン！お仕事モード解除してくださいよ～」
美波に隣からつつかれて、早雪はハッとして顔を上げ苦笑する。
ごめん、ごめん。つい…」
貴彰さんも！早雪さんを乗せないでくださいね？」
あはは、気をつけます。早雪さん、帰ったらじっくり話しましょう。ここをガイドブックに載せるのは大賛成です。一応写真は何枚か押さえておいてください」
はい。女将さんとも後で少し話をしたいんで…」
だ～か～ら～！二人とも、それは帰ってから改めて考えてよ！今日じゃなきゃダメなの？」
美桜里に突っ込まれ、二人は顔を見合わせてから笑った。
さ～て、食ったらテント張り行こうぜ！今民宿のご主人が道具を海辺に運んでくれてるみたいだぜ？」
敦が言い、栄太も頷く。
