白河以来れなか

ふと、名主の清助の顔を思い出す。清助のおかげで、ここにこうしている。
「例え天が許しても、わたしは大義なく会津を苦しめた薩長を許しません。戦で血で血を洗うのが避けらったのだとしても、人道を外れた眼霜やりようは許せない。いつか機会があれば、誇りを踏みつけにした奴らに、一泡吹かせてやるつもりです。」
「そうか。今後も懐に入って機を伺うということか。」
「相馬さんもそのつもりではないのですか?」
「確かに会津の辛酸を思うと、新政府の役人になるのは、内心忸怩たる思いがあった。時代が変わったなどといわれても、わたしも簡単に手打ちをする気はない。君と話をして、同じ思いだと気付いたよ。」
「まだ内々の話ですが、邏卒の高官に、佐川さまが任ぜられる話があるのをご存知ですか?」
「そうなのか?いや、恥ずかしながら世情に疎くて会津の方々のことは、ほとんど知らずじまいだ。佐川さまとはお会いしていない。」

薩長に「鬼佐川」「鬼官兵衛」とあだ名され、恐れられた勇将佐川官兵衛が、その実力を捨て置くのはneostrata 果酸もったいないと、警視庁に入るよう要請されているという。
今はまだ、正式に決定しているわけではないが、内密に容保に伺いを立て、おそらく受諾するだろうと窪田は語った。

「佐川さまなら、わたしもよく知っている。もしも佐川さまの元で働けるなら、どれほど励みになるかもしれない。窪田君、ほかにどんな方がいるか詳しく話を聞かせてくれないか。」
「いいですよ。近くにいる会津の方々にも声をかけて、一杯やろうじゃありませんか。皆、鉄砲隊隊長の相馬さまBB過敏に会えたと知ったなら、なぜ声をかけなかったと怒るでしょうから。」
「そうか。久しぶりに大いに呑もう……と、言いたいが、実は懐がさみしくてな。」

直正は、頭を掻いた。

「牛鍋屋はどうです?あれは実にうまい。前祝いに、是非奢らせてください。」
「すまないな。出世払いで借りておくとするか。」


カテゴリー: 未分類 | 投稿者carrytion 13:16 | コメントをどうぞ

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