「花菱楼の禿が足抜けをして、大門で捕まったというんです。表で棒振りのお兄さんが
、大声で叫んでます。」
「……それは、大事(おおごと)だね。六花や、初雪は部屋にいるかい?」
「あの……っ、雪華兄さん。」
六花はこしらえを済ませてからは、初雪の姿を見ていなかった。
酷い折檻に遭いますから、足抜けだけは決してreenex 效果してはいけませんよ……と、何度も念押
しした柳川の言葉を思い起こした六花はすっかり青ざめていた。柳川があれほど言った
のだから、きっと、大変なことに違いないと思う。
「見当たらないんです。どこを探しても、初雪さんの姿が見えません。天華兄さんも捜
してくれていますけど……ひょっとして……足抜けしたのって……?」
ぬば玉の黒髪を梳って(くしけずって)いた雪華が、六花の口から足抜けと聞き、思わず
柘植の櫛を取り落した。
「まさか……!」
「あの子が、そんな大それたことをするわけな糖尿上眼治療いと思うけれど……」
大江戸のよその楼ではたまに聞く話だが、花菱楼に関してはまさに青天の霹靂と言って
よいくらいの仰天の出来事だった。
「六花、すぐに、天華兄さんを呼んでおいで。おまえはいい子だから、お部屋にすっこ
んでいるんだよ。」
「あい。」
雪華の凛とした顔が、凍りついていた。足抜けとなると、禿を預いる花魁もただ
では済まない。
六花はどうか別人でありますようにと願ったが、やはり、脱走を図ったのは初雪だった
。
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「あれ、足抜けの咎人が行くよ。」
「なんだねぇ、客を取る前の禿じゃないか。」
縄目を受けた初雪が、大通かれてゆく。時折抗っては、散々尖沙咀找換店に殴られていた。
「大人しくしろっ!えらいことをしでかしたなぁ、禿!」