◇テニス全仏オープン第3日(29日・パリ) 女子シングルス1回戦セリーナ・ウィリアムズ2(7―6、6―4)0クリスティナ・プリスコバ
優勝した17年全豪オープン以来の4大大会となったセリーナ・ウィリアムズ(36)=米国=は、1回戦でクリスティナ・プリスコバ(チェコ)を下した。雨上がりの蒸し暑さにもかかわらず、ウェットスーツのように全身をぴっちり覆う黒いウェアで赤土のコートを駆け回った。勝利が決まると両手を突き上げ、子供のように喜びを大きく表現した。
会見でウェアの話題になると「キャットスーツのバージョン2・0よ。ワカンダの女王みたいで格好いいでしょ」とアメリカン・コミック「ブラックパンサー」に出てくる架空の国を引き合いに出した。「映画を見るより前にアイデアが浮かんでいた。ずっとスーパーヒーローになりたくて、あれを着ているとスーパーヒーローになった気分になれるの」と笑った。
昨年9月1日に長女アレクシス・オリンピアちゃんと出産。出産後に肺塞栓が起こり、帝王切開の傷口が開いてしまい、再手術の際に血腫が見つかり「死にそうだった」と告白するほど大変な経験をした。3月のBNPパリバ・オープン(OP、米インディアンウェルズ)でツアーに復帰。3回戦で姉ビーナスに敗れ、続くマイアミOP1回戦では大坂なおみ(日清食品)に敗れた。
以降は欠場を続け前哨戦のマドリードOP、イタリア国際も出場しなかった。「戦うのに十分な状態だとは思えなかった。でも目標をここに置いていたから」と練習拠点で男子のツアー選手とも打ち合い、状態を上げてきた。この日も前後に振られるとフットワークに鈍さはあったが、パワフルさは健在。サーブ最速は187キロで、第1サーブを81%の確率でポイントにつなげた。
現在の世界ランクは451位で、スペシャルランキング(長期離脱者が使える暫定ランキング)の1位を使い出場している。シードは与えられなかったがセンターコートが用意され、過去3度優勝の元女王にふさわしい扱いを受けた。「最優先は娘」としつつも母になりたくましさは増した。「勝てるかは分からないけれど、ベストを尽くして勝つためにここに来ている」と言い切った。