月別アーカイブ: 2018年5月

杉田、添田に感じるフラット系カウンターパンチャーの危うさ

杉田が苦しんでいます。

全仏オープンの1回戦でアルゼンチンのH.ゼバリョスに4-6 7-6 4-6 2-6のスコアで敗れました。クレーを得意とするゼバリョスとそうでない杉田との差が出た印象です。時折ゼバリョスが見せるドロップショットが絶妙でした。運転順延のため2日目にわたったこの試合でしたが、2日目のプレーだけ見るとスコア以上に実力差があった気がします。これで杉田は9大会連続の初戦敗退。今回奇しくも連敗の開始となったインディアンウェルズの初戦で当たったゼバリョスにまたしても敗れてしまいました。

今年のクレーシーズンは1試合も勝てずに終了することになります。もちろん杉田にとってクレーは一番戦いづらいサーフェースではありますが、さすがに全敗というのは今後ツアーで戦っていくにあたって厳しい結果でしょう。ポジティブに考えればこれからは得意なグラスコートのシーズンが始まるわけですが、昨年バルセロナオープンでガスケやカレーニョ・ブスタに勝った勢いがあって臨んだグラスコートシーズンと、9大会連続初戦敗退で臨むグラスコートシーズンは何か違うものになってしまう気がするのです。

どうしても思い出すのは2012年の添田豪です。7月に世界ランキング47位を記録し、錦織圭に次いで松岡修造の46位を超える期待が高まりましたが、その後はズルズルとランキングが下がってしまい、翌年の7月には100番台に戻ってしまっていました。もちろん実際に46位を超えて日本人の世界ランキング歴代2位を記録した杉田と添田では、その実績の差に確かな一線が引かれたわけですが、やはり似たような危うさを感じてしまうのです。

杉田も添田もボールにあまり回転をかけないフラット系カウンターパンチャーの選手です。相手の球威を利用しつつ、低く滑る弾道で相手に高い打点からの強打を許さないこのプレースタイルはアジアの選手を中心に小柄な選手に多いプレースタイルです(シモンやゴフィンもこのタイプのように思います)。このタイプの選手が調子の良い時には、ボールの上がりばなをスパンスパンと打ち抜いてゆき、相手の選手がなかなか高い打点で打たせてもらえず苦しそうにボールを持ち上げる様子を見ることができます。ちょうど杉田が優勝したアンタラヤオープンの決勝がまさにそんな感じでした。

ただ、このフラットというのは難しいもので、ボールが落ちきらずに糸を引くように延びていってそのままアウトする場面も良くみます。恐らくですがフラットを持ち球にしている選手は、メンタルも含めたコンディションの充実がトップスピン系の選手以上に重要なのではないかと思います。初戦敗退が続き精神的に充実しているとは思えない今の杉田は、そういうプレースタイル的な危うさもあいまって観ていてとても心配です。

後一ヶ月足らずでディフェンディングチャンピオンとして迎えるアンタラヤオープンが開幕します。それまでに杉田には少しでも調子を取り戻して欲しい限りです。

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カテゴリー: 大会 | 投稿者ステイバックダブルス 00:47 | コメントをどうぞ

2018年全仏オープン 男子ダブルス展望

ついにローランギャロスが開幕して、男子ダブルスのドローも発表されました。去年はハリソン/ビーナス組という、恐らく誰も予想できなかったペアが優勝しましたが、誰も予想していなかったペアの優勝に誰も驚かないぐらいにダブルスは番狂わせの多い種目です。

ただそれでも今年は全豪から続く、マラック/パビッチカバル/ファラの二組の勢いを無視できない気がします。

特にカバル/ファラ組は結成9年目にして初のマスターズ1000のタイトルを獲得するなど、かつてない勢いがある気がします。恐らくブライアン兄弟に次いで長くツアーレベルで組んでいるペアだと思うので、そろそろグランドスラムタイトルを取らせてあげたいです。そんな願望も込みで今年の優勝予想はカバル/ファラとしたいと思います。

一方のマラック/パビッチもマスターズ1000モンテカルロで準優勝、先週のジュネーブで優勝と本当に安定しています。残念ながらマラック/パビッチは第2シード、カバル/ファラは第5シードでこの両ペアが準々決勝で当たるドローになってしまいました。

その他の注目ペアは、2016年のチャンピオンのロペス/ロペス組ですね。今年は前哨戦のひとつであるバルセロナオープンで優勝しています。ただ、このペアについてはやっぱりひと時の勢いはない印象です。2週目に残れるかな…ぐらいのような気がします。

地元のエルベール/マウにはタイトルを取らせてあげたいのですが、前哨戦ではシングルスのランキングのためかチャレンジャーを回ったりしていましたし、今年は準備的にどうなのか疑問符がつきます。本来この二人は速いサーフェスの方が得意なのだろうと思いますし(全グランドスラムの中でここだけ決勝に進出したことがありません)、少し厳しい印象です。

ブライアン兄弟はボブが出場しておらず、マイク・ブライアンとクエリーが組んでいます。クエリーも決してダブルス出来ない人ではないですが、どうなるでしょうか。

別の意味で注目なのが、イタリアのブラッチャリ/セッピ組です。ブラッチャリは2015年に八百長疑惑による出場停止処分を受け(こちらがその記事です)、2015年シーズンは全豪オープンのみしかプレーしておらず、2016年は出場大会数0、2017年も1大会フューチャーズに出たのみで、本格的な復帰は今年からのようです。正直八百長が発覚した時点でブラッチャリは37歳だったので、まさか復帰してくるとは思いませんでした。過去最高位は21位だったランキングは今は1181位まで下がっています。ただ、ここまでどん底に落ちてなお頑張るなら、むしろ応援してあげたい気もします。

今年のクレーシーズン全般に、一昔前に組んでいたペアがいくつか再結成しているようです。マレーロ/ベルダスコクエバス/グラノイェルスクレシ/ロジェペラルタ/ゼバリョスが組んでいます。今大会の結果次第では今後も長く組むのかもしれいないので注目です。

 

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カテゴリー: 大会 | 投稿者ステイバックダブルス 06:52 | コメントをどうぞ