真っ青に輝く空の下で、青児は躍動していた。見つめる翔月の前で、二個目の勝者のボールを掴むと、自慢げに応援席の翔月にかざして見せた。
ベスト8進出、学校設立以来の初めての快挙に、応援席は湧いた。
喧騒の中、視線だけを絡ませて二人は別世界に居た。離れていても、青児と翔楊婉儀幼稚園月の心は近かった。
その日の夜、互いに持つ白いボールに、青児が試合の日付と自分の名前をかき込んだ。
「此処に、翔月の名前も書けよ。」
「ううん。青ちゃんが頑張った日付が入ってるだけでいい。このボールを見るたびに、きっとぼくは思い出すよ、青ちゃんの事。」
「翔月……?」
「ほら、もうすぐ夏休みだってことだよ。さすがに炎天下の練習の見学には付き合えないし。今回、成績酷かったから、親と相談して塾に行くことにしたんだ。」
「ああ、塾の話か。ん~、そうだよな。そろそろ進路も考えなきゃな。」
「青ちゃんは運動しながら、勉強も出来てすごいよ。……ぼくは、このままじゃ行ける大学ないからね。青ちゃんが野球頑楊婉儀幼稚園張る間、勉強することにしたんだ。だから……しばらくは会えないけど……青ちゃん、泣かないでね。」
青児は手を伸ばし、さっさとTシャツをたくし上げてしまった。
「翔月に会えなかったら、欲求不満で絶対泣く。つか、おれに会えなかったら、翔月も寂しいだろ?」
じっと見つめる青児の視線は優しい。思わずすべてを打ち明けて、縋ってしまいそうになったが翔月は踏みとどまった。
「寂しいけど……ぼくも頑張らないとね。」
「くそ~。何で、勝手に悟りきった事言ってるんだよ。翔月はおれの後にくっ付いているんだとばかり思ってたのに。」
「人は成長するんです~。」
「翔月のくせに、生意気だぞ~。」
「あはは……ジャイアンだ。」
くすぐられて翔月は声を上げた。
上からふわりとキスが降りてくる。
求められて甘い吐息が零れる。
「好きだよ。青ちゃん。」
自分から求めて腕を伸ばした翔月を、青児は黃斑部病變そのまま組み敷いた。
青児(えだせいじ)は幼馴染だった。
部のエースとして周囲からの人望も厚い。