「プジャン、王様にはお伝え済みか?」
まだ思うように身体が動かせないようで、椅子に座ったまま俺に語りかける
「王様も痛く御心配なされ、連絡が入ったら必ずお認知能力伝えするようにと。申し訳ございません」
はぁ、っと溜息を吐き一言仰った
「また、面倒をかけたな」
「いいえ、いつもの事で」
俺はテジャンに軽く頭を下げる
「プジャン、俺は暫く寝る。」
そう言ってテジャンは頭を掻きながら寝床を探す
「判りました、何か必要な物は御座いますか?」
「何も。寝るのに必要な物は床位だ。」
そう言って見つけた寝床に向かい歩き出した
チュンソクが頭を下げ、部屋を出て行った
久し振りに帰ったこの部屋は酷くがらんどうとしていた
一人で使っていた時は何も感じなかったが、寒々しく見える
寝床に座って、一人部屋を見回すと、そこかしこにあの方の持ち物が目に入る
あの方の髪を梳いた櫛、少し小さめの隊員服
あちらの世界から持ってきた「鞄」
俺の荷物よりよっぽどあの認知能力方の荷物の方が多い
そして、薬を作る為のもろもろの器生薬。
何時からかこの部屋には俺と貴女の匂いと生薬の匂いで満たされていた。
そして今も、貴女の香りを少し感じる
座っていた姿勢からそのまま横に倒れ、枕に頭を乗せる
あの日、この寝床で貴女は毒と戦ってそして、生を勝ち取った
故に、枕にとても強く貴女の香りを感じる
典医寺の仕事は滞る事無く夕方には予定されていた検診や診察は済んでもうじき日が完全に沈む頃、夕餉の用意を今朝初めて膳を持ってきた女官の娘が、休憩室の方へ持ってきた。
今日は他の医員の人達やトギも一緒に夕餉を食べて、トギはこのまま私の部屋に泊まる事になってる。
考えてみるとこんな風に夕餉を取るのも、私の部屋に他の人が一緒に寝るのも初めてかも…
そう思うとなんだか、ワクワクして来ちゃった!
夕刻からの私の警護はあの人と入れ替わりで帰って来たトルべ君とチュモ君だった。
「今日は典医寺が夜になっても賑やかですね。医仙様。」
私の警護なので一緒に休憩室に入って来たチュモ君が私の後ろから声をかける
「そうなの、チャン先生のお取り計らいよ?なんだか、キャンプみたいで楽しいわ」
そう言いながらふふふと笑う
いつもならこの時刻はこの典医寺も静まり返っている時間で、こんなに人の声が聞こえる事は殆ど無い。
そして、丁度寂しくなってきた頃にあの人の部屋に来ては今日あった事や私の話を聞いてくれる。
あの人のさりげない優しさは離れている時に一番分かる。
チャン先生が皆を交代で泊まらせないのは私が少しでも落ち着いて眠れるしてくれての事。
私はこの世界に来ていろんな人達に守られているんだとすごく感じられる。
今日だってトクマン君も手に入りずらい芋を持ってきてくれたり、王妃様だって、私を気遣ってくださって…警護のウダルチや武閣氏だって、私を守る為に傍に居てくれる…
皆が喋っているのをそんな事を考えながら見ているとトギが手話でそろそろ眠ったほうが良いと言ってくる。
「あら、もうそんな時間なの?じゃあ、私とトギは休ませてもらうわ。皆も免疫系統明日早いからもう眠ってね?」
そう言うと残っている医員達は口々に「はい」と返事をして休憩室を眠れるように机を動かし始めるその様子を見つつ私とトギは部屋に向かう
休憩室前にはトルべ君が居て「もう、お休みですか?」と聞いてきたので「そうね、明日も早いから寝るわ」と答えた








