ハンベエの言い回しに

ハンベエの言い回しに、勘のいいロキは、ピンと来るものがあったらしく、「ええー、オイラ達を見守ってくれてるなんて本当?、そのさる偉い方に感謝しなくちゃ。」 ロキはハンベエに合わせて、さも感激したように言った。「その頼もしいおじさんがロキの身が危ないっていうのに助けてくれないなんて事はあり得ない。その事は我が愛刀『ヨシミツ』にかけても断言する。」無針埋線效果イ、要は、お前の正体はバレてるぞ、この小僧の身に何かあったら、お前だって困るだろう。・・・そう言いたいわけね。でもって、頼みを引き受けなければダンビラ振り回すぞって事ね。)ボーンはハンベエやロキの言い草にそう思った。さっきからのやり取りに混乱して、若干やけくそ気味になって来たボーンは、いい加減解放してもらいたくなって、「何だか分からないけど、明日その小僧の護衛をすればいいのか?」 と言った。

.「その通り、貴公中々話が分かるじゃないか。」 とハンベエが言えば、「おじさん、迷惑かもしれないけど、引き受けてくれないかなあ。何せハンベエは血の気が多くて、断ったりしたら、この場で刀を振り回して暴れ出しかねない奴なんだよ。その上、暴れ出したら、そこら中血の海になりかねないって危なすぎる奴なんだ。」とロキも調子に乗って脅しをかける。「何だか変な疫病神に取り憑かれたような気がするが、分かったよ。引き受けるよ。でも今から、用事が有るんだ。」「なら、明日の朝7時前に『キチン亭』の前に来てくれ。朝飯位は奢る。」「分かった。7時に『キチン亭』の前だな。それじゃあな。」 こうして、ボーンは口約束とはいえ、ロキの護衛を引き受けるハメになってしまった。ありえねえ!「待ってるからねえ、絶対来てよお。」ボーンは一刻も早く、この場から立ち去ろうと足速に歩き出した。本当は一目散に駆け出したいのを堪えてるようにも見えた。 ボーンの姿が見えなくなるまで、黙って見送っていたハンベエとロキであったが、姿が見えなくなると互いに顔を見合わせ、ニンマリと笑った。「というわけで、敵の見張りに身を任せる事になったが、怖くはないか。」「冒険小説の主人公みたいでワクワクするよ。」息もぴったりの二人であった。 明くる日、つまりハンベエとロキがゲッソリナについて2日目の朝、昨日と同じくハンベエが早朝の鍛練をしている頃、ゴロデリア王国宰相ラシャレーは、王宮の執務室で、例の『声』から報告を受けていた。 丁度、ハンベエ達とボーンのやり取りが報告し終えられたところである。「お話したような流れで、私の部下がハンベエとガブレエルの決闘について行く事になったのですな。」「使える奴に見張らせろ、っと言ったはずじゃが。」

. 「なかなかどうして、今回行かせたボーンというのは、部隊の中でも1、2の優秀な奴でしてな。ハンベエという男が規格外なだけだと思いますな。」「で、おまえは、そのボーンにハンベエの決闘の手助けを命じたわけだな。」「そうですな。ロキはハンベエがベルガン達に殺された後に、攫(さら)ってくればいいわけですからな。」「万一、ハンベエが勝ったら、いかがいたすのだ?」「その時は、ロキを攫うのは中止ですな。ボーンの手には負えないという事になりますからな。」「それでいいと思うのか?仮にも敵の手助けをする事になるのじゃぞ。」「私等の世界では、誰が敵で誰が味方かなどという事はそう簡単には決め付けられませんな。ハンベエ達はまだ敵と決まったわけではないですな。」「五人も殺されておるのにか?」「あんな雑魚どもの事は忘れてしまうのがいいですな。仇をとっても、連中が生き返るわけでもないですな。ハンベエを片付けるのにかかる被害の方が恐ろしいですな。それにベルガンは何かと評判の悪い持て余し者、地位をかさに着て色々不正の噂もありますな。ハンベエが片付けてくれるなら、願ってもない事だと思いますな。宰相もベルガンが消えても困る事はないと思いますな。」「確かに、ベルガンのような奴が消えたところで王国の痛手にもならんがの・・・ベルガンはわしも気にいらん奴であるが、一応町の治安管理者じゃ。それが素性も知れぬ流れ者に討たれたでは王国の威信はどうなるのかの?・・・まっ、ベルガンの方は大勢で行くじゃろう。ハンベエが助かる見込みはないじゃろうから、考えても仕方ないかのう。」


カテゴリー: 未分類 | 投稿者laurie6479 22:15 | コメントをどうぞ

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