テニスは週に何回するのがベストなのでしょうか?

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週に何時間テニスをすればよいのですか?

グループレッスンでもプライベートレッスンでも、1日2時間以内、週3回から6回がよいでしょう。1週間に10~12時間程度練習すれば、学業や普通の子供時代を過ごすのに十分な時間が残ります。

毎日テニスをするのは健康的ですか?

身体の健康を向上させます。安静時心拍数を下げたり、血圧を下げたりと、テニスが身体全体best vacuum for deep cleaning carpetの健康を向上させる方法はたくさんあります。さらに、筋力、体力、柔軟性を高めながら体脂肪を下げ、代謝機能を向上させることもできます。

テニスは週1回が良いのでしょうか?

週に1回テニスをすることは、自分をあせらせないための優れた方法かもしれません。好きなスポーツを少しすることで、すっかりリフレッシュできるかもしれません。テニスをストレス解消に利用している人も多いので、準レギュラーでプレイする時間を確保できれば、あなたにもできるはずです。

テニスプレーヤーは週に何回トレーニングすればよいのでしょうか?

トッププロは、少なくとも週に4日、3~4時間コートで練習し、残りの2日はそれほど強くないセッションを行います。また、スピード、敏捷性、ウェイトトレーニングなどのストレングス&コンディショニング・セッションをオンコートセッションの合間に行います。

週3回テニスをするのは良いことですか?

健康状態がよく、30歳未満であれば、週に3~4回、高いレベルで安全にプレーすることができます。30~50歳なら、週に2~3回が良い数字です。50歳を過ぎたら、週に2回以上は競技テニスをしないほうがいいかもしれません。どうしてもその回数を超えなければならない場合は、3回目の試合は友好的なものにしてください。

テニスプレイヤーは休養日をとるのですか?

毎日同じ筋肉を使い続けていると、筋肉が成長せず、怪我やパフォーマンスの低下につながることがあります。大学やプロのテニスプレーヤーでも、毎週1~2日は休養日を設け、回復に努めています。

テニスはジムよりも良いのでしょうか?

テニスは全身を強化し、同時に有酸素運動を強化するため、怪我をする可能性を低くすることができます。

テニスはお腹の脂肪に良いのでしょうか?

しかし、テニスはお腹の脂肪を落とすのに良い運動と考えられています。一般的に、お腹の脂肪を燃焼させるためには、有酸素運動が有効だとされています。テニスをしながら下半身と上半身を使うということは、全身の活性化につながり、お腹の脂肪を落とすのに効果的です。

テニスは体を鍛える?

他のスポーツの中でユニークなのは、テニスがまさに全身運動であることです。足、肩、腕、手、背中、腰のすべてが鍛えられます。体幹の筋肉も鍛えられます。テニスを定期的に行うことは、全身に最適な厳しい筋力トレーニングなのです。

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カテゴリー: 未分類 | 投稿者rejectiow 13:13 | コメントをどうぞ

わかっておらんようだな

「あるいは、おれたちの居所を知りたがっているだれかにとって、だな」シルクがつけくわえた。
「そういうことをしてもあまり利益にはなりませんよ、ケルダー」
「それで思いだした。おれはここで手っとり早い金もうけができるすばらしいチャンスに恵まれているわけだ。首に莫大な賞金がかかっていると言ったな。あんたが協力を拒めば、その賞金をいただくことにすりゃいいんだ。いくらと言った?」
「あなたはそんなことはしませんよ、ケルダー」サディは涼しい顔で答えた。「あなたがたはザンドラマスに追いつこうと急いでいるし、報酬を手に入れるにはおびただしい煩雑な手つづきが必要なんです。金を見るまでに、まあ、一ヵ月はかかるでしょうな。そのすきにザンドラマスはますます遠くへ逃げてしまう」
「それもそうだな」シルクは認めた。残念そうな表情で、かれは短剣のひとつに手をのばした。「だが、こっちの手もある――むごたらしいが、たいがいはきわめて効果的だ」
 サディはシルクからあとずさった。「ベルガラス」かれはかすかにおびえた声を出した。
「その必要はない、シルク」老人はポルガラのほうを向いた。「おまえになにができるか見てみよう、ポル」
「そうね、おとうさん」彼女は、宦官のほうを向いた。「すわるのよ、サディ。見てもらいたいものがあるの」
「いいですとも、レディ?ポルガラ」かれは愛想よくうなずいて、テーブルの横の椅子に腰かけた。
「よくごらん」ポルガラはかれの目の前で奇妙なジェスチャーをした。
 宦官はあいかわらずにこやかだった。「じつに魅力的だ」かれは目の前に出現したらしきものを見ながらつぶやいた。「ほかの手品もできるんですか?」
 ポルガラは腰をかがめると、サディの目をじっとのぞきこんだ。「そうだったの。あんたは思っていたより頭がいいわ、サディ」彼女はみんなのほうに向きなおった。「薬を飲んでるわ。たぶんさっきの瓶がそうよ。さしあたってはどうすることもできないわ」
「ということは、さっきの手に戻るしかないな」シルクがふたたび短剣に手をのばした。
 ポルガラがかぶりをふった。「いまやっても、感じもしないでしょうね」
「あれ」サディががっかりした口調で言った。「消してしまったんですか――気にいってたのに」
「薬はいつかは切れる」シルクは肩をすくめた。「効き目が薄れてくるころには、おれたちは都市からかなり遠ざかっているはずだし、注意をひく悲鳴もあげさせないで、こいつから答えをひきだせるだろう」かれの手は短剣のそばをいきつもどりつした。
(アローン人というやつは)ガリオンの頭のなかの乾いた声がうんざりしたように言った。(なぜおまえたちはあらゆる問題を剣でけりをつけようとするのだ?)
(は?)
(チビの泥棒に短剣をしまえと言うのだ)
(しかし――)
(わたしにさからうな、ガリオン。おまえにはザンドラマスに関するサディの情報が必要なのだ、それを与えてやることはわたしにはできん)
(かれを同行させろとほのめかしておられるんじゃないでしょうね?)ガリオンはその考えにいたくショックを受けた。
(なにもほのめかしてなどおらんぞ、ガリオン。言っているのだ。サディは同行する。かれぬきでは任務は果たせん。さあ、ベルガラスにそう言ってやれ)
(気にいらないと思いますよ)
(そんな反応は痛くもかゆくもない)それだけ言って、声は消えた。
「おじいさん」ガリオンはしぶしぶ言った。
「なんだ?」老人の口調はいらだたしげだった。
「これはぼくの考えじゃないんだ、おじいさん、だが――」ガリオンはうっとりとしている宦官をけがらわしげに見つめてから、処置なしといったように両手をあげた。
「そんなばかな!」一瞬間をおいて、ベルガラスは叫んだ。
「残念だけど」
「なんのお話ですか?」サディが興味ありげにたずねた。
「だまれ!」ベルガラスは一喝すると、ガリオンに向きなおった。「絶対に確かなのか?」
 ガリオンはしょんぼりとうなずいた。
「じつにばかげておる!」老人は向きを変えて、サディをねめつけた。それからテーブルごしに宦官の虹色のローブの胸ぐらをむんずとつかんだ。「ようく聞けよ、サディ」ベルガラスはくいしばった歯のすきまからおしだすように言った。「おまえはわれわれに同行する、ただし、あの瓶には二度と鼻をつっこむな。わかったか?」
「もちろんです、長老」屋官はさっきと同じうっとりした声で答えた。
「わしの言っていることがよく」ベルガラスはおそろしいほど静かな声でつづけた。「一度でもおまえが頭をタンポポでいっぱいにしているところを見つけたら、ケルダーに短剣で刺されたほうがよかったと思うような目にあわせてやるぞ。いいな?」
 サディの目が大きくなり、顔が蒼白になった。「は――はい、ベルガラス」かれは恐ろしげにどもった。
「よし。さあ、話すんだ。正確には、ザンドラマスについてなにを知っている?」

カテゴリー: 未分類 | 投稿者rejectiow 11:07 | コメントをどうぞ

そういうものじゃありま

「わたしだ――ドロブレクだ」太った男は答えた。「あんたが会いたがっていた人たちが到着したんだ」ドロブレクは石板におおわれたドアを引き開けた。「わたしはまた見張りに戻りますから」かれはベルガラスたちに言った。
ドアの向こう側は蝋燭一本に照らされた、薄暗くて小さな、じめじめした隠し部屋だった。おんぼろの木のテーブルのそばに、宦官のサディがこわごわ立っていた。剃りあげた頭には短い毛がはえはじめ、真っ赤な絹のローブはぼろぼろだった。目には追いつめられた表情が浮かんでいる。「ついにきましたね」かれはほっとしたように言った。
「いったいぜんたいこんなところでなにをしてるの、サディ?」ポルガラがたずねた。
「隠れてるんです。どうかみなさんなかへはいって、ドアをしめてください。わたしがここにいることを偶然だれかに見られたくないんです」
かれらがその小部屋にはいると、ドロブレクが外からぴったりドアをしめた。
「なんだって、サルミスラの宮殿の宦官長が、ドラスニアの港湾局長の家に隠れているんだい?」シルクが興味しんしんでたずねた。
「宮殿でささいな誤解があったんですよ、ケルダー王子」サディは答えて、木のテーブルの横の椅子に力なくすわりこんだ。「わたしはもう宦官長じゃない。じっさいのところ、わたしの首には賞金がかけられているという話ですよ――莫大な賞金が。ドロブレクはわたしに借りがあったので、ここにわたしをかくまっているんです――あまり気はすすまぬようだが、しかし――」かれは肩をすくめた。
「金の話が出たついでだから、そろそろあたしの金を払ってもらいたいね」イサスが口をひらいた。
「もうひとつやってもらいたい仕事があるんだ、イサス」宦官は変に甲高い持ち前の声で言った。「宮殿にはいりこめると思うか?」
「必要とあれば」
「わたしの部屋に赤い革の箱があるんだ――ベッドの下だ。真鍮の蝶番のついているやつだ。それがほしい」
「報酬は?」
「妥当と思うだけ払ってやる」
「いいでしょう。すでにやった仕事の二倍でどうです?」
「二倍だと?」
「宮殿は目下きわめて危険なんですぜ」
「入の弱みにつけこむな、イサス」
「じゃ、自分でとりにいったらどうです」
サディは弱りきったようにイサスをにらんだ。「しかたがない、倍だそう」
「あんたと仕事をするのはいつも変わらぬ楽しみですよ、サディ」イサスは口先だけで言うと、ドアからこっそり出ていった。
「なにがあったんだ?」シルクは神経をとがらせている宦官にたずねた。
サディはためいきをついた。「ある言いがかりの的にされたんですよ」かれは苦渋に満ちた声で言った。「突然のことで、反論するにもしようがなかったので、任務からしばらく離れたほうがよかろうと考えたんです。いずれにせよ、最近は働きすぎでしたからね」
「事実無根の言いがかりだったのか?」
サディは短い毛が生えだした頭を指の長い手でなでた。「それが――完全にそうだというわけでは」と認めた。「しかし、針小棒大もいいところですよ」
「宮殿でだれがきみの後がまにすわったんだ?」
「サリスです」サディは吐きすてるように言った。「本物の流儀などまるで持ち合わせない三流の陰謀家ですよ。いつか、やつが喉から手が出るほど必要としているものを切り落としてやる――なまくらなナイフでね、さぞ楽しいことでしょう」
「イサスの話では、ザンドラマスという人物についての情報を持っているそうだな」ベルガラスが横から言った。
「そのとおりです」サディは答えた。椅子からたちあがると、かれは一方の壁ぎわにおしつけられた寝乱れたベッドに近寄った。きたない茶色の毛布の下をひっかきまわして小さな銀の瓶をとりだし、蓋をとって、「失礼」とひと口すすった。サディは顔をしかめた。「こんなにまずくなければいいのに」
ポルガラがひややかにかれを一瞥した。「そんなことでザンドラマスについて知っていることを話せるの?――いまにチョウチョの幻覚がちらついてくるわよ」
サディはしらばっくれてポルガラを見た。「いや、まさか。これはせんよ、レデ物業二按ィ?ポルガラ」かれは瓶をふりながら受け合った。「鎮静効果があるだけです。この数ヵ月に起きたことで、神経がずたずたにされてしまったのでね」
「本題にはいろうじゃないか」ベルガラスがほのめかした。
「けっこうです。わたしはあなたがたの望むものを持っているし、あなたがたはわたしが望むものを持っている。取引は当を得たことだと思いますよ」
「その話をしよう」シルクの目がにわかに光りはじめ、長い鼻がうごめいた。
「あなたの評判はよく知っていますよ、ケルダー王子」サディは微笑した。「あなたと取引しようとするほどわたしはおめでたくない」
「よかろう、あんたがわれわれに望むものとはなんだね、サディ?」ベルガラスはどんよりした目つきの宦官にたずねた。
「あなたがたはニーサから出るところでしょう。わたしを一緒に連れていってもらいたいのです。かわりにザンドラマスについて知ったことをすべて教えましょう」
「話にもならんな」
「それは早とちりだと思いますよ、長老。まず最後まで聞いてください」
「わしはあんたを信用しておらんのだ、サディ」ベルガラスはつっけんどんに言った。
「無理からぬことです。わたしは信用されるべきたぐいの人間じゃありませんからね」
「ではどうしてあんたみたいな荷物をしょいこまねばなら公屋貸款んのだ?」
「なぜなら、わたしはあなたがたがザンドラマスを追っている理由を知っているからですよ――それだけでなく、ザンドラマスがどこへ向かっているのかも知っている。あなたがたにとってはじつに危険な場所だが、いったんそこへつけば、自由に動き回れるようわたしが取り計らってさしあげられる。さあ、お互いの信頼感などという子供じみた考えはやめて、取引に移ろうじゃありませんか?」
「ここにいても時間が無駄になるだけだ」ベルガラスはみんなに言った。
「わたしはあなたにとって、すこぶるお役にたちますよ、長老」サ雀巢奶粉ディが言った。

カテゴリー: 未分類 | 投稿者rejectiow 11:06 | コメントをどうぞ

ヴァラナがたずねた

「なんとも」モリンはためいきをもらした。「世の中も変わったものです。では公式の密偵として陛下にご紹介したほうがよろしいのですか?」
「陛下はすでにお察しだと思いますわ、モリン卿」リセルはかれのやせた手に愛情をこめてふれながら、言った。
 モリンは一礼すると、おぼつかない足どりで部屋からゆっくり出ていった。
「なんて感じのいいお年寄りかしら」リセルはつぶやいた。
「これはこれは、いとこよ」シルクは大使に言った。
「やあ」カルドン王子はそっけなく答えた。
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「ふたりは血のつながりがあるのかね?」ヴァラナがたずねた。
「遠い親戚ですよ、陛下」シルクが言った。「母親同士がまたいとこなんです――またまたいとこだったかな?」
「またまたいとこのそのまたいとこだよ」カルドンはネズミ顔の親戚をじっと見た。「なんだかみすぼらしいな、おい。最後に会ったときは金やら宝石やらじゃらじゃらつけていたぞ」
「身をやつしているんだよ」シルクはものやわらかに言った。「おまえはおれに気づかないことになってるんだ」
「ああ」カルドンは皇帝のほうを向いた。「われわれの冗談をお許しください、陛下。ここにいるケルダーとわたしは子供のときから互いに毛嫌いしあっていたんです」
 シルクはにやにやした。「一目見たときからでしてね。おれたちは徹底的に嫌悪しあってるんですよ」
 カルドンはみじかくほほえんだ。「われわれが子供だったとき、双方の家族は家を訪問しあうたびにナイフというナイフを隠したものです」
 シルクは好奇心にかられてリセルにたずねた。「トル?ホネスでなにをやっているんだい?」
「秘密よ」
「ヴェルヴェットはボクトールから公文書を数通持ってきたんだ」カルドンが説明した。「それにいくつかの指示を」
「ヴェルヴェット?」
「ばかみたいでしょう?」リセルは笑った。「でもね、もっとひどいあだ名を選んだ可能性もあると思うわ」
「パッと頭に浮かんだものよりましだな」シルクが同意した。
「おじょうずね、ケルダー」
「われわれに知らせるべきだと考えていることがあるようだが、カルドン王子?」。
 カルドンはためいきをついた。「悲しいご報告なのですが、高級娼婦のベスラが殺されました、陛下」
「なんだと?」
「昨夜仕事から帰る途中、人気《ひとけ》のない通りで暗殺者一味に襲われたのです。虫の息のまま放置されましたが、よろめきながらわれわれの門にたどりつき、息絶える前にある情報を伝えたのです」
 シルクの顔から血の気がひいていた。「だれのしわざだったんだ?」
「まだ調査中だ、ケルダー」いとこは答えた。「もちろん、何人か容疑者はいるが、判事の前に連れていけるほど確かなことはなにもつかめてない」
 皇帝はけわしい表情で、すわっていた椅子から立ち上がった。「このことについて、知っておく必要のある者が何人かいる」かれはすごみのある声で言った。「一緒にきてくれるか、カルドン王子?」
「もちろんです、陛下」
「失礼する」ヴァラナは一同に言った。「一刻を争う問題なのだ」かれはドラスニア大使をしたがえて部屋から出ていった。
「ベスラはひどく苦しんだのか?」シルクは苦痛にみちた声で、通称ヴェルヴェットにきいた。
「暗殺者たちはナイフを使ったのよ、ケルダー」彼女はぽつりと答えた。「ナイフは決して気持ちのいいものじゃないわ」
「そうか」シルクのイタチみたいな顔がこわばった。「ベスラ殺害の理由について、彼女はなにか手がかりを残していったのか?」
「わたしの考えでは、いくつかのことと関係があると思うの。ベスラはかつてヴァラナ皇帝に、かれの息子の殺害計画を知らせたことがあると言ってたわ」
「ホネス一族だわ!」セ?ネドラが金切り声をあげた。
「どうしてそんなことを言うんだ?」シルクがすばやくたずねた。

カテゴリー: 未分類 | 投稿者rejectiow 16:31 | コメントをどうぞ

木々のあいだのあちこ

ベルガラスの表情がにわかに自暴自棄になった。「見えない計画に従って行動するのはだいきらいなんだ」かれはぶつぶつ言った。「前進してるのか、後退してるのかもわからんじゃないか」
セ?ネドラはガリオンにずっとしがみついていた。不安と安堵避孕方法がその顔の上でせめぎあっている。「ウルがわたしたちの赤ちゃんは無事だとおっしゃったのは、本当に確かなのね?」彼女はきいた。
「ゲランは元気だと言いました」エリオンドが元気づけた。「ゲランをつかんでいる者がかれの要求をみたすだろうし、さしあたってかれに危険はないそうです」
「さしあたって?」セ?ネドラは叫んだ。「それはどういう意味?」
「はっきりしたことは言われなかったんだよ、セ?ネドラ」ガリオンは言った。
「ゲランがどこにいるか、どうしてウルにきかなかったの?」
「教えてくださらないとわかっていたからさ。ゲランとザンドラマスを見つけ出すの居屋再按揭がぼくの仕事なんだ。ほかのだれかにその仕事をやってもらうなんてことは、かれらが許さないと思うよ」
「かれら? かれらってだれのこと?」
「予言書だよ――ふたつの。かれらはゲームをしている。ぼくたちみんなはそのルールに従わなくてはならないんだ――それがどんなルールかわからなくてもね」
「ばかげてるわ」
「予言書にそう言ってやれよ。考えたのはぼくじゃない」
ポルおばさんはふしぎそうにエリオンドを見ていた。「知ってたの?」おばさんはたずねた。「名前のことだけど?」
「ぼくにもうひとつ名前があることは知ってました。あなたがぼくをエランドって呼んだとき、なんだか、ピンとこなかったんです。すごく気になりますか、ポルガラ?」
彼女はほほえんで立ち上がると、テーブルを回って、エリオンドをあたたかく抱きしめた。「いいえ、エリオンド。ちっとも気にならないわ」
「ウルがおまえたちに課せられた務めとは、正確にはどういうものなんだ?」ベルガラスがきいた。
「そのときになればわかるものだと」
「それだけしか言われなかったのか?」
「それはきわめて重要なもので、それがぼくを変えることになるんだって」
ベルガラスは首をふって、ぶつくさ言った。「どうしていつもすべてが謎だらけじゃなくちゃならんのだ?」
「それもまたガリオンの言ったルールのひとつなんですよ」シルクが瓶のひとつから自分の酒杯に酒を再度満たしながら言った。「それで、次はどうします?」
ベルガラスは考えながら、片方の耳たぶをひっぱって、ほのかに光るランプのひとつを見上げた。「ガリオンたちのウルとの遭遇が、プロルグで起きる予定だったものであることはほぼまちがいないだろう。したがって、もう先へ進んだほうがいいと思う。目的地へ多少早くついたところで害はないだろうが、遅れたらたいへんなことになる」ベルガラスは腰掛けから立ち上がると、グロリムの折れそうな肩に片手をのせた。「ときどき連絡するようにしよう」と約束した。「洞窟を行くのに、ウルゴ人を何人かアレンディアまでの案内役として貸してもらえないか? できるだけ早く地上へ出たいのだ」
「もちろんだとも、友よ」ゴリムは答えた。「ウルがお導きくださるように」
「だれでもいいから頼むよ」シルクがぼそっと言った。
ベルガラスがじろりとシルクをにらんだ。
「だいじょうぶですよ、ベルガラス」シルクはおうように言った。「あなたがひっきりなしに道に迷ったからといって、あなたにたいするわれわれの尊敬はこれっぽちもへったりしやしませんから。迷子になるのは、きっとあなたがどこかで身につけた悪い癖なんだ――たぶん、もっと重要な問題に気をとられていたせいでしょう」
ベルガラスはガリオンを見た。「本当にシルクを同行させる必要があったのか?」
「うん、おじいさん、本当にあったんだ」
二日後、日が昇ったばかりの時刻に、一行は不定形な洞窟の出口にたどりついた。樺の森が外に広がっている。真っ青な空に向かって樺の白い木々が裸の枝を伸ばし、黄金色の落葉の絨緞が地面をおおっていた。洞窟の口までかれらを案内してきたウルゴ人たちは、はた目にもわかるほどひるんで、日光からあとずさった。かれらは二言三言ベルガラスにささやき、ベルガラスがかれらに礼を述べた。するとウルゴ人たちは心休まる暗闇のなかへ戻っていった。
「おれがいまどんなにいい気分でいるか、みんなには想像もつかないだろうな」シルクがほっとしたように洞窟の外へ出て、冷たい朝日をむさぼった。ちの地面が凍った雪で白くなり、斜めに差し込む朝日をあびてきらめいている。どこか左の遠くのほうで、山あいの小川が流れているらしく、せせらぎの音が聞き取れた。
「ここがどこだかわかりますか?」一行が馬に乗って樺の木立にはいったとき、ダーニクがベルガラスにたずねた。
老人は目をすがめて肩ごしにうしろを見ると、昇ったばかりの太陽の角度を推し測った。「推測では、中部アレンディアにそびえる山のふもとだな」
「アレンドの森の南端の斜面ですかね?」シルクがきいた。
「断言はできん」

カテゴリー: 未分類 | 投稿者rejectiow 12:58 | コメントをどうぞ

が東からにわかに

「じゃあ、きまりだ」ガリオンは言った。「ぼくたちの計画をきみたちが部隊に伝えてくれるなら、ダーニク公開大學 課程とぼくはこれから空想上のかがり火のおこしかたを習いはじめる」
それから一時間ばかりたったころ、リヴァの部隊は緊張ぎみに行動を開始した。全員がいつでも武器をとれる体勢で、灰緑色のハリエニシダのしげみを歩いていった。前方に丘陵の

裾野が黒々と横たわり、一行のたどる草深い道は、熊神教の信者たちのひそむ石ころだらけの峡谷へまっすぐつづいていた。その峡谷に足をふみいれたとき、ガリオンははやる気持ち

をおさえ、意志の力を働かせて、ポルおばさんに教わったことをひとつのこらず慎重に思いおこした。
計画はびっくりするほどうまくいった。最初のグループ公開大學 課程が武器を高々とかざし、勝利の叫びを発しながら隠れ場所からとびだしてきたとき、ガリオン、ダーニク、ポルガラは間髪を

いれず残る三つの雨溝の入口を封鎖した。突撃してきた信者の面々は、突然仲間の戦闘参加をさまたげた炎の出現に驚愕した。かれらはひるみ、勝利の声は無念の呻きに変わった。ガ

リオン率いるリヴァの兵士たちは、一瞬のためらいをすかさず利用した。最初のグループはじわじわと撃退され、さきほどまで潜んでいた雨溝に閉じ込められた。
ガリオンは戦いの経過にはほとんど注意をはらうゆとりがなか公開大學 課程った。レルドリンとならんで馬にまたがっていたかれは、戦いがくりひろげられている雨溝の向かいにある、もうひと

つの雨溝の入口に、火のイメージと、熱さの感覚と、火の燃えさかる音を投影するのに全神経を集中していたのだ。おどる炎をすかして、信者たちが実際には存在しない強烈な熱気か

ら顔を守ろうとしているのがぼんやりと見えた。そのとき、だれひとり思いもしなかったことが起きた。ガリオンに封じ込められた信者たちが、あたふたとよどんだ池の水をバケツい

っぱい、空想の火にかけはじめたのだ。むろんジュッと音がするわけでもなく、幻影を消そうとするその試みは目に見えるいかなる効果ももたらさなかった。少ししてから、ひとりの

信者がへっぴり腰でおそるおそる火をくぐりぬけた。「これは偽物だ!」かれは肩ごしにうしろへ叫んだ。「この火は偽物だぞ!」
「だが、これは本物だ」レルドリンが不気味につぶやいて、その男の胸を矢で射抜いた。信者は両手をあげて、火のなかにあおむけにたおれた――男の死体は焼けなかった。それがい

っさいを暴露してしまったことは言うまでもない。最初は数人だったのがしだいにふえ、信者たちはなだれをうってガリオンの幻からとびだしてきた。レルドリンの両手が猛スピード

で動いて、雨溝の入口の信者たちに次々に矢を射ち込んだ。「数が多すぎるよ、ガリオン」レルドリンは叫んだ。「ひとりじゃくいとめられない。退却だ」
「ポルおばさん!」ガリオンはどなった。「やつらが火をくぐってでてきた!」
「押し戻すのよ」ポルガラが声をはりあげた。「意志の力を使うのよ」
ガリオンはさらに神経を集中させて、雨溝からあらわれる群衆に堅固な意志の壁をつきつけた。はじめのうちはうまくいくかに思えたが、並たいていの努力ではないので、すぐに疲

れてきた。あわてて立てた壁のはじがすりきれだして、ガリオンが死にものぐるいで撃退しようとした連中がその弱い部分に気づきはじめた。
ありったけの集中力で壁を維持しようとしているとき、遠雷に似た不機嫌なとどろきがかすかに聞こえてきた。
「ガリオン!」レルドリンが叫んだ。「騎馬戦士だ――何百といるぞ!」
ガリオンは暗澹たる思いですばやく峡谷を見あげた。騎馬戦士の一群あらわれて、けわしい横断路をおりてくる。「ポルおばさん!」ガリオンはさけぶなり、〈鉄

拳〉の大剣をぬこうと背中に手をのばした。
ところが、騎馬戦士の波はガリオンの目の前まで来るとくるりと向きを変え、ガリオンの壁をいまにも破ろうとしている最前列の信者たちにつっこんだ。この新たな兵力を構成して

いるのは、革のように丈夫でしなやかな黒ずくめの男たちだった。どの男の目も一様に奇妙に角ばっている。
「ナドラク人だ! まちがいない、ナドラク人だ!」バラクが峡谷の向こうから叫ぶのが聞こえた。
「ナドラク軍がこんなところでなにをしているんだ?」ガリオンはひとりごとのようにつぶやいた。
「ガリオン!」レルドリンが大声をあげた。「騎馬戦士のまんなかにいるあの人――ケルダー王子じゃないか?」
すさまじい乱闘の中へ突進する新たな軍団は、戦いの流れをみるまに変えた。かれらは雨溝の入口からでてくる信者たちの正面につっこみ、おどろいている信者たちにおそるべき痛

手を加えた。

カテゴリー: 未分類 | 投稿者rejectiow 18:15 | コメントをどうぞ

マンドラレンが大き

一行がジャーヴィクショルムにいたる曲がりくねった入り江の広い口にはいったのは、日が沈もうというときだった。「すっかり暗くなってから接近したほうがいいんじゃないかな?」〈海鳥〉号の前部甲板でガリオンは他の王たちにたずねた。
アンヘグは肩をすくめた。「わしらが行くことは連中にはわかっているんだ。ハルバーグ海峡を出てからずっと見張っていたからな。おまけに、わしらがここにいることも知っているんだから、崖の上の連中は全力をあげて艦隊を見張ろうとするだろう。だから、そのときがきたら、きみとブレンディグは楽々背後から連中にしのびよることができるはずだ」
「そうか、なるほど」
バラクが片腕のブレンディグ将軍と一緒にやってきた。「綿密に計算したところでは、真夜中ごろに出発するのがよさそうだな」バラクは言った。「ガリオンと残りのおれたちがまず斜面をよじのぼって、都市の裏手にまわりこむ。ブレンディグとかれの部下たちがそのあと斜面をのぼって、投石器をうばいとる。空が白みだしたらすかさず、ブレンディグが北側に石を投げつけるんだ」
「そのすきにガリオンは所定の位置にたどりつけるのかね?」フルラク王がきいた。
「その時間はたっぷりありますよ、陛下」ブレンディグがうけあった。「バラク卿の話では、てっぺんまでのぼってしまえば、地形は平坦そのものだということですから」
「木もほうぼうに立ってる。隠れる場所は木がいくらでも提供してくれるよ」バラクは言った。
「都市を攻撃するときだが、距離はどれくらいあるんだろう?」ガリオンがたずねた。
「ええと、五百ヤードってところだな」バラクが答えた。
「かなりあるね」
「おれなら走っていきたいね」
入り江のおだやかな水面の上に夕暮れがゆっくりと訪れて、両側にそそりたつけわしい崖を紫色にそめた。ガリオンはわずか数時間後には部下たちとよじのぼる予定の急斜面を、消えようとする最後の日差しでくまなく点検した。頭上でなにかが動いたのに気づいて視線を上げると、白いぼんやりしたものが紫色の静かな空中を音もなくすべっていた。白くやわらかな羽が一枚、ゆっくりとまいおりてきて少しはなれた甲板の上に落ちた。ヘターがおごそかに歩みよってそれをひろった。
そのすぐあとに、青いマントに身をつつんだポルおばさんが甲板を歩いてきてかれらに合流した。「造船所に接近したら、じゅうぶん注意しなければだめよ」ブレンディグとそばに立っていたアンヘグにポルおばさんは言った。「敵は投石器を浜へおろして、こちらの接近をはばもうとしているわ」
「予測していたことさ」アンヘグはたいして気にしていないらしく肩をすくめた。
「彼女の言うことにはちゃんと耳をかたむけたほうがいいぜ、アンヘグ」バラクがおどかすように言った。「おれの船を沈めでもしたら、そのほおひげを一気にむしりとってやるからな」
「自分の国の王に話しかけるにしちゃ、ずいぶんと思いきった言い方だな」シルクがジャヴェリンにささやいた。
「都市の裏手の警備はどの程度なのかな?」ガリオンはポルガラにきいた。
「城壁は高いし、門は頑丈そうだけれど、兵の数は少ないわ」
「いいぞ」
ヘターが無言でポルガラに羽をわたした。
「あら、ありがとう。うっかり見落とすところだったわ」
なだらかにうねる台地につづく丘の斜面は、ガリオンが〈海鳥〉号の甲板からながめて判断していた以上にけわしかった。真夜中の暗闇のなかではほとんど見えない砕けた岩のかたまりが、足の下で意地悪くすべり、斜面に密生する背の低いしげみの枝は、必死で上へのぼろうとするガリオンの顔や胸をわざとつついてくるように思えた。鎖かたびらが重くて、かれはたちまち汗みずくになった。
「骨がおれるな」ヘターがひとこと言った。
ようやくそのけわしい斜面をのぼりきったときには、淡い銀色の月がのぼっていた。のぼりついてみると、そこに広がる台地はモミとトウヒの鬱蒼たる森におおわれていた。
「これは思っていたより時間をくいそうだな」バラクがおいしげった下生えを見ながらつぶやいた。
ガリオンはひとやすみして息をついた。「小休止しよう」友人たちに告げた。行く手にたちふさがる森をガリオンはむっつりとにらみつけた。「ぼくたち全員が森をつっきろうとすれば、崖の上の投石器のやつらに気づかれてしまうだろう。ここは斥候を送りだして小道かなにかをさがしたほうがいいと思う」
「おれにちょっと時間をくれ」シルクが言った。
「だれか連れていったほうがいいよ」
「足手まといになるだけだ。すぐに戻る」小男は森の中に見えなくなった。
「ちっともかわらないね、かれは」ヘターがつぶやいた。
バラクが短く笑った。「本気でシルクが変わると思ってたのか?」
「夜明けまであとどのくらいだと思われる、閣下?」なチェレク人にたずねた。
「二時間――三時間ぐらいかな」バラクは答えた。「斜面に相当手間取ったからな」
弓を背中にしょったレルドリンが暗い森のはじにいたかれらのところへやってきた。「ブレンディグ将軍がのぼりだしましたよ」
「片腕だけでどうやってあそこをよじのぼるんだろう」バラクが言った。
「ブレンディグのことならそう心配することはない」ヘターが答えた。「やりだしたことはいつでもちゃんとやりとげる」
「たいした男だな」バラクは感嘆のおももちだった。

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てわたしにゆずることに

夫人は目をうるませて力なくガリオンを見つめた。「騎士道にもとるふるまいですわ、陛下」彼女はガリオンを責めた。
「ぼくはセンダリアの農場育ちですからね」ガリオンは男爵夫人に思い出させた。「高尚な教育優悅 避孕は受けられなかったから、ときどきこういうちょっとした行きすぎをやるんですよ。しかし、あなたの身投げを許さなかったことに関しては、いつかきっと許してもらえると思う。さて、失礼してむこうのばか騒ぎを止めに行かなくては」ガリオンはきびすをかえして鎧を鳴らしながら階段へ向かった。「そうそう」かれは男爵夫人をふりかえった。「ぼくが背をむけたとたんに飛び降りようなんてしないように。ぼくの腕は長いんだ、ネリーナ――とてもね」
男爵夫人はくちびるをふるわせてガリオンを見つめた。
「そのほうがいい」ガリオンは階段をおりていった。
マンドラレン城の召使いたちは下の中庭へ大股にでてきたガリオンのけわしい顔をひとめ見るなり、こそこそと道をあけた。ガリオンは城まで乗ってきた軍馬にやっとの思いではいあがり、背中にさげたリヴァの王の巨大な剣の位置を正すと、まわりを見まわして命じた。「だれか槍をもってきてくれ」
人々はわれ先にと何本かの槍を持ってきた。ガリオンは一避孕 藥 副作用本を中から選んで、ひづめの音も高く急いで出発した。
マンドラレンの城塞のすぐ外に広がるボー?マンドルの町の住民は、城塞の内側の召使い同様分別があった。怒ったリヴァ王が通過したとき、玉石敷の通りは人っ子ひとりなく、町の門は大きく開け放たれていた。
ガリオンはこれからアレンド人の注意をひきつけなくてはならなかったが、開戦のせとぎわにいるアレンド人ほど気をそらしにくい人々もなかった。何かでかれらをびっくりさせる必要がある。緑豊かなアレンドの田園地帯を走りぬけ、かやぶき屋根のこざっぱりした村々やブナやカエデの木立を通過しながら、ガリオンは頭上をかすめ飛ぶ灰色の雲を値踏みするようにながめた。計画とも言えないようなもやもやしたものが、そのとき頭にうかびはじめた。
到着してみると、ひろびろとした草原のむこうとこちらに、両軍が整列して口服 避孕 藥にらみあっていた。アレンドには多数の兵がひとりずつ鬨《とき》の声をあげるという昔ながらのならわしがあるが、それはすでに終わっていた。それは言うならば、それにつづく乱闘の序幕戦として定着したならわしだった。両軍が満足そうに見守る中、戦場のまんなかで鎧兜に身を固めた数人の騎士たちの槍攻撃がはじまった。血気にはやる愚かな若い貴族たちが双方から突進し、砕けた槍の残骸が芝にちらばった。
ガリオンはひとめで状況を見て取ると、そのまままっすぐ争いのまっただなかへのりこんでいった。このさい多少のずるは許されなくてはならない。かれが持っている槍は、相手を殺すか不具にしようとしているミンブレイトの騎士たちの槍と少しも変わらないように見えた。だがひとつだけ大きな違いがあった。ガリオンの槍は彼らの槍とちがって、どんなことをしても絶対に折れないのだ。さらに、それは絶対的な力という後光にも似たもので包まれていた。ガリオンはその槍の鋭い切っ先でだれかを刺そうとはこれっぽっちも思っていなかった。かれが望んでいるのは、ひたすら、騎士たちに馬からおりてもらうことだった。あっけにとられている騎士たちのまんなかをくぐりぬけて、まず三人をたてつづけに鞍から投げおとした。次に向かってきた二人をあっというまに下へつきおとした。あまり手際があざやかだったので、ふたりの騎士が落下する騒々しい音も、ひとつの音としてしか聞こえないほどだった。
しかしながら、アレンド人が頭として使っている硬い骨をやわらかくするには、もうすこし適当な見せ場が必要だった。ガリオンは無敵の槍をあっさり捨てて、背中へ手をのばし、リヴァ王の剣を抜いた。〈アルダーの珠〉がまばゆい青い光を放ち、剣自体がたちまち炎に包まれた。いつものことだが、剣はその並はずれた大きさにもかかわらず、ほとんど重さを感じさせなかった。ガリオンは目が回るほどの速度で剣をふりまわした。おどろいているひとりの騎士めがけて突進し、持っていた槍を柄までこまぎれにしてしまった。残りが柄だけになると、ガリオンは燃える剣の平たい部分で騎士を鞍からはたきおとした。それからすばやく向きを変え、つきだされた鎚矛をまっぷたつにしたあと、それを持っていた騎士を馬もろとも地面につきたおした。
ガリオンのすさまじい攻撃にミンブレイトの騎士たちはおそれをなしてあとずさった。しかしかれらをふるえあがらせたのは、ガリオンの圧倒的な強さばかりではなかった。リヴァの王はくいしばった歯のすきまから強者たちを青ざめさせる選りすぐりの呪いを吐き出していた。ガリオンは燃えるような目をしてあたりを睥睨すると、意志の力を結集させた。赤々と輝く剣をかざすと、頭上の曇天を剣でゆびさした。「いまだ!」鞭がしなうような声で叫んだ。
ベルガリオンの意志の力が届いたとき、雲はふるえ、ほとんどすくみあがったように見えた。大木の幹ほどもある太い稲妻が落ちて、鼓膜をふるわす大音響が生じ、四方の地面を数マイルにわたってゆるがした。雷が落ちた草原に大きな穴がぽっかりあいた。ガリオンは何度もくりかえし稲妻を呼んだ。雷の音が空中に充満し、大地が焦げて煙がたちこめた。軍団は急におじけついた。
やがてすさまじい強風が襲いかかった。それと同時に雲が裂けてバケツの水をひっくりかえしたような雨が両軍を水びたしにし、騎士たちはその衝撃で文字どおり馬からころげおちた。強風がうなりをあげ、どしゃぶりがかれらをずぶぬれにしているあいだにも、稲妻はひきつづき両軍をへだてている草原をゆるがし、焦がし、湯気と煙で空中を満たした。草原を横切るのはとうていむりだった。
ガリオンはそのおそるべき光景のどまんなかで、おじけついた軍馬にむっつりとまたがっていた。かれのまわりでは稲光が踊っていた。両軍の上にさらに何分か雨をふらせ、かれらの注意を十分にひけると確信すると、燃える剣をなにげなくひとふりして、どしゃぶりをとめた。
「こういう愚行はもうたくさんだ!」雷もかくやと思われる大声でガリオンは言った。「ただちに武器をおろせ!」
騎士たちはガリオンを見つめ、次にうたがわしげにたがいに見つめあった。
「いますぐにだ!」ガリオンはさけぶと、命令を強調するためにもういちど稲妻をおこした。
あわてて武器を捨てる騒々しい音がひびいた。
「いまここで、エンブリグ卿とマンドラレン卿に会いたい」ガリオンは剣の先端で馬の正面をさした。「ただちにだ!」
ふてくされた学校の生徒のように、鎧兜に身を固めた二人の騎士がしぶしぶガリオンの前へ進みでた。
「きみたちふたりは自分たちのしていることをどう思っているんだ?」ガリオンは問いつめた。
「名誉からしたまでのことです、陛下」エンブリグ卿が口ごもりながら言った。エンブリグ卿は四十がらみのがっしりした赤ら顔の男で、酒のみに特有の紫色の鼻をしていた。「マンドラレン卿がわたしの縁つづきの女性を誘拐したのです」
「あの女性についてのおぬしの関心は彼女に権力をふるうことだけではないか」マンドラレンが熱っぽく反論した。「おぬしは彼女の気持ちを無視して、士地と家財を奪い、さらに――」
「もういい」ガリオンはぴしゃりと言った。「それで十分だ。きみたちの個人的けんかがアレンディアの半分を戦争のせとぎわへ追いこんだ。それがきみたちのしたかったことか? 我を通すことができたら、自分の国がめちゃくちゃになってもいいのか? きみたちはそれほどわからずやなのか?」
「しかし――」マンドラレンは反論しようとした。
「しかしもくそもない」ガリオンはかれらをどう思っているかについて話しつづけた――えんえんと。その口調は軽蔑にみち、言葉の選択は多岐にわたった。ガリオンが話すにつれて、ふたりの顔は青くなった。やがてガリオンはレルドリンが注意深く耳をかたむけているのを見つけた。
「そしてきみだ!」ガリオンは若いアストゥリア人に注意の矛先を転じた。「きみはミンブルでいったいなにをしている?」
「ぼくですか? でも――マンドラレンはぼくの友だちですよ、ガリオン」
「かれが助けを求めたのか?」
「その――」
「そうではあるまい。きみが勝手にそう思ったのだ」それからガリオンはレルドリンを非難の対象に含め、かれらをいましめながらさかんに右手で燃える剣をふりまわした。三人はガリオンが彼らの面前で剣をふりまわすたびに、目を大きく見開いて不安げに剣を見守った。
「よろしい。それでは」空気中の稲妻を一掃したあと、ガリオンは言った。「これがわれわれのしようとしていることだ」とエンブリグ卿にいどむような目を向けた。「わたしと戦いたいかね?」好戦的に顎をつきだしてきいた。
エンブリグ卿の顔が真っ青になり、目がとびだしそうになった。「わたしがですか、陛下?」かれはあえぐように言った。「このわたしを〈神をほふる者〉と戦わせようとおっしゃるのですか?」彼はがたがたとふるえはじめた。
「だめだろうな」ガリオンはぶつぶつ言った。「そうすると、きみはネリーナ男爵夫人について要求したものいっさいをただちに放棄しなる」
「喜んで、陛下」エンブリグの口から言葉が我先にこぼれでた。
「マンドラレン、きみはわたしと戦いたいか?」
「あなたは拙者の友だちです、ガリオン」マンドラレンは抗議した。「あなたに手をあげるくらいなら死んだほうがましです」
「よろしい。それでは男爵夫人にかわって、領地に関する所有権の主張をわたしに一任せよ――ただちにだ。いまからわたしが夫人の保護者になる」
「わかりました」マンドラレンは神妙に答えた。

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これはベルティラとベ

魔術師ベルガラスは欠点の多い人物だった。肉体労働が好きだったことはいまだかつてただの一度もなく、暗褐色の酒《エール》が好きなことはいささか度をこしていた。ときには真実を意に介さないこともあり、正しい所有権をめぐる一部の細かい問題になると、あっぱれなほど無頓着だった。評判優悅 避孕のいかがわしい女たちも、かれの好色ぶりには尻尾をまき、かれの言葉の選択が物議をかもすことは跡をたたなかった。
女魔術師のポルガラは人間ばなれした意志の持ち主で、腰のすわらぬ父親の品行矯正に数千年をついやしてきたが、めぼしい成功はおさめていなかった。しかし、悲しいほどの見込み薄にもめげずに彼女はがんばっていた。幾世紀にもおよぶ歳月を通じて、彼女はベルガラスの悪癖をくいとめようと敢然と戦っていた。しかしさすがのポルガラも怠惰と身なりにかまわぬ無頓着さの二点については、匙をなげていた。罰あたりな言葉を吐くこと、嘘をつくことについても、しぶしぶ白旗をあげていた。だがたびかさなる敗北にもかかわらず、酒ののみすぎと、盗みと、女遊びの三つに関しては、いまでも鉄の意志をもって抵抗していた。ある個人的理由から、彼女はそれらの問題に戦いをいどむことが義務だと感じていたのである。
ベルガラスが翌年の春まで〈アルダー谷〉の塔に帰るのを延ばしたおかげで、エランドは、ときおり訪れる平穏な生活の余白に侵入してくる父と娘の果てしない、信じがたいほど複雑なこぜりあいを、まぢかに目撃することができた。ものぐさな老人がいずれもなにくわぬ顔で、ポルガラの台所をうろつき、彼女の暖炉からはあたたかさを、彼女の貯蔵庫からはよく冷えた酒をくすねるたびに、ポルガラは舌鋒するどく非難したが、ベルガラスは数世紀の実績を物語るたくみな技術で、のらりくらりとそれをかわした。しかしエランドはそれらの意地悪な言いぐさや、ものやわらかで軽々しい返事の奥にひそむものをちゃんと見抜いていた。ベルガラスと娘が他人には理解できないほどはげしくやりあうのは、ふたりの絆がそれだけ強いからだった。だから一見果てしない争いのようでも、その実、陰には互いへの限りない愛情がひそんでいて、かれらふたりがそれを隠しているだけのことだった。だからといって、ポル優悅 避孕ガラがいまのままのベルガラスに満足しているというわけではなかった。ただ、口で言うほど、父親に失望しているわけではないということなのだ。
ベルガラスが娘夫婦とともにポレドラの小屋で冬をすごしたのにはわけがあった。ポルガラもベルガラスもそのわけを知っていた。ひとこともしゃべったわけではなかったが、この家にまつわる老人の記憶は変えられる必要があると父娘は思っていたのである――消すのは不可能だった。この世のどんな力をもってしても、妻の思い出をベルガラスの頭から消し去ることはできなかったからだ。だが、記憶は多少変える必要があった。この草ぶき屋根の小屋によってよびさまされるものが、帰宅して愛するポレドラの死を知ったあの悲劇の日だけでなく、ここで過ごした幸福な日々ともなるように。
一週間ふりつづいたあたたかい春の雨が雪をとかし、空にふたたび青さがもどると、ついにベルガラスは延期を余儀なくされていた旅に出るしおどきだと決心した。「本当はこれといって急ぐわけではないんだが、ベルディンと双子のところへちょっとよってみたいんだ。そろそろわしの塔もきれいにしたほうがいいだろう。この数百年、うっちゃっておいたからな」
「かまわなければ、わたしたちも一緒に行くわ」ポルガラが申し出た。「なんと言っても、小屋の修繕を手伝ってくれたんですからね――熱心にではなかったにせよ、手伝ったのはたしかだわ。だからわたしたちがおとうさんの塔の掃除を手伝えば、ちょうどおあいこじゃない」
「ありがたいのはやまやまなんだが、ポル」ベルガラスはきっぱりと断わった。「しかしおま優思明えの考える掃除は、わしにはいささか徹底的すぎるような気がするんだ。おまえが掃除すると、あとで必要になったものをほこりの山からほじくりだすはめになる。どこかまんなかあたりにすいた空間があれば、わしにとっては十分きれいな部屋なのさ」
「まあ、おとうさん」ポルは笑った。「あいかわらずだこと」
「あたりまえだ」ベルガラスは静かに朝食を食べているエランドを考え深げにながめた。「しかし、問題がなければ、この子を連れて行こうかと思う」
ポルガラはすばやくベルガラスを見た。
ベルガラスは肩をすくめた。「道中の話し相手になる。景色が変われば、エランドも楽しかろう。それにな、結婚した日からおまえもダーニクもふたりきりになるチャンスがなかったんだ。おくればせのプレゼントだと思ってくれ」
ポルガラは父親を凝視した。「ご親切に、おとうさん」そっけなく言ったかと思うと、急に目つきがなごみ、愛情がその目にあふれた。
ベルガラスは狼狽ぎみに目をそらした。「入用なものがあるか? 塔からもってきてもらいたいものがあるかということだが。ときおりあそこにおいてきた旅行鞄やら箱やらが山のようになっとるぞ」
「まあ、ずいぶん気がきくのね、おとうさん」
「そういうものにふさがれている場所をあけたいのさ」ベルガラスはにやりとした。
「その子をちゃんと見ていてくださるんでしょうね? 塔の中を歩き回りだすと、うわの空になることがあるんだから」
「わしと一緒なら大丈夫だよ、ポル」老人はうけあった。
というわけで、翌朝、ベルガラスは馬にまたがり、ダーニクがエランドを老人のうしろに押し上げた。「二、三週間で連れて帰ってくるよ」ベルガラスは言った。「でなくとも、すくなくとも真夏までには戻る」身をのりだしてダーニクと握手すると、ベルガラスは馬首を南へむけた。
空気はまだ冷たかったが、早春の太陽はまぶしいほどだった。若芽の匂いが空中にただよい、ベルガラスのうしろにゆったりまたがったエランドは、馬が〈谷〉の奥へはいっていくにつれて、アルダーの存在を感じることができた。それは穏やかな、やさしい意識であり、激しい好奇心に支配された意識だった。〈谷〉の中にいると、アルダー神の存在は、あいまいな精神浸透ではなく、ほとんど手でさわれそうなほどくっきりしていた。
冬枯れの高い草むらをふみわけて、馬はゆっくりしたペースで〈谷〉を進んでいった。ひろびろとした広がりに大木が点在していた。木々はてっぺんのこずえを空に突き出し、葉の芽ぶきだした枝の先を広げて、太陽にあたためられた空気のやさしいくちづけをうけようとしていた。
「どうだ、ぼうず?」一リーグあまり乗ったあと、ベルガラスが口をひらいた。
「塔はどこですか?」エランドは礼儀正しくたずねた。
「もうちょっと先だ。塔のことをどうして知った?」
「あなたとポルガラが話していました」
「盗み聞きは非常によくない癖だぞ、エランド」
「あれは内緒の話だったんですか?」
「いや、そうじゃない」
「じゃあ、盗み聞きじゃなかったんだ、そうでしょう?」
ベルガラスはサッとふりかえって、肩ごしにうしろの少年を見た。「おまえみたいな若いものにしては、そいつはずいぶんうまい区別のしかただな。どうしてそう考えた?」
エランドは肩をすくめた。「なんとなく。あれはいつもここであんなふうに草を食べるんですか?」かれは近くで静かに草をはんでいる十二頭あまりの赤褐色のシカを指さした。
「わしの記憶にあるかぎりではそうだな。アルダーの存在には動物たちを友好的にさせるなにかがあるんだ」
かれらは優雅な一対の塔の前をとおりすぎた。ふたつの塔のあいだには、風変わりな空気のように軽い橋が弓なりにかかっていた。ルキラの塔だ、とベルガラスはエランドに教えだ。彼らは双子の魔術師だが、心が緊密につながりすぎているため、おたがいにどうしても相手の言うことを、うしろ半分は横取りせずにはいられなくなる癖があった。しばらくすると、ばら色の水晶でできた精巧な塔があらわれた。それはまるで柔らかに光る空中にうかんだピンクの宝石のように見えた。この塔はせむしのベルディンの塔だとベルガラスは言った。ベルディンは思わず息をのむほどの美しいものを、醜い自分のまわりにはりめぐらしていた。
ようやくかれらはベルガラス自身のずんぐりした、機能的な塔に到着して、馬をおりた。
「さて、ついたぞ。上にのぼろう」

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ーの質問は単刀直入だった

「ヘター卿が心優しいわたくしたちの友人を強く叱りすぎたので、彼女は耐えられなくなったのです」アリアナは説明した。「あの方の言葉は、アダーラさまにとって人生よりも大切なんですわ」
「ヘターが」セ?ネドラはあ然とした。
「わたくしたちの友人がヘター殿をどんな目で見つめおられ優思明ていたか、お気づきにならなかったのですか」アリアナは少し驚いたようにきいた。
「ヘターが」セ?ネドラは繰り返した。「知らなかったわ」

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「たぶん、それはわたくしがミンブレイト人だからですわ」と、アリアナ。「わたくしたちは、そのような愛情の気配に敏感なのです」
ヘターは百ヤード行ったところで暴れ出したアダーラの馬優悅 避孕に追いついた。かれは彼女の手綱を掴むと、乱暴に引き止め、鋭い口調で叱責した。アダーラは身をよじらせるようにして、彼女を叱りつける顔を見まいとした。
突然、十二フィートも離れた場所で何ものかがセ?ネドラの目をかすめた。だしぬけに、二つの貧相な茂みのかげから、茶色の防水布をかなぐりすてるようにして、鎖かたびらを着たマーゴ人が立ち上がった。その手の弓にはすでに矢がつがえられていた。
マーゴ人が狙いを定めるのを見た。「ヘター!」セ?ネドラは叫んだ。
ヘターはマーゴ人に背を向けていたが、アダーラは無防備なアルガー人の背中が弓で狙われているのを見た。アダーラは無我夢中でヘターの手から自分の手綱を奪い返すと、かれの馬にぶつかって行った。かれの馬は大きく前脚を上げてよろめき、ヘターを振り落としながら倒れた。アダーラは手綱の端で思いっきり馬のわき腹をたたき、マーゴ人の方に向かって突っ込んでいった。
マーゴ人の顔に一瞬のためらいが走っ優思明たが、すぐに娘に向けて矢を放った。
矢がアダーラを射たとき、かなり遠くにいたにもかかわらず、彼女の悲鳴はセ?ネドラの耳をつんざいた。彼女は後になっても恐怖とともにその悲鳴をしばしば思い出した。アダーラは身体を二つに折ると、空いていた手で胸にささった矢を掴んだ。馬は速度を落とすことなくマーゴ人につっ込み、かれを踏みつけた。マーゴ人は脚踏みする馬の下で転げまわった。馬が通り過ぎると、男はよろめきながらたち上がり、刀を抜いた。しかし、すでにヘターがサーベルを抜いていた。刃が陽光にギラギラと輝き、振りおろされた。マーゴ人は倒れる前に一度だけ悲鳴を上げた。
ヘターは血のしたたるサーベルを握ったまま、怒りに駆られながらアダーラのほうに取って返した。「なんて馬鹿なことを」かれはわめいたが、急に息をのんだ。彼女の馬はマーゴ人から数ヤード離れたところに止まっていたが、娘はうなだれるようにして鞍の上に倒れていた。黒髪が青白い顔をヴェールのように覆いながら流れ、その両手は胸のところで押さえつけられていた。娘は、ゆっくりと落ちていった。
ヘターは言葉にならない叫び声を上げると、サーベルを落とし、アダーラのかたわらにかけよった。
「アダーラ!」王女は叫び、両手で顔を覆った。ヘターが矢で射られた娘をそっと抱き起こした。矢は、アダーラの下胸部に突きささり、弱々しい心臓の鼓動とともに上下していた。
二人の傍に走り寄ったとき、ヘターはアダーラを抱きかかえ、傷つき青ざめた顔をじっと見まもっていた。「馬鹿だ」かれはしわがれた声でつぶやいた。「本当に馬鹿だよ」
アリアナは馬が止まるのももどかしく飛びおりると、ヘターの傍に駆けよった。「どうか彼女を動かさないで下さい」彼女は鋭く言った。「矢は肺までたっしています。もし動かしたりすれば、鋭い矢じりが傷を深くし、命とりになります」
「抜いてやってくれ」ヘターは歯をくいしばりながら言った。
「無理ですわ、ヘターさま。矢を抜けばもっと傷が深くなります」
「このような彼女を見るには忍びないのだ」かれは泣き出しそうだった。
「それでは見ないほうがよろしゅうございます」アリアナはアダーラのかたわらにひざをつき、専門家らしい仕種で傷ついた娘ののどに手をあてた。
「死んではいないだろうな」ヘターは懇願するように言った。
アリアナはかぶりを振った。「傷は深いですけれど、心臓はしっかり鼓動しています。即席の担架を急いで作らせて下さい、ヘターさま。友人を要塞に連れて戻り、すぐにレディ?ポルガラの治療を受けさせなければ、わずかに残されている命の火も消えてしまいますわ」
「何か手当はできないのか」かれは恨みがましく言った。
「このような太陽が照りつける荒れ地では無理ですわ、殿下。道具も薬もありませんし、彼女の傷はわたしの手にあまるくらい深いのです。頼みの綱はレディ?ポルガラだけですわ。担架を、どうか、早く!」
ポルガラがアダーラの病室から出てきたのは午後も遅くなってからだった。彼女の瞳には憂うつな表情が浮かび、その視線は石のように固かった。
「彼女はどうですか」ヘターがきいた。かれは何時間も小要塞の主廊下を行ったり来たりしていたが、ときどき立ちどまっては、抑えきれない気持をぶつけるように、むき出しの石壁を拳で乱暴にたたきつけていた。
「少しは良くなったようね」ポルガラは答えた。「峠は越えたけれど、非常に衰弱しているわ。あなたに会いたがっていてよ」
「彼女は、回復するのでしょうね」ヘターは恐る恐るたずねた。
「たぶん――傷が悪化しないかぎりはね。彼女は若いし、傷は見た目ほど深くはなかったから。今は話をしたがるような作用を与えているけれど、あまりしゃべらせてはいけないわ。彼女には休息が必要よ」ポルガラの視線が涙に濡れたセ?ネドラの方に向けられた。「アダーラを見舞ったら、わたしの部屋に来てちょうだい」ポルガラの口調はかたかった。「少し話しあわなければいけないわね」
アダーラの焦げ茶色の髪が陶磁器のようななめらかな顔を囲むようにして、枕の上に広がっていた。顔色は青白く、うっすらとあけられた目に光をたたえ、かれらのあいだをぼんやりとさまよっていた。アリアナは黙って寝台のかたわらに座った。
「具合はどう、アダーラ」セ?ネドラは、病気見舞いをするときに使う、つとめて明るい調子でたずねた。
アダーラはセ?ネドラを見つめ、かすかにほほ笑んだ。
「どこか痛いの」
「いいえ」と、アダーラ。「痛くないわ。でも、頭がふらふらして、変な気分」
「なぜ、あんなことをしたんだ」ヘタ。「何もマーゴ人の正面から突っ込む必要はなかったんだ」
「いつも馬とばかりいらっしゃるんですもの、ヘター卿」アダーラはかれにかすかにほほ笑みかけながら言った。「ご自分と同じ種族のものが何を考えているか、おわかりにならないんだわ」
「どういうことだ」かれはけげんそうだった。
「言葉どおりですわ、ヘター卿。成熟した雌馬が素晴らしい牡馬に惹かれることにたとえれば、わかっていただけるかしら。でもそれが人間に起きたときには、何もおわかりにならないんだわ」彼女は弱々しく咳をした。
「大丈夫か」かれは鋭くきいた。

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