上海マスターズのベスト4が出揃った。
ナダル、フェデラー、チリッチ、デルポトロである。特に、デルポトロは第16シードからの勝ち上がりで、しかも手首を負傷しながらも粘り強く勝ち上がってきた。
3回戦では、第3シードのA・ズベレフを3-6,7-6⑤,6-4の逆転で勝利している。
今回、どうしても気になったのが、デルポトロ対ズベレフの一戦において、ズベレフが行ったラケット破壊行為である。
昔は、マッケンローがラケットを破壊し『悪童』と呼ばれていた。時折、ラケットを破壊する選手というのはいつの時代もいたものである。
そんな中、指導者達は『道具を大切に扱うこと』『感謝する気持ちを大切にすること』を子ども達に伝え続けてきた。代表的なのが松岡修造である。修造チャレンジでは、技術面の強化はもとより、メンタル面や海外に行ってのコミュニケーションスキル、自分を表現する能力、そして道具を大切に扱うことを教えていた。
とても残念なことではあるが、修造チャレンジの卒業生の一人でもある錦織圭が、ここ数年、良くラケットを破壊していた。ズベレフと錦織は、良くラケットを破壊する選手というイメージまでもついてしまっている。現に、この二人のラケット破壊シーンは容易に見つけることが出来る。
それを報じるメディアにも責任はある。その瞬間を芸術的に撮影し、それでも勝ったのだと言わんばかりに英雄に仕立てあげる。
ラケット破壊は、紛れもなく違反行為であることを忘れてはいけない。
ラケット破壊を行うと
1回目は警告、2回目以降は1ポイントを失う。
そればかりではなく、破壊的行動を公の場で不特定多数の人々に見せるというハラスメントなのである。極めて重い罪であることを認識してほしい。
テニスのルールでの警告以上に、社会的にハラスメントであり、やってはいけない行為なのである。
以前、ワウリンカが、破壊したラケットを観客にプレゼントし、観客が盛り上がった。そのようなことは、決して許してはいけない。
それだけではなく、プロテニスプレーヤーのほとんどは、ラケットメーカーとスポンサー契約を結んでおり、ラケットを破壊する行為は契約違反となり罰金を課せられることが一般的である。
錦織の場合はウィルソンとの契約書に、
「もしもラケットを故意に破壊させた場合、契約料の10%相当の違約金を支払う」
旨記載されているという。
錦織の場合、1本破壊すると2500万円のペナルティということになるが、支払うから破壊して良いということにはならない。あくまでも罰則金なので、改善されない場合は、違約金を上げるか契約解除にすべきである。
ラケット破壊は、ルール上も、契約上も、社会的にも大きな違反行為なのである。
テニス界全体でラケット破壊を無くしていく行動を起こさなければならない。
ライター:剛力健一(ごうりき けんいち)
テニスでインターハイ出場。大学卒業後オーストリア留学し、ATとして活躍。現在は、スポーツ記事の寄稿、講演活動を行う一方、地域に密着したスポーツイベントやスポーツクラブ作りにも参画。
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