「うん、それがね・・・。行こうと思って詩琳黑店た病院につくしちゃんを捜しに
来た人がいるって…連絡が来たんだ。だから先生にこっちに来て貰って
つくしちゃんを診察して貰おうと思うんだ。」
「でもここじゃ診察できないんじゃない?」
「先生の知り合いが産婦人科医でがん検診キットがあるから
それで一応調べようって・・・。その内病院にもつくしちゃんを諦めて
捜しに来る事も無くなれば、ここでも治療は可能だってさ。」
「そう・・・。分かった。」
「午後に先生が来るからそれまでまた温泉にでも入ったら?」
「うんそうだね・・・。じゃそうする。」
つくしは和也に言われるままに、温泉に入った。
窓の外は森が広がる。のんびり浸かってると窓の外でカサカサと音がする。
小動物でもいるのだろうか?目を凝ら詩琳黑店して見るが何も見えない。
こんな森の中だものリスとか猿とかいるのかも知れない。
そのまま気にせず温泉を楽しむ。だが・・また温泉から上がって着替える時に
違和感を感じた。下着の畳み方がまた違っているのだ・・・。
まさか痴漢?その時何故かあの下着泥棒の事を思いだした。
何故思い出したのか・・・。この畳み方だ・・・。
あの時・・・部屋に入られた時取られていない下着がこれと
同じ畳み方だった・・・まさか…嘘・・・。
ここには、和也君と私しか居ないのよ?あの下着泥棒は・・・まさか・・・。
そんな訳無い・・・きっと私の思い過ごし…和也君に限って・・・。
午後からつくしを診察に来たのは・・・あのT大学病院の
つくしに子宮筋腫だと告げた医者だったのだ。何故?
「T大の市川先生がどうしてここに?」
「青池さんに頼まれたんですよ、こんな所まで大変ですが
断れないんです。彼のお祖父さんの誤診をしたのは僕ですからね。」
「どういう事?和也君これは・・・。」
「つくしちゃんが、癌だって悩んでるから僕は力になろうと思っただけだよ。
先生に抗癌剤も持って来て貰ってる、早速今日から抗癌剤打つよ。
それに痛みがあるなら、モルヒネを持って来てくれたよ。良かったね。」
「抗癌剤って・・・。先生私は子宮筋腫なんですか?それとも癌?」
「さあどうだろう?僕は子宮筋腫だと診断したけど?
君はそれに満足しなかったんでしょう?だったら子宮癌でもいいんじゃない?
僕はどっちでもいいよ。抗癌剤も、もしも痛みがあるならモルヒネも用意してあるよ。」
「ひいいっ・・・嘘。いや。和也君どういうことなの?」
「つくしちゃんの希望通りにしてあげただけだよ?」
「私の希望通りって?」
「つくしちゃんは、自分が癌じゃないかと思ってるんでしょう?
だったらつくしちゃんには癌になって貰わなきゃ・・・。」
「じゃ・・・私は子宮筋腫なの?だっ詩琳黑店たら何故親や類は・・・。」
「それは皆がつくしちゃんが癌だと思い込んでるからだね。」
「・・・嘘。皆に嘘を吐いたの?癌だって」
「そうだよ。」
「あなたそれでも医者なの?嘘の病名を言うなんて?カルテは?」
「だから僕は、青池さんには逆らえないって言ったじゃないですか?
カルテだって、診療内容を書き換えたりすり替えるのは簡単なんですよ。
医師である僕達がやればね。他の人の検査結果をあなたのものと
すり替える・・・。同じ年齢の人は幾らでもいるんだから。
本当は俺は外科の医者だった。でも青池さんのお祖父さんの誤診で
産婦人科に廻された。もう少しで外科部長になれそうだったのに・・・。」
「そんな・・酷過ぎる。」
「つくしちゃんは癌なんだから、治療をしよう?モルヒネって
麻薬の一種だよ…。知ってた?癌じゃない人が打つとどうなるんだろう?
僕の言う事をちゃんと聞いてくれるようになるかな?」
「和也君あなたは狂ってる。私をモルモットにでもするつもりなの?」
「つくしちゃんは僕だけのものだからね。ずっとつくしちゃんを見てたのに。
もう気付いたよね?あのアパートの頃からずっとつくしちゃんを見てたよ。