女子世界ランク1位の上地結衣(24=エイベックス)が大会6連覇を達成した。同4位のサビーネ・エラーブロック(42=ドイツ)に6-0、6-4のストレートで快勝し、今年から下賜された皇后杯を獲得した。
上地は日焼けした顔に笑みを浮かべて言った。「皇后杯最初の年に日本人が勝てるところをお見せしたかった。素直にうれしいです。昨日までよりは内容にも納得できます」。
第1セットは6ゲームでエラーブロックにわずか5ポイントしか与えなかった。第2セットに入ってドロップショットを織り交ぜてきた相手に前後左右に揺さぶられたが、フォア、バックのトップスピン、バックスライスの精度は不変。準決勝まで乱れていたサーブのトスアップも別人のように安定していた。それでも「相手のミスに助けられた面もある。サービスですか? 満足できたのは1本だけでした」とすぐに笑顔を消した。
「世界1位の人が同じままではいけない」。世界のライバルたちを意識し、ひたすら進化を求め続ける。143センチの体でパワフルな海外勢に立ち向かう上で、強烈なリターンを防ぐために体の回転を生かしたスピンサーブを開発中だ。それが今大会でサーブの安定感を欠いた原因でもある。新たなウイニングショットとしてドライブボレーの強化にも取り組んでいる。昨年7月に新しくした車いすは車輪を大きくし、座面を高くした。より速く、広くコートを動き回り、高いボールにも対応するためだ。「車いすはようやくしっくりくるようになりました。今日、いっぱい走らされましたからね」と、やや苦労した第2セットに結びつけて報道陣を笑わせた。
連覇を狙った1月の全豪は準優勝に終わったが、その後は3大会連続優勝と好調が続く。「この感覚を全仏に持ち込みたいですね」。勝ちながら成長を続ける女王は、残る3つの4大大会に加えて10月のアジアパラ初制覇も狙っている。