間違った「させていただく」
「感心しました」は失礼! ビジネス上級者でも間違える敬語の落とし穴5選
春は新しい環境へと移り変わる季節。そんな時に気になるのは敬語の使い方。せっかくさまざまな出会いがあっても、敬語を間違って使うとうっかり失礼なことを言ってしまいかねない。敬語には自信がないなという方に向けて『森下えみこの私の敬語正しいと思っていたけれど。日常&マナー編』(森下えみこ:著、杉山美奈子:監修/KADOKAWA メディアファクトリー)から、ビジネス上級者でも間違えてしまいそうな敬語を紹介しよう。自分は大丈夫と思っている人も、今一度、確認してみてはいかがだろうか。
【(1)させていただくは謙遜?】
インタビューなどでよく耳にする「一生懸命プレーさせていただきます」「演技させていただきます」という言葉。一見、丁寧そうに見えるけれど、実はこの敬語は間違い。「させていただく」は相手に許可をとる時の言葉。許可が必要ない時に使うと過剰な敬語になってしまう。また、自分で行動することに使っているのでへりくだった表現にはならない。
×「一生懸命プレーさせていただきます」
○「一生懸命プレーします」
×「演技させて頂きます」
○「演技いたします」
「させていただく」の代わりに「いたす」を使うことで正しい敬語になる。
【(2)目上の人をほめるのは、アリ?】
「感心しました」「お上手ですね」など、褒め言葉は何気なく使っている人も多いだろう。しかし、目上の人には失礼にあたってしまう。
「感心しました」→感心は目上の人が目下の人にするもの。
「お上手ですね」→大人が子どもを褒める時に使う言い方。
代わりに使いたいのが、
「素敵ですね」→「いつも素敵ですね」「品があって素敵ですね」などと組み合わせて使うと説得力アップ!
「私には思いつきません」→「そのアイディア私には思いつきませんでした」などとアイディアじゃなくて、思いついた人に憧れているように話すのが良い。
目上の人に対しては、ほめずに憧れの対象として気持ちを伝えることが重要になる。
【(3)ほめられた場合は?】
次は、ほめられた場合の敬語について紹介しよう。
何気なく使ってしまいがちなのは「そんなことないです」「ぜんぜんです~」などの言葉。恥ずかしい、謙遜などの思いから、つい発してしまうことも多い。しかし、この2つの言葉は、相手の言葉を否定していることになってしまう。
他にも、ほめられてすぐに「○○さんのほうが素敵ですよ」と返すのも嘘っぽくとられがちなのでNG。
「気づいてくれて、ありがとう」
「そう言っていただけると、自信になります」
「ありがとう。自分ではそんな風に思っていなかったけど……すごくうれしい」
という風にほめてくれた相手を立てる言い回しをすると、相手も自分も互いの言葉を気持ちよく受け入れられる。
【(4)失礼にならない謝り方は?】
ついつい使ってしまう謝罪の言葉「すみません」。慌てている時などは、「すみません! 本当にすみません!」などと重ねて使ってしまうこともある。しかし、「すみません」は謝罪の中では軽度にあたる。また、目上の人には使えない言葉なのでビジネスの世界で使うことはあまりない。
「すみません」は「申し訳ございません」に置き換えて使うのが良い。
かしこまって謝るときは、
「(謹んで)お詫び申し上げます」
強い反省の場合は、
「深く反省しております」「大変申し訳ありません」
など、使い分けするのが良い。
謝罪が上手くできないと人間関係のこじれにも繋がる。いくつか謝罪の言葉を覚えておけばいざという時、役に立つはず。
【(5)訪問先から帰るときは、なんて言って帰ればいいの?】
友人とのお茶会、大事なことだけ話してさようならと帰れればどんなにラクだろう。しかし、話が弾んでしまうとなかなか帰ると言い出せないことは誰でもあるはず。だが、次の予定があるからと言って「時間になったので帰ります」では、失礼にあたる。
話が一段落したときなどに……
「すっかり長居してしまって、そろそろ失礼します」
お茶やお菓子を頂いた時は……
「いただきだちで申し訳ありません」
というような、相手を不快にさせない正しい言い方を覚えておく必要がある。
残る人を不快にさせない言い方が必要に
なってくる。