みなさんこんばんは(・∀・)
将棋漫画『ハチワンダイバー』最終巻、35巻が発売されました。
私はアマチュア低段の棋力しかありませんが、わざわざ検索して来てくれた方のためにも
ハチワンダイバー35巻を初心者向けに解説していきます。
さてこの35巻は前巻から続くラストバトル、谷生vs菅田の一局です。
34巻の解説は こちら。
前巻は谷生の▲2四銀に対して、菅田君が△3四玉と軽くかわしたところ。
今にも詰まされそうな玉ですが、これが意外と捕まりません。
▲3五銀右△2三玉▲4二角。
直接王手をかけない、「玉は包むように寄せよ」という格言通りの攻めですね。
放置すれば▲2四銀△1二玉▲3三銀左成と、徐々に包囲網が狭まっていきます。
△4二同金▲同歩成△6六角▲2五桂△1二玉。
菅田玉は依然として包囲されたままですが、△1二玉と事前に逃げることで
一手だけ時間を稼ぎました。
この「一手だけ相手の攻めを遅らせる」という技術が、僅差の終盤では
大きな意味を持ってきます。
▲2三歩△4四角▲同銀△3七金。
谷生はさらに▲2三歩と包囲網を狭めましたが、菅田君がここで決めに出ます。
△4四角と銀を取って、戦力の補充を完了。△3七金はもう引くことのできない
踏み込みです。
▲3七同金△3九銀。
菅田君が迷ったように、有段者ならひと目▲3九角と打ちたくなりますが
△2九玉と引かれると、飛車の横利きがあるため詰みません。
谷生が「しっかりしろ」という表情を見せたのは、目先の逆転勝ちよりも
ここまで成長した菅田君を認め、彼と満足できる将棋を指したい、最後に
美しい棋譜を残したいというラスボスの矜持でしょうか。
▲1八玉△1七金▲同玉△2八銀打▲同飛△同銀不成▲1八玉△1七飛▲2八玉△3九角。
前図で3九に角ではなく銀を打ったのは、ここで最後に打つ角を残しておくという
意味でした。
プロ棋士は負けを覚悟すると、投了のタイミングを測ったりもします。
気持ちの整理をして、相手が見事な手を指したときに投了することが多いのですが
作中で谷生が言うように、この△3九角の局面は美しく、勝敗がわかりやすく
まさに潮時と言えます。
▲3九同玉△1九飛成▲2九金△3七龍▲3八金打△4八金まで。
谷生はこの将棋を「絶局」(人生最後の将棋)と覚悟して最後まで指しました。
もはや間違うはずもない簡単な詰みですが、生あるかぎり指し続けたいという
気持ちの表れでしょうか。
さて本局は▲6六歩という意外な初手に始まり、動揺した菅田君が得意戦法
「ハチワンシステム」を回避するという、やや菅田君の気合負けとも言える序盤
でしたが、危険な玉頭への攻めをかわして反撃。最後は僅かなスペースに 逃げ込み、
豊富な持ち駒で一気に寄せ切りました。
それにしても谷生vs菅田という最終決戦、私は谷生の新鬼殺しvs菅田の
ハチワンシステムという奇抜な空中戦を予想していたのですが、見事に外れましたね。
それも四間飛車・銀冠vs天守閣美濃というレトロな戦法。これは菅田君というより
作者の柴田ヨクサルさんの原点とも言える将棋に見えました。やはり愛着のある戦型で
最後を飾りたかったのでしょうか。
というわけで、将棋漫画「ハチワンダイバー」35巻にて終了です。
わざわざ「ハチワン 解説」などのキーワードで検索して見てくれたり、コメントを
頂いたりして、大変励みになりました。
拙い解説を最後まで見てくださって、ありがとうございました。
作者の柴田ヨクサルさんは、既にミラクルジャンプにて新連載「巫鎖呱」を
開始しています。30年ぶりに将棋を指してみたいところですが、まだまだ地元に
戻ってくる気はないみたいですね(・∀・;)
ヨクサルファンの皆様、新連載もよろしくお願い致します。
ふー。
これでやっとテニスブログに戻れる(・∀・;)