火曜日
日差しがに差し込んで部屋を久しぶり暖かくしている。今日しかないなと頭によぎる、彼を見舞ってそれから浜線で遊んでいるというNさんたちを冷やかしに足を、いやチャリをのばしてみようかという気持ちになって、昼飯をかきこむとリックを背負いチャリにまたがった。
街中にある整形外科病院まで30分で行けると思ったが歳のせいか季節のせいか、ピッチは上がらず少し遅れて、受付でたずね5階で下りるとちょうど廊下で看護婦と向き合っている彼を見つけた。
利き腕の肩のケンが切れていて手術したのだが、すでにひと月なると言い、まだしばらく入院しなければならないという。
手術の翌日からリハビリ―で、リハビリが大変らしい。「次郎物語」(下村湖人)を置いてきた。先日チャリで街に出た時古本屋で手に入れてぼくは読んだ。(次郎物語)名前は良く聞きしっていたが、子供のことを書いているのだろうくらいの知識、内容は上の空だった。少年少女向けで文字も大きくフリ仮名つきで、見知らぬであろう単語をわかりやすく解説していて、一気に読んだ。それなりのぼりゅうむだったこともある。少年の微妙な気持ちの写実が自分に重なりあったりして面白かった。失礼だと思ったが長期入院の時間つぶしに、ぼくと同じような気持ちになるのではと思ったのだ。
そこから浜線までは大変だった。30分は十分かかってようようたどり着いた。2時半。3時までコートを借りていたので1セットお付き合いして帰途についたが、それからは泣く思いがまっていた。帰りはだらだらの上り坂、まず尻が痛くなり始めていたのがだんだんとピークになっていた。体力も消耗してペダルをこぐ苦痛、お尻の苦痛に耐えながらあえぐあえぐ東バイパスを上っていった。三宮神社前の小さな和菓子屋(夢楽 斎匠庵)にチャリを止めて時間稼ぎにお奨めの大福饅頭を買って、一番難関の坂道をちちと進んでいった。ようよう武蔵塚公園にたどりつきベンチに倒れ込んだ。疲労困憊でいつものカロリーメートを探したがない、大福饅頭を買っていたのを思いだし、急いでリックから取り出した。白くて丸い大福饅頭を慌ててほおばると中にあんこがぎっしり詰まっていておいしかった。