母が忘れ物をしました。
いつもテニスの時に被っているキャップです。
私は朝練習し、諸々の仕事を片付け、家にたどり着いてほっとした時に、「ママの帽子がない。どこに寄ったっけ?」。
寄った店が2つあり、1つには「ありません。」と言われて、もう一つのお店はすぐ留守電になってしまいます。
「キャップなら、買ってあげるから。」
「ママのお気に入りの帽子なの。」
「また後で電話してね。」と言われて、私もすっかり忘れていた頃「ママが電話するから電話番号を教えて。」と言うので、私が仕方なく電話すると、「あります。後をすぐ追ったのですが、佐藤さんが見つからなくて。すみませんでした。」と。あったのです!
また「ママが1人で行くから車のキー貸して。」と言いますが、母にはもう運転をしないで貰っているので、少し怒って「私が行くから。」と言ってしまいました。
結局、母も車に乗って一緒に母のキャップを取りに行きました。
あーあ、家で珍しくゆっくりできたのになぁと思いながら、「直子、ごめんね。ごめんね。」という母の声をスルーしていた私でした。
が、そういえば、私や兄が子供の頃、忘れ物なんか日常茶飯事でしたが、いつも母が嫌な顔せずに運転してくれたなと思い出しました。
「まあ、黄昏のドライブだと思えばいいじゃない。」という言葉が私の口から出てきました。
「そう言ってもらえれば、少し気が楽になったわ。」と母が言いました。
なんでもっと早く優しい気持ちになれなかったのかなと反省しました。
私は心の小ちゃなダメ人間でございます。修行が足りん。佐藤直子