みなさんこんばんは(・∀・)
将棋漫画『ハチワンダイバー』34巻・35巻が同時発売されました。
私はアマチュア低段の棋力しかありませんが、わざわざ検索して来てくれた方のためにも
ハチワンダイバー34巻を初心者向けに解説していきます。
さてこの34巻は前巻から続くラストバトル、谷生vs菅田 の一局です。
33巻の解説はこちら。
立ち上がり意表を突かれてやや動揺した菅田君ですが、将棋を始めたばかりの頃の回想から早々に立ち直ってくれました。
そして選んだ囲いは「天守閣美濃」。おお、これは幼少の頃、作者の柴田ヨクサルさんと私が幾度となく戦った戦型ですね。これと全く同じ局面になったことも一度や二度ではありません。
この「天守閣美濃」、一見危険に見える三段目の玉が意外と寄せにくい曲者なのです。角の直撃を避け、横から攻めると玉が遠く、上から攻めても下に逃げられると広いという柔軟な囲いで、非常に苦労させられました。
ただでさえ私より強かった柴田君にこれで差をつけられ、さらに「居飛車穴熊」が流行してもっと勝てなくなったという苦い記憶があります(・∀・;)
優秀な美濃囲いですが、発展形があるのも魅力の一つです。
谷生の「銀冠(ぎんかんむり)」は美濃囲いの最終形で、上部が強く玉頭戦で威力を発揮します。横からの攻めにも3九に金銀や香などを打って補強したり、1七や3七に逃げ込むなど意外と耐久力があります。
また、菅田君の「四枚天守閣美濃」は見るからにガチガチで、どこから手を付けて良いのかわからないほどですね。
昔は「攻めは飛角銀桂、守りは金銀三枚」と言われたものですが、現代将棋は金銀四枚でガチガチに守りを固め、攻めは飛角桂のみという戦型も多くなっています。
△5五歩▲同角△5四金▲4五歩△同歩▲6六角△4四銀▲4六歩△2二角
▲4五歩△5五銀▲同銀△同金▲同角△同角。
中央の激しい応酬を菅田君が制しました。角金交換の駒得の上に飛車取りで角が飛び出して気持ち良い攻めですが、金銀二枚がいなくなった菅田陣はかなり薄くなりました。谷生側は手付かずの堅陣なので、総合的な形勢は互角と言えるでしょう。
▲9八飛△8六歩▲2五歩。
駒損した上に飛車を攻めに使えなくなった谷生ですが、それらは全て▲2五歩からの玉頭攻めを始めるための我慢でした。これが見た目以上に厳しく、攻守が逆転します。
△2五同歩▲5六金△2二角▲4四歩△同角▲4五金△4二飛▲3四金。
調子よく中央に踊り出たはずの角を目標に逆襲、極めつけは金のタダ捨てという強襲。飛車・角といった大駒は強力ゆえに相手に渡すことができず、狙われて逃げ回るという展開もよくあります。
この局面のように玉・飛車・角が近くにいると全部まとめて狙われてしまうので、「玉飛接近すべからず」という格言もありますね。
△3四同玉▲4五銀△2三玉▲2四歩△1二玉▲2三金△同銀▲同歩成△同玉▲4三歩。
「一歩千金」という格言通り、これは痛すぎる歩です。これを△同飛なら▲3四銀打から飛車・角を全部取られて丸裸の王様が残る屈辱的な負けとなるでしょう。
もはや飛車か角のどちらかを諦めるしかありません。
△5二飛▲4四銀△5七飛成▲2四銀△3四玉。
角を犠牲に飛車を成り込み、強気に攻め合いを挑む構えです。最後の▲2四銀を△同玉なら▲3五角の王手龍取りで終了ですが、そう甘くはありません。
それにしても一見危険な3四に体をかわすとは、菅田君もいい度胸をしていますね。これが意外と捕まえにくいので、まだまだ勝負はこれからのようです。
谷生がこのまま攻め切るか、菅田君が豊富な持ち駒で一気に逆襲なるか。決着は最終巻、35巻にて。
当ブログは将棋漫画『ハチワンダイバー』を応援しています。
でもテニスブログだからね!ほんとだよ!