テレビドラマの題材に取り上げられたことから、「校閲」という仕事がにわかに
脚光を浴びて注目されているそうですね。
テレビドラマには興味が全く皆無なので内容の要旨は知らないのですが、
「校閲」とは誤字脱字の誤りをチェックする「校正」が終わった次の段階で、
著者の書き間違いや勘違いを正しく修正する作業のことです。
作中では「満天の星空」という言葉を例に挙げて、「満天」とは「空」の意味も
中に含まれていることから、「空」の意味が二重に重複していると説明したよう
ですね。
これは「重言(じゅうげん、じゅうごん)」という重複表現で、みんな知っている
有名なものでは「馬から落馬」「頭痛が痛い」などがあり、間違いではないものの
文章表現としては通常使用されません。
ですが私の個人的な感覚では「満天の星空」と「満天の星」とでは表現に若干微妙な
違いがあるように思えますし、「頭痛が痛い」などはネタとして使ったりするので
重言の訂正に限らず無闇に過剰な校閲はかえって逆に邪魔に感じます。
旅行記など稀に著者の誤字脱字をわざと故意に訂正せずに出版している本があり、
その生々しい表現が臨場感を高めている場合がありますよね。正しい日本語も大事
ですが、繊細で多様な表現もまた守られるべきと思うのです。
だいたい文章なんて、どこかで見たような表現じゃつまんないんですよ。
「満天の星がキラキラ瞬く」文章なんて私は読みたくありません。
黒い真っ暗な闇の夜空に光り輝く満天の星空を下から上に見上げたいものだと
四六時中いつも常々感じながら思っているのです。