ネカフェ殺人 被害者妻のコメント全文

名古屋市中区錦3のビルの漫画喫茶で客の愛知県尾張旭市井田町3、銀行員、大竹智之さん(35)が刺殺された事件で、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された住所不詳、無職、稲田府見洋(ふみひろ)容疑者(22)が7~8分にわたり大竹さんを襲いながら追い回していたことが県警中署への取材で分かった。大竹さんには上半身を中心に10カ所以上、刺されたり切られたりした傷があり、中署は稲田容疑者に強い殺意があったとみて調べており、19日、容疑を殺人に切り替えて送検した。

 中署によると、店内の防犯カメラの映像の解析などで、稲田容疑者と大竹さんがフロアの通路で7~8分、もみ合いになっていたことが分かった。大竹さんの手のひらや腕には、抵抗した際にできたとみられる切り傷があった。中署は稲田容疑者が大竹さんを執拗(しつよう)に追い回し、ナイフで刺した。

 ◇大竹さんの妻コメント

 まじめで優しく、家族思いで、たくさんの友達がいて、一生懸命働く夫でした。夫は、マイホームを持つのが夢で、1年ほど前に、念願のマイホームを建てました。

 最近では、8月に第2子が誕生することを喜んでおり、これからベビー用品をそろえよう。あれをしよう。もっと大きくなったらここに行こう、教育方針などにつき、ゴールデンウイークの間に夫と多くの話をした事が忘れられません。

 夫と私の両親を含めとても仲がいい家族でした。皆、突然の別れになってしまい、伝えたいこと、話しておきたいこともたくさんあったのに、今も亡くなったことが信じられないという思いです。

 土曜日と日曜日、夫と私は、いつも一緒でした。長崎から嫁いだ私にこちらに友達がいないことを気遣って、夫の友達を大勢紹介してくれる優しい夫でした。

 私にとって、とてもすてきな自慢の夫です。

 事件があった日も、いつもどおり、会社に行く夫を見送りました。

 その日は、私から、お昼過ぎに息子が自宅の庭で遊んでいる写真をLINEで送りました。いつも仕事で忙しかったのか、そのLINEに返信はありませんでしたが、既読になっていたので、愛する息子のかわいい姿を見てくれました。

 私にとっては、「いってらっしゃい」「いってきます」という、いつも繰り返される日常でした。

 私が事件のことを知らされたのは、夫が亡くなった後でした。

 夫の両親と3人で冷たくなった夫に対面しましたが、夫の体には、深い傷がついており、「痛かったね。今来たからね」と声を掛けて、泣くことしか出来ませんでした。

 本当に苦しく無念で辛くて怖かったと思います。夫の最後の瞬間に立ち会えなかったことが心残りです。

 本当に本当に私も子供も夫が大好きで愛していました。

 「これからもその気持ちは変わる事はないよ。あなたが建てたこの家で強くとても強い母になって頑張っていくよ。」と伝え、夫には安心して休んでほしいです。

 今は、現実を受け止められない状況ですが、なぜ夫だったのだろう。なぜ刺したのだろう。これからどうしたらいいのか。何を思い、どう考えたらいいのか、分からないというのが現状の気持ちです。

 ただ、一つ思っていることは、私や家族、友人から夫を奪った犯人には重い罰を与えてほしいと願っています。

 夫は、日ごろから、会社員としてのスキルアップとして、資格試験の勉強をよくやっていました。

 夫は、家にいるとついついリラックスしてしまうと言い、仕事が終わった後でも、漫画喫茶の個室や喫茶店などで勉強をしてから帰宅することもありました。事件があった日もそうした普通の日常のことでした。

 とても真面目で勉強熱心な性格が、こんな事件に巻き込まれる要因になってしまうとは考えてもみませんでした。


カテゴリー: 15-0 NEWS, 話題のニュース | 投稿者オールサム | コメントは受け付けていません。