11月16日(水)、ロンドン。8人の最強のプレーヤー達による戦い、ATPツアー・ファイナル。
錦織圭の2回戦が行われ、錦織は世界NO.1、地元イギリスそしてオリンピック金メダリストのマレーに7-6(9),4-6,4-6と善戦したが敗れた。
ワウリンカに勝った後、「(マレーに)勝つには100%のプレーが必要」と語った錦織。
テニスの技術、勇気で世界一のマレーを上回り、あと一歩で勝利というところまで追い詰めたが。
「負けは負け。」
「競っても負ければ意味はない。」という錦織圭。
それだけ二人の距離は縮まっていることの手応えなのだろう。
試合時間は3時間20分。
マレーはNO.1としての自覚と自信、そしてスタミナで最後まで諦めないプレーをし、錦織の挑戦を退けた。
ATPツアー・ファイナルでは歴代最長試合時間を更新。(前の記録は2010年ナダルがマレーを7-6(5),3-6,7-6(6)で下した3時間12分)
二人は今年3度対戦し、8月のリオ・オリンピックではマレーがストレート勝ちしたが、
3月のデ杯は4時間54分でマレーが勝ち、
9月のUSオープンは3時間58分の末に錦織が勝っている。
いずれも5セットに縺れる試合だった。
ナイトセッションでワウリンカが7-6(3),7-6(3)でチリッチにストレート勝ちしたので、
錦織は現地18日(金)、20時からの最終戦で、チリッチに勝てば2年ぶりの準決勝進出となる。
その前に14時からの試合でマレーがワウリンカに勝てば、錦織はチリッチに敗れても準決勝に残れることになる。
<<3時間20分の激戦詳細>>
●錦織圭 7-6(9),4-6,4-6 〇マレー
第1セット
錦織はダウン・ザ・ラインの展開も早く、コートを広く使い、マレーを走らせる。
マレーは全てのボールに食らいつく。
先に錦織が第3、第5、第11ゲームでブレーク・チャンスを合計3つ掴むがマレーがキープ。
マレーは第12ゲーム、錦織サーブで30-40とセットポイントを掴む。
タイブレークに入り、錦織が6-3とセットポイント。
三つのセットポイントがありながら取り切れない。
しかも、6-6に追いつかれたポイントは、マレーの守備範囲の広さで攻めていながらも、ロブで切り返され失った。
うなだれ、ラケットを下げ、持ちながら両手をひざにあてる。
逆に7-6,9-8でマレーに2度セットポイントを掴まれる。
マレーに逆転されそうな雰囲気だったが、
10-9、5度目のセットポイントを取り、11-9でタイブレークを取る。
このセットだけで1時間26分を費やす。
第2セットは一転、
第1セットを粘り勝った直後の自分のサービスゲーム。
錦織も「第2セットの初めでいきなりブレークされたのは一番痛かった。
集中力を使った後で多少放心状態。
あそこで耐えられれば展開が変わったかもしれない」と悔やむ。
それども第8ゲームをブレーク・バックし4-4とするが、
迎えた第10ゲームはデュースまで粘ったが、4-6で落とす。
ファイナル・セット
錦織が苦しみながらも第1ゲームをキープ。
第3ゲームには、30-0からダブルフォルト連続などで30-40、どうにかデュースにしたがブレークを許し、5ゲームを連取され1-5と絶体絶命になる。
マレーは勝負の山は第3ゲームでブレークに成功した後のゲームでの攻防と言う。
「ケイのサーブをブレークして、その後の長いゲームで2本のブレーク・ポイントをしのぎきり4度のデュースでキープした。
ケイはその長いゲームでチャンスを生かせずがっかりしていた。
その(集中のきれた)間に5-1とリードを広げられた」と。
錦織もそこで諦めず、第8ゲームをブレークするなど、第7ゲームから3ゲームを連取して食い下がったのだが
「とてもタフな試合だった。
肉体的にきつかった。
幸いなことにサービスだけでポイントが取れたことがあり、それには助けられた。
簡単ではなかった。
なぜなら、多くのポイントで主導権が握れていないように感じていたから。」
走らされたり、より多くのボールを打たされていた」と本音を述べた。
錦織との差は
「特にないと思う。
ファイナル・セットは序盤でリード出来たのが大きかった。
ファイナル・セットで先にリード出来たことが、差を生んだと思う」とマレー。
対する錦織は
「ファイナル・セットもマリーのレベルが落ちない。
そういう差はまだあるかな。
テニスの差はなくなってきている。
メンタルや大事なポイントの集中力、駆け引きがまだ少し彼の方が上だった」
「負けは負け」と。
ATPツアー・ファイナル
試合スケデュール&結果
会場:O2 アリーナ
<<マッケンロー・グループ>>
1 マレー 2-0
3 ワウリンカ 1-1
5 錦織圭 1-1
7 チリッチ 0-2
<<レンドル・グループ>>
2 ジョコビッチ 2-0
4 ラオニッチ 1-1
6 モンフィス 0-2
8 ティム 1-1
ATPFinalレースランキング
錦織、ATPファイナル後は、ロンドンを発ち日本に帰国、26日(土)は有明で日清食品・ドリーム・テニス、
12月2日から4日は日本チーム「JAPAN WARRIORS」の一員としてインターナショナル・プレミア・テニス・リーグ(埼玉アリーナ)に参戦予定だ。
(記事&写真 塚越亘 by WataruTsukagoshi CanonEos7D)