「デビスカップ」の試合で、カナダの選手がプレーとは関係のない場面で打ったボールが主審の左目に直撃し、失格負けとなるハプニングが起きた。
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テニス男子の国別対抗戦「デビスカップ」の試合で、カナダの選手がプレーとは関係のない場面で打ったボールが主審の左目に直撃し、失格負けとなるハプニングが起きた。
事件が起きたのは、カナダの首都オタワで2017年2月5日(現地時間)に行われたワールドグループ1回戦・カナダ対イギリスの最終第5戦。両チーム2勝2敗で迎えた「大一番」の試合は、誰も予想できない形で決着がつくことになった。
■主審の左目の周りは大きく腫れ上がって…
「前代未聞」ともいえる失格負けを喫したのは、カナダのデニス・シャポバロフ選手(17)だ。
対戦相手のカイル・エドモンド選手(22=イギリス)に2セットを連取され、シャポバロフ選手にとっては1セットも落とせない「土壇場」の状況で迎えた第3セット中盤。自身のサービスゲームをミスショットで落とした直後に、そのハプニングは起きた。
試合の中継映像をみると、ゲームを落としたシャポバロフ選手はかなりイライラした様子。腹立たしげにズボンのポケットからスペア用のボールを取り出し、観客席に向かって思いっきり力を込めて打ち込んだ。
だが、猛烈な勢いで放たれたボールが到達したのは、観客席ではなく、コート脇に立てられた審判台に座った主審の顔面だった。ボールが当たった瞬間、主審は顔を手で押さえてうずくまる。コートには、審判の顔にぶつかったボールが転々としていた。
この様子を見たシャポバロフ選手は大慌て。「マズい」とでも言わんばかりに大きく開けた口を手で覆い、審判台へと駆け寄るやいなや、必死な様子で主審へと何事か声をかけていた。
その後、主審はマイクを手に取ってシャポバロフ選手に失格を宣告。その時には、主審の左目の周りは大きく腫れ上がり、青白いあざのようなものが出来ていた。
プレー中の場合は?
試合終了後に更新された「デビスカップ」公式ツイッターによれば、シャポバロフ選手は審判事務所を訪れ、ボールを当ててしまった主審に謝罪。その後、主審は左目の傷と腫れの影響で、オタワ総合病院に向かったという。
現地メディアの報道によれば、シャポバロフ選手は試合終了後の記者会見で「チームと母国(カナダ)を失望させてしまった。信じられないほど恥ずかしい気分だ」などとコメント。ボールを当てた主審だけでなく、審判団全員にも謝罪の言葉を送ったという。
ところで、今回のケースは「プレー外」で起きたハプニングだったが、仮にインプレー時に審判にボールが当たった場合はどうなるのだろうか。テニスのルールに詳しい関係者はJ-CASTニュースの6日の取材に対し、
「常識的に考えて、プレー中であれば、失格になることはありえないでしょう。故意でなければ、の話にはなりますが」
と説明する。
この関係者によれば、テニスのルール上、どうすれば失格になるのかという厳密な定義は「ない」というが、「遅延行為」や「スポーツマンシップに反する行動」などの違反行為に対する罰則の1つとして、審判は選手に失格を命じる権限を持つのだという。
なお、この関係者は今回のケースについて、
「主審にボールを当てて失格になったという話は、これまで聞いたことがありません」
とも話していた。